日系カストディ専門信託銀行 総合職(第2新卒枠)
地方公務員 事務職員
立川 精二 氏 26歳 / 男性
学歴:東京大学 法学部 第一類 (私法コース) 卒
上智大学大学院 法学研究科 法曹養成専攻 (3年制) 修了
TOEIC 800点
私は、法科大学院を修了したものの、司法試験を断念し、この度、民間企業 (カストディ専門信託銀行) へ就職することにしました。司法試験制度が新しくなってしばらく経ちますが、このような進路を辿る方は、増えていると聞きます。もちろん人生の歩み方は人それぞれ、様々な状況があって十人十色ではありますが、私の体験が誰かの参考になればと思い、この 転職体験記 を書くことにしました。
私には元々、弁護士になりたいという夢がありました。中学生の頃、法律に接する機会があり、興味を抱いたのがきっかけです。この混沌とした社会に、法律という一つの形式を持ったルールが統一感を与えている様、そこに感動したのです (しかしながら、後に、法律だけでは社会は立ち行かないことを学びました)。
中学生のまだ未熟で単純な思考回路は、法律を扱う仕事といえば弁護士だ、弁護士になりたい、そう結論付けました。この結論は、漠然としていて非常に抽象的なものでした。弁護士が具体的にどのように仕事をしているのか、一般の会社員との働き方の違いは何か、どのような経済状況が考えられるのか………具体的な部分を直視することがなかったのです。そのことが、後に私を苦しめることとなります。
弁護士になるために、大学は法学部に進学しました。様々な法律を勉強し、更に法律への興味関心は増しました。そして、それと同時に、弁護士になりたいという気持ちも増すはずでした。しかし、そうはならなかったのです。漠然としていて抽象的な弁護士への憧れ……中学生の時に抱いた気持ちと同じ気持ちが、依然としてそこにありました。
とにもかくにも、弁護士になるための次のステップとして、私は、法科大学院へ進むことにしました。そこでは、大学で学んだのとは異なる視点で、より実践的で実務的な法律の勉強をすることができました。ただただ法律と向き合い、勉強に明け暮れていたこの時期は、私にとっては非常に貴重なものでした。
そして、本来であれば、法科大学院を修了した年の5月に司法試験を受け、上手くいけば9月に合格発表、12月には司法修習と段階を経ていくわけですが、私の場合、経済的な事情もあって、法科大学院を修了したらすぐに地方公務員として就職し、仕事をしながら司法試験の勉強を続けることにしました。そして、実際に就職した訳ですが、司法試験は平日も執り行われるため、仕事を休まなければなりませんので、1年目は難しいかなということで司法試験の受験は見送りました。翌年の合格を目処に、と考えていました。
しかし、実際に社会人になって、仕事をしていくうちに、私の中である疑問が芽生えました。それは、「本当に自分は弁護士になりたいのか」 という本源的なものでした。その疑問はおそらく、弁護士の仕事は具体的にどのようなものなのか理解せずに弁護士を志していたことや、実際に仕事をし始めてみて、仕事というものがどのようなものなのか、家族や自分の人生にとってどのような意味を持つのか、その影響はどのようなものかということを体感するようになったことなど、様々な要素が合わさって生じたものであると考えています。
そのような疑問が生じたことに加え、自分はどのような環境で仕事をするのがいいのか考えた時に、個人 (弁護士は、一般的には個人で仕事を進めていきます) でというよりも組織の中で仕事をするほうが好きだと思うようになったことも、私にとっては重要でした。大学生の時にしていたアルバイトで、チームを組んで物事に取り組むことに充実感を覚えていたのを思い出しました。
このまま司法試験を受験し、仮に弁護士になれたとして、確たる思いがあった訳ではない私が、法曹界という荒波の中で、活躍していけるのか、非常に不安になりました。覚悟がないとやっていけない世界ですから、もう一度、きちんと自分の進路を見直したほうがいいのではないか、そう考えるようになったのです。
以上のような経緯があって、私は、司法試験の受験を断念することにしたのです。
司法試験は断念した、それではこの先どう生きていくか、という問題に直面しました。このままこの公務員の仕事を続けていくのか、それとも、きちんと転職活動をして、納得した会社に入るのか、という問題です。法科大学院を修了後就職した勤め先は、絶対にこの仕事がしたいという気持ちで選んだ訳ではなく、とにかく食い扶持に困らないように、また、司法試験の勉強を続けていけるようにという考慮が一定程度働いたのは否定し得なかったというのが正直なところです。
したがって、そこには、妥協があり、納得感に欠けるところがありました。そのような仕事を続けていくのでは、司法試験を断念した意味がなくなる、そう考えました。そのような気持ちから、正式に転職活動を決意したのです。
いざ転職活動を始めようとしても、そもそも、私には情報がありませんでした。一般的に転職活動をどのようにやっていくのか、というところが分からないのはもちろんのこと、大学生の頃、一度も民間企業への就職活動をしたことがなかった私は、就職活動の相場感を掴むことから始めました。インターネットで情報を得たり、転職に関する本を読んでみたり、転職サイトに登録してみたり……。
結局、取っ掛かりとしては、転職サイトに掲載されている求人に片っ端から応募してみることにしました。片っ端からとは言っても、一つ一つの企業を研究し、自分の志向や特性にマッチするかどうか考えていったので、非常に時間がかかりました。結果としては、数打ちゃ当たるということで、書類選考を通過し面接まで進むことができたところもありました。しかし、そのような場で上手く立ち回ることが上手でないことに加え、面接の経験も皆無だった私は、なかなか面接で合格することができませんでした。
更に言うと、私が登録した転職サイトは、皆さんがよく使う大手のものでしたが、求人を調べて応募して結果が出て、ということの繰り返しで、全てインターネット上で行うので、一人で転職活動をしなければならず (もちろんそれが原則なのでしょうが)、転職事情に疎い私は、非常に不安でした。第三者からのフィードバックがなく、軌道修正できないまま、転職活動が長引いてしまうのではないかと考えるようになりました。
そこで、親身になって相談に乗って貰えるアドバイザーを探すことにし、いくつか、転職支援会社に新たに登録してみました。その中の一つが、私がお世話になった (株)エリートネットワーク社でした。登録した際、私を担当して頂いた高橋さんが下さったメールに、このような文言がありました。
「責任を持って、対応させて頂きます。」
“責任”、という言葉に、非常に信頼感を覚えました。すぐに初回の面談を設定して頂き、仕事や転職についての考え方などから、歴史、経済といった話題まで、高橋さんから様々にお話を頂き、また、私のことも正しく理解して頂いて、非常に実りのある初回カウンセリングだったと思っています。
高橋さんからは、私の志向に沿った求人案件をいくつもご紹介頂き、その中の一社と今回ご縁があって転職が決まった訳ですが、高橋さんのあるアドバイスがなければ、面接を通過しなかったと思っています。そのアドバイスは、最終面接前日に直接お電話で頂いたものでした。このように高橋さんはおっしゃっていたのです。
「◯◯銀行マンになるために、今日この面接に来ましたと、言うといい。たとえ言わなくても、そのような心持ちで面接に臨みましょう」
私は、自分に自信がなくアピールが苦手なので、熱意があってもなかなかそれを表現することができませんでした。しかし、高橋さんのこのアドバイスを聞き、吹っ切れた思いになりました。結果、内定を頂くことができました。
転職カウンセラーの高橋さんのお力添えがあったからこその転職の成功だと思います。高橋さんには本当に感謝致しております。とは言っても、真の成功は、今後、転職先の信託銀行で満足のいく仕事をすることだと思いますので、頑張ります。