大手商社 海外投資部門
大手金融機関 ストラクチャードファイナンス担当
鳥飼 武 氏 29歳 / 男性
学歴:国立大学 法学・政治学系学部 卒
TOEIC 860点
日本商工会議所簿記検定 2級
新卒の就職活動では、金融機関、総合商社、不動産、メーカーの営業職等様々な業界を見て回ったが、最終的に金融機関の法人営業を第一志望とした。志望動機はいくつかあったが、当時を思い返してみると、社会人を経験していない・学生としての経験や知識しかない内に、特定の業務や商品に自分の人生を絞ってしまうことに抵抗があり、様々な業界・分野と広く関わりを持つことのできる金融機関での業務に惹かれたことが大きかったと思う。
幸い大手金融機関に採用して頂くことができ、国内の法人営業のみならず、海外のインフラ開発プロジェクトへの融資業務等、様々な分野を経験し、日々の業務に充実感を抱いていた。このままその会社に身を置けば、これからも広く様々な業務を経験し、ビジネスマンとしての自分の幅を広げていくことができるだろうという期待も感じていた。
一方で、入社後暫くして携わった某海外プロジェクト向けの融資業務を通じて、途上国でのインフラ開発業務に強い興味を抱くようになった。丁度その頃は社会人になってから数年が経ち、日々の業務にも少し精神的な余裕ができ始めた頃で、今後の人生の目標や、自分はこれから何のために働くのかといったことを改めて考える時間が増えていた時だった。
「折角人生の時間の大部分を使って働く以上、自分がこの世に生まれその仕事をしたことで、人類が少しでも進歩した、明確なdifferenceが世の中に生まれたと言えるような仕事をしたい」 というようなことを漠然と考えていたが、そのような思いが、途上国において水や電気といった正に人々の生活の基盤となるものを生み出すインフラ開発業務にぴったりとリンクした。
当初はそれにファイナンスを提供する金融機関としての業務に携われることで満足していたが、次第に自ら事業者として主体的にプロジェクトを動かしたい、プロジェクトの主導権を握る側に立ちたいという思いが増していった。フィールドを限定したくないという新卒の就職活動の時の思いとは裏腹に、インフラ事業投資に自分の人生を賭したいと考えるようになっていった。この頃から、転職することを少しずつ考え始めた。
私が初めて(株)エリートネットワークの門を叩き転職カウンセラーの高橋様にお会いしたのは、2014年の秋のことだったが、その時点では未だ上記のような 「漠然とした」 思いがあるだけで、明確に 「いつまでに転職したい」 という考えは無かった。それどころか、特に前職の金融機関に不満があったという訳では全くなく、先述のとおり日々の業務に充実感や今後への期待も感じていたため、「本当に転職したいのか否か? 」 ということすら自分の中でクリアでは無かったと思う。
高橋様を前にし、自分の思いを全て率直にお話する中で、そのような自分の考えの曖昧さに自ら気付いた。高橋様は一通り話を聞いて下さった後、「事業投資を行う会社に転職したいという思いがあるのは分かりましたが、現職も素晴らしい職場だと思いますし、あなた自身もそう感じているはずです。もう少し、自分がどうしたいのかを整理して下さい。整理ができたタイミングで、またお越し頂けますか。」 と仰って頂いた。私は、「分かりました、すぐにまたご連絡します」 とお答えし、(株)エリートネットワークのオフィスを後にした。
この初回訪問から、次に高橋様にコンタクトを取るまでは、かなり時間が空いてしまうこととなる。前職の業務や部署異動等があり、自分の中での転職活動の優先順位が後回しになってしまっていた。しかしそのような中でも、やはり自分は事業者側に立ちたい・担当のプロジェクトや事業の所在国に深く関わりたいという思いは日々増し、転職するという意識が明確になっていった。
2015年の初夏、第一志望と考えていた企業のホームページ上で、2015年度の中途採用案内が掲載されたのを見つける。上記のとおり高橋様との面談が中断してしまっていた私は、ひどく焦ったのを覚えている。しかしたまたま自分の希望する分野での募集もあり、このチャンスを絶対に逃せないと考えた私は、約半年ほど時間が経ってしまった気まずさを少し感じつつも、高橋様に連絡した。
高橋様からはすぐにメールの返信があり、当日にカウンセリングの時間を確保して下さった。面談の中で、その企業に応募したいという思いと、半年間練ってきた自分の考えをお話したところ、「サポートします。必要書類を準備の上、メールでお送り下さい」 と言って頂いた。このタイミングから私の転職活動は明確に開始した。職務経歴書やエントリーシート等の書類を作成しお送りしたところ、高橋様から 「推薦手続きを責任持って致します」 とのご返信を頂いた。
その後は書類選考、筆記試験、面接と進んで行くこととなるが、そのプロセスの中で一つ印象に残っている出来事がある。ある面接の日程が前職での社内試験と重なってしまい、どうしても日程変更しなければならなくなった。スケジューリングのためのやりとりを高橋様としていた際、想定される質問への私の回答の仕方が 「なっていない!」 とお叱りを受け、更に 「志望先は本当に超難関なので、そのような態度では話にならない」 という趣旨のことも言われた。
思えば面接を前にして、より一層気合いを入れよと喝を入れて頂いたのだと思う。正直、転職エージェントにそこまで厳しいことを、しかも (エントリーシートの記載内容が甘い、等ではなく) 態度や精神面のことで言われるとは思っておらず、かなり当惑してしまったが、今思えばここではっきり指摘して頂いたからこそ、その後のプロセスに緊張感を持って臨めたと思う。
またプロセスを通じて意外に思ったのは、エントリーシートの書き方や面接の内容についての指導は、私の予想に反し殆ど無かったことである。しかし改めてよくよく考えてみると、それはある意味当たり前かとも思う。転職において勝負になるのは、これまでどのような実務経験を積んできたか・どのようなことができるかといった実務スキルに関係するところと、そもそもどのような人間なのか、企業の社風にマッチする人物なのかというキャラクター的な部分だと思うが、これらは書き方や言い方でごまかせるものではない。多少の 「見せ方」 の問題はあるのかもしれないが、「見せ方」 で結果が変わることはない。
だからこそ高橋様は、そもそもの自分の考えや想いの整理のサポートや、先述の 「喝」 といったメンタル面でのサポートのみに徹して下さり、それが私の選考でのパフォーマンス発揮に繋がったのだと思う。
最終的に、志望先より内定を頂くことができた。
以上、思い返すと約半年の、非常に短い転職活動ではあったが、人生の中で最も真剣に、これまでの人生・今後の人生について考えた時間であった。その中で改めて思ったのは、自分はこれまで前職で本当に良いキャリアを歩ませて頂いたということである。自分が人生を賭したいと思えるフィールドを見つけることができたのも、またそこにチャレンジできるだけの実力・経験を身につけることができたのも、全て前職で経験させて頂いたことが元となっている。だからこそ退職の意思を打ち明ける際は本当に申し訳なかったが、正直に、決断に至った自分の思いを全てお話した。
私のように、前職での業務を通じて自分が強く惹かれる分野を見つけ、その分野への転職を検討する方は多くいると思う。最終的にどのような途に進むにせよ、それまでの人との繋がりを大切にすること無しには、次の場所 (もしくは今の場所) での更なる活躍はあり得ないと、この度の転職活動、及び退職の過程を通じて強く感じた。