商社マン、一部上場企業の常勤監査役に

商社マン、一部上場企業の常勤監査役に

No.901
  • 現職

    一部上場 インターネットサービス企業   常勤監査役

  • 前職

    一部上場 財閥系 総合商社 監査部 監査室   内部監査

水戸 啓二 氏 59歳 / 男性

学歴:名門 国立大学 商学部 卒
内部監査士
TOEIC 885点

昨今、大企業では65歳への定年延長が一般的であるが、多くは再雇用によるものでその選択は経済的にも地位的にも厳しい現実がある。私の場合、勤務先からシニアな専門職的なポストでの再雇用のオファーは受けてはいたが、他の選択肢として所謂エグゼクティブサーチを利用して役員のポストを探した結果、幸いにも一部上場企業の常勤監査役の職を得ることが出来た。職探しは “縁探し” であるとはよく言われるが、私の場合も正に当てはまる。

私は36年前新卒として総合商社に入社し金属部門の営業グループに配属された。入社後10年が経ち商社マンとして油が乗ってきた頃、バブル崩壊により大口取引先が経営危機に陥ったことを切っ掛けに、事業再生プロジェクトチームに参加する機会を得た。このプロジェクトチームには営業に加え、財務、税務、審査、経理等、管理部門から精鋭が集められており、彼らの知恵を借りて再建計画を立案し関係者との交渉の前面に立つことにより企業再生に必要な知識と経験を実地で身に付けることが出来た。企業再生は事業投資や事業経営と表裏一体であり、この経験がその後の私の会社人生に大きな影響を与えることとなった。プロジェクトは幸いにも成功し、希望していた海外駐在を終え45歳になっていた私は、今度は本社の開発部門に異動し管理職として新規事業投資を担当することになった。更には買収した海外企業に出向し、事業経営を行う機会も得た。

市場価値的には本社開発部門で部長を務めていた40台後半から50歳代初めが一番高かったように思う。ヘッドハンターからのコンタクトもあったが、転職を本気で考えることなくベストなタイミングを逸してしまった。
二度目の海外駐在から帰任し、子会社の監査役育成を目的にしたプログラムに乗って監査部へ社内出向することになったが、その時は57歳になっていた。出向期間は2年間であり、期間終了前に自己解決も選択肢に含め、就職活動を開始した。

初めに行ったのは、転職した同僚からエージェントを紹介して貰いクローズドな求人案件を紹介して貰うことであった。また、有料人材バンクにも登録し、業種は特に拘らなかったが、職種としては社長かCEOを希望した。しかしながら、成長産業では年齢や商品知識等がネックとなり、また、エージェントも基本的に経歴書のキーワードでサーチするため、紹介して貰った案件は成熟産業の会社で市場環境や労務等に問題を抱えている会社ばかりで、踏ん切りをつけるには魅力に乏しかった。

年が明け定年まで1年を切った頃、一番マッチする職種は何かを現実的且つ客観的に考え、年齢や実務経験が最大限生かせることができるのは監査役ではないかと考えるようになった。特に誰かに相談した訳ではないが、事業再生、投資、経営の豊富な経験や知見に加え、監査部での実務経験もあるので、上場会社の監査役に求められる資質を満たしているのではないかと考えた訳である。

早速、登録していたサイトでも希望職種を監査役に変更したが、監査部長・室長の募集はあっても監査役の案件が殆どないことに気づいた。また、監査部長・室長では年齢制限に引っかかった。このためネットで監査役専門のサイトを探しこれに登録した。登録すると毎日の様に新規募集を見ることが出来るが、送られてくる募集には監査関係だけでは無く、財務、経理、人事、総務関係も含まれ、ここで世の中一般では監査役には経営層とは違う人材プールがあることを理解した。登録して1ケ月程が過ぎ、その間募集があった監査役の求人票を丹念に確認したところ、応募条件として、例外無く上場会社の役員経験者とあり、私の場合この条件を満たしていなかった。

そんなある日、1件の募集が目に留まった。それはインターネット系の企業で一部上場会社とのみ記載されており会社名は開示されていなかったが、応募条件に上場会社の役員または子会社で実質的に経営を担い、且つ “海外経験重視” とあった。これは自分にピッタリと思い応募したところ、株式会社エリートネットワークの杉本さんからコンタクトがあり、先方が私の経歴に興味を持って下さっているとの説明を受けた。

このため、杉本さんと面談し自分の経歴と先方のニーズを確認し話を進めて貰うことにした。その際、複数企業の監査役の兼務を許諾するという条件をつけたのだか、結果としてはこの条件は先方には通らず、通常であればこの話は一巻の終わりになるところであったが、熟慮し杉本さんにも相談の上、丁重に条件を取り下げ一次面接に臨むことになった。複数回に及んだ面接の感触はいずれも大変良く、先方の経営方針、事業内容、社員にも好印象を得た。杉本さんに都度連絡を取り、先方の印象もフィードバックして貰えたのは非常に役立った。
内定が出た後杉本さんより、競争はかなり厳しかったが、先方が形式上の肩書より実務経験・知見を含む人物を重視した結果、上手くマッチしたケースであるとの評を頂いた。

冒頭触れた通り職探しは “縁探し” であるが、運任せでは無く出会いを求めて複数のルートで一定期間時間を掛けて取り組むこと、また、自分の市場価値を客観的に測り募集元とのミスマッチを避ける為にエージェントの選定にも気を配ることを強くお勧めする。

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