一部上場持株会社 総務・人事部門 法務担当
一部上場 エンジニアリング会社 総務・人事部 給与・福利厚生担当
藤沢 昌伸 氏 30歳 / 男性
学歴:神奈川大学 法学部 自治行政学科 卒
中央大学法科大学院 法務研究科 法務専攻 修了
法科大学院 司法試験受験不合格
TOEIC 730点
私は大学卒業後、一部上場の総合エンジニアリング企業に就職し、約3年間社会人生活を送りました。その後、法科大学院を経て就職活動を行い、この度、内定を頂くことができました。社会人 → 法科大学院 → 就職活動とやや特殊なルートですが、私と同様のルートを経た人や、法科大学院修了後、民間企業への就職活動を行っている人の参考になればと思い、私の 『転職体験記』 をまとめました。
私は約3年間の社会人生活の中で、間接的にではありますが法律に触れることが多く、企業内で使われる法律をより深く知りたいと思うようになりました。また、前職で培える能力は限定的で、より専門性のある能力が欲しいと考えるようになりました。前職の法務部はあまり機能しておらず同社内で専門性を高めることは難しく、働きながら夜間の法科大学院に通えればよかったのですが、私の配属された拠点の県内には夜間どころかそもそも法科大学院がありません。また、予備試験ルートは業務時間的に厳しく、実務家の方の講義を受けてみたいという希望もあり、思い切って同社を退職、実家のある関東に戻り、法科大学院へ入学しました。
そして法科大学院修了後、司法試験を受験しましたが結果は残念ながら不合格でした。あと4回受験することができますが、結果発表後の9月より就職活動を開始しました。なぜ受験回数を残しながら就職活動に至ったかと言うと、まず一つ目の理由は 「企業法務部に対する興味」 です。私は法学部出身ですが、大学時代はそこまで法律への関心が強くなく、社会人生活の中で関心が強くなったクチで、当事者として社内の問題にかかわれる法務部員としての働き方に非常に興味がありました。
そして二つ目の理由は、年齢です。私は司法試験受験時の年に30歳になりました。30歳という節目を超えた場合、求人数が減少します (人によってそれぞれでしょうが、約3年の社会人経験しかなく特別な資格のない自分の場合)。もし仮に2回目、3回目と受験を重ね、不合格で未就業期間が更に増えると、ますます求人が減っていきます。これらの点から勉強にすべて集中して受験できるのは1回目のみと考えていました。
こういった背景からスムーズに就職活動に入れたと思います。
司法試験直後から大学院や就職サイトの主催する企業説明会や就職ノウハウのセミナーに参加していましたが、就職活動を行うにあたり、そのセミナーで印象の良かった司法試験受験生に特化した就職支援エージェント1社に登録し、面談を受けて複数の求人を紹介してもらいました。そこでは 「現在法務求人が増えており、特に社会人経験のある法科大学院終了生なら早ければ2ヶ月くらいで内定が出る」 と言われ、安心しました。
しかし、この時点で安心してこのエージェント一本で活動したのが間違いでした。紹介された企業のうち自分の希望に合う数社に申し込み、1社最終面接で落ちてからは何の動きもなくなってしまったのです。就職活動を初めて3ヶ月経過し、「これはまずい。やはり30歳ではそもそも書類選考すら通らないのでは?」 と考えるようになり、非常に焦りました。
上記の状態から前進するため、紹介してもらう母数を増やそうと思い、11月末に、(株)エリートネットワーク様を含む3社のエージェントサイトに新たに登録しました。3社それぞれメリットデメリットありますが、(株)エリートネットワーク様は対応のきめ細やかさが印象的でした。
どのエージェントさんもまず直接会って面談をするのですが、私を担当して頂いた小中出さんとのカウンセリングは最も長い約3時間に及びました。その中で現在の法務関連業務への就職の厳しさを聞き、その後の就職活動で危機感を持って活動できたように思えます。私もニュースで ”弁護士” 余り等の報道を聞いていましたが、今まで複数の法務職志望者を担当されてきたプロのお話は胸に響きました。そしてそのカウンセリングの場で年齢が30を超えていることから、時間をかければかけるほど不利になるので2月までは法務求人に当たり、この期間を超えたら法務以外の募集職種にも手を広げるという作戦に決まりました。
また、この時に小中出さんから教えられた以下の面接対策は非常に実践的で役に立ちました。
(1) 「書類選考に通過して面接を受ける企業が決まったら、その企業のHPを隅から隅まで読むこと」
面接を受ける企業のHPを見るのは基本かと思いますが、これまで私は面接で使えそうな所や、話のタネになりそうな箇所しか見ておらず、いざ面接で突っ込まれる質問をされると回答に苦慮していました。しかし、HPを徹底的に読み込むということを意識するとこれら以外のページも確認することになり、様々な記載を見ることでその企業への理解が深まりました。企業のHPというのはよくできていて、見れば見るほど発見があります。
(2) 「面接を受ける企業について50個質問を作成し、それに優先順位をつけて5個にまとめること」
実際にやってみるとわかりますが、ある企業について50個質問を用意するのはなかなか難しく、どこか似通った質問ばかりになってしまいます。これをクリアするにはHPだけでなく、インターネットや書籍等で調べることが必要になります。私はインターネット、国会図書館でその企業の歴史、経営者が過去に書いた書籍、業界についての知識、同業他社の趨勢等を調べました。そしてこの作業によって出た質問の内、同じ方向性のものをまとめて、自分が聞いておきたい順に優先順位をつけます (これらの作業は時間にして全部で5時間ほどを目安に)。
これにより、その企業について深い理解を得ることができます。また、ただ5個の質問を用意したのとは異なり、その背後にはその5個を抽出する過程で得た知識があるので、説得力が生まれ、こちらが質問する時だけでなく、質問される時にも役に立ちます。ちなみに、国会図書館にはあらゆる書物が有り、土曜日も空いていて、しかも無料で利用できるので何か調べ物をする際、非常に便利です。
(3) 「想定問答集を用意しておき、鏡の前で実際の面接と思ってそれを読む」
面接では、志望動機や入社後やりたいこと等ほぼ確実に聞かれる質問があります。これらをあらかじめ準備しておくことで当日のアドリブが減り、余裕が生まれます。もちろん、想定問答をお経のように覚えて読むのではなく、当日の流れから臨機応変に対応することは必要です。また、話す時の表情も重要で、同じ内容でも表情が違うと受け取られ方が全く異なります。鏡を見て自分がどのような顔つきで話しているかを確認し、印象が良い表情を意識しました。
その後、登録からしばらくは時折メールで書類選考に落ちたとの連絡が入るのみで、やはり今までと変わらないのか、多少の社会人経験のある程度の法科大学院終了生に需要はないのかと心底焦りました。
しかし、登録してから2週間ほど経過した12月の第2週から一気に動きがありました。(株)エリートネットワーク様からご紹介のあった2社から一次面接に来て欲しいとの連絡があり、それぞれ12月の3週に一次面接を行いました。その後、どちらもその一週間後に二次面接、片方は年末28日に最終面接、年明けすぐに内定。もう片方は年明け7日に最終面接を受け、なんとその日の内に内定の連絡が来ました。
当初は 「どこも受からないのではないか」 と思い、どこでも受かった企業で勤めようと考えていても、就職活動が軌道に乗ってくると、どの企業が良いのか優先順位をつけるのが難しくなってくるかと思います。私の場合、1月の時点で、(株)エリートネットワーク様からの複数の内定及び、他社のエージェントからの最終面接段階の求人がありました。まず、東証一部上場で非常に事業規模が大きく法務部員が約20名で法務部が独立して機能しているA社、A社に事業規模は劣るものの上場企業で国内外において複数の事業展開をしており、総務人事部の中に法務機能のあるB社、小規模で上場していないが事業内容が興味深いC社です。それぞれ良いところが有り、どのように優先順位を付けるか頭を悩ませました。
私の場合、「法律という専門性を活かしながら多様な業務を行えるか、経営者との距離が近いか」 を重視しました。なぜなら、私は、法務実務がわかるのはもちろんのこと、社内外をよく理解し、違法か適法か二者択一で判断するだけでなく、「経営上この場合にはこういったリスクがあるがこういったリターンがある。今後のことを考えるとこの判断をしたほうがいい」 といった提案をして経営に活かせる人間になりたいと考えていたからです。
上記の基準より、A社ではその法務部門は非常にレベルが高いが、専門性が高まり過ぎてしまい、経営の意思決定をする部門と法務実務を行う部門がはっきりと分かれており、C社では専門性は薄れ、何でも屋になってしまうかもしれないと考えました。
B社では面接時に 「法務を担当しつつその他の業務も行える。また、経営陣との距離は非常に近い。」 と聞き、自分の志向に最も合致しているなと感じました。そこで、B社への入社を決断しました。また、面接の過程で実際に働く部門のほぼ全ての方とお話することができ、その雰囲気が自分に合っていた点、事業内容、条件も魅力的でした。
選考が進んでくるとこういった悩みが生じてくるかと思いますが、自分が何をしたいのか、将来どういった人間になりたいのかを考え、そこから逆算してそれぞれの企業でそれが実現できるかといった観点からみると優先順位が付け易くなるかと思います。
また、どのようなことをしたいか、どういった業界が良いか定まっていない場合もあるかと思います。こういった場合でもどんどん行動するのが良いかと思います。なぜなら、実際にその企業の方に会うと、先入観がいい意味で裏切られ、新たな発見、出会いがあり、業界・企業が定まってくることがあるからです。実際、私も様々な発見がありました。
(1) エージェントについて
1つだけでは比較ができないので、エージェントは複数登録し、自分と合うところを判断していくことをおすすめします。紹介できる求人が異なりますし、エージェントによってスタイルが大きく異なるからです。
(2) 申し込んだ企業の数
参考までに私の場合、約30社に申し込み、そのうち約10社が書類選考通過、その約半分が一次面接通過、最終的には2社内定、1社最終面接辞退となりました。人によりけりかと思いますが、私のような年齢を重ねた者の場合、ある程度、数を打つ必要がありました。
(3) 法科大学院卒の就職活動について
昨今、法科大学院卒の就職事情は厳しいものとなっておりますが、目的を定めて適切に対策を行っていけば内定を勝ち取れるかと思います。社会人経験があるものの30歳を超え、法務職未経験の私でも複数の企業から法務職の内定を頂けたからです。
(4) 感想とお礼
選考に全く動きがなかった時期はこれからどうなっていくか不安で仕方なかった就職活動でしたが、ここで働きたいと思える企業と出会うことができ、しかもその企業に入社できることになり、非常に満足です。結果的に(株)エリートネットワーク様に登録してから約1ヶ月半で内定を得ることができましたが、これは転職カウンセラーの小中出さんの的確なアドバイスや、面接後の企業様へのフォローにあるかと思います。特に、面接にあたって、想定問答集の添削をして頂いたのですが、休日にも拘わらず、約2時間にわたって親身にアドバイスを頂けたことは嬉しかったです。これが面接に活きたことは間違いありません。
この場を借りて改めて(株)エリートネットワーク様、小中出さんに御礼申し上げたく思います。本当にありがとうございました。
以上