大手税理士法人 税理士
一部上場 総合電機メーカー 経理部門 経理職
個人税理士事務所 税理士
野際 珠美 氏 42歳 / 女性
学歴:私立女子短期大学 文学部 卒
税理士
建設業経理事務士1級
日商簿記検定1級
今回転職を決めた理由は、単刀直入に言って職場の就労環境が良くなかったからです。お客様や、同僚にはとても恵まれていたのですが、「働く人間」 として大切に扱ってもらえないことに我慢の限界を感じて退職を決意し、同時に転職を決めました。
以前は上場企業の経理部門で働いていましたが、何げなく始めた税理士試験の受験で科目合格を重ねる中で、会計事務所への転職が気になりました。というのも、短大卒で入社したため社内での職能ランクが低く、いくら簿記1級や税理士試験の科目に受かったところで、これといった評価はなかったからです。ゆくゆくは社内で税理士として働けばいいんじゃない? という主旨のことを社外の友人からは言われたのですが、社内での扱いの差が短大卒と四大卒では非常に大きく、無理だと感じていました。
一般企業で経理を7年経験した後で、会計事務所への転職を志しましたが、非常に困難を極めました。税法1科目あれば会計事務所は就職できるよ、という会計事務所勤務の友人たちの言葉に期待したものの、その言葉とは裏腹に、現実の会計事務所はどこも 「経験者募集」 ばかり。一般企業の経理経験は会計事務所では経験とはみなされず、焦りだけが出てきました。そんな時に無事に内定を頂いたのが個人の会計事務所でした。
内定の連絡を受けた際に社会保険への加入を約束されたのですが、実際には退職まで10年以上加入してもらえず、更には冬の事務所では特にエアコンの利きが悪く、加えて電気湯沸かし器とエアコンを同時に作動させるとヒューズが飛び、エアコンの使用をしばらく控えざるをえない状況なので、冷え性の私は左手には手袋、足にはレッグウォーマー、風邪予防のマスクが冬の定番スタイルでした。他にも、給料が現金支給の職場だったのですが、明細書の差引支給額より、実際に封筒に入れられている金額が少ないなど、常識的には考えられないようなことが多い職場でした。
もっと早く転職すればよかったのでしょうが、お客様には大変恵まれ少しでもお役に立ちたいという気持ちが大きく、また能天気にも所長を信じていたので 「一生懸命仕事をして、何らかの恩返しができればきっと社会保険に加入してくれる日はやってくるはず」 と思い、ひたすら自分なりに最善を尽くして仕事をしていました。
その中で、自分の担当先から顧問料の倍増のお申し出を頂いたことなどもあり、再度社会保険への加入を打診してみたのですが 「社会保険については加入するなら、事務所負担分の約15%をあなたのお給料から減額します。 (中略) 訴えるならどうぞ。」 という返答でした。いつか分かってもらえる日が来ることを信じて10年以上我慢して働いてきましたが、これ以上は無理でした。もう所長を信じることはやめようと思いました。
いざ転職活動をしようにも何から始めて良いのかわからないことばかりでした。ただ、転職をしようと決めると電車内の広告や、ネット広告など今まで気づかなかったものが不思議と目に留まるものです。そしてたまたま目にした転職サイトに登録し、そこを通じて今回、株式会社エリートネットワークの廣重様と出会うことになりました。こちらの人材紹介会社以外でもいくつかお世話になりましたが、内定を頂けたからという理由だけでなく、私にはこちらの会社のシステムが一番合っていた気がします。
と言うのも、ファーストコンタクトから、実際のカウンセリング、応募先企業のご紹介、応募先との調整事項、その他ご相談事、等など一貫して全て廣重様がご担当でした。個人的な色々な事情等も全て分かった上で、担当して頂けるというのはこちらも安心ですし、気持ちの面でも楽でした。
ご紹介を頂く企業はどこも社保完備が当たり前でした。そうなるとそれ以外に自分で何を望んでいいのかもよくわからなかったのですが、カウンセリングを通じて少しステップアップをしたいという前向きな気持ちも生まれてきました。私は何かを望んではいけない人間なのではないかと、自分自身に対しても自信を失いかけていた中で、そう思えたことは奇跡に近かったかもしれません。その中でご紹介頂いた一つに、チーム制で仕事をする大手の税理士法人がありました。ほとんど事務所で留守番要員だった私は研修会等への参加機会も少なく、税理士としても自信が持てなくなっていました。転職できたとしても、果たして新しい仕事が自分に務まるのか不安ばかりが募っていた中で、チーム制という形態は願ったり叶ったりでした。
書類審査を無事通過し、その後の面接では等身大の自分を見てもらって、不採用ならそれはそれで仕方がないと割り切った姿勢で、けれどかなり真剣勝負をするつもりで臨みました。こんな私の事でも親身になってお話を聞いて頂けることに、感謝の気持ちで時折言葉に詰まりながらも、かなり洗いざらいをお話ししました。そして面接を重ねていく中で、ここで働きたいという気持ちが一層強くなりました。金額的な待遇面ではかなりのダウンになりましたが、ここで仕事をして税理士として自信を持てるようになりたい、という気持ちがとても強かったので、新しい一歩を始めるつもりで、内定を有難く受け取りました。
転職を決意し、転職活動をし、無事に転職先が決まりましたが、私の転職はそこで終わりではありませんでした。
退職日を巡って 「あなたの退職日はこちらで決めます。」 と言われたのです。私の予想以上に所長は激怒していました。まさか辞めるとは思っていなかったのかもしれません。
内定も出ているのにそんな事を言われても、というのが本心でしたが、どうしたらいいのかわかりませんでした。相談できるのは廣重さんしかいません。慌てて電話をすると、取り乱し気味の私に的確な対処方法を教えていただきました。お蔭で、無事に 「あなたの退職日はこちらで決めます。」 危機を乗り越えることができたのです。もしあの時相談していなかったらどうなっていたかと思うと今でも恐ろしいです。おそらく、せっかく頂いた内定を辞退し、数か月以上先の入社日で他の会社を探していたことでしょう。廣重さんのおかげで無事に希望の退職日に退職することができました。
お客様には最後の最後までお世話になりっぱなしでした。ご挨拶もできないまま退職日を迎え心残りに思っていたお客様から後日食事会を設けて頂いたり、別のお客様は、私しかいない時間を見計らってわざわざ事務所までお見えになり、「負けるが勝ちって言葉もあるから、自分を信じて頑張って!」 と励まして頂いたりしました。
退職した事務所で得たスキルは 「我慢と忍耐」 得た教訓は 「人を信じないこと」 でしたが、今回の転職活動を通じて、今迄お世話になったお客様や、私に内定を出して下さった企業様、今回非常にお世話になった廣重様はじめ多くの方々の事を思うと、得た教訓が 「人を信じないこと」 というのは違うのかな、という気が少しずつではありますがしてきました。ただ10年以上騙され続けたことは事実であり、その傷や損失は大変大きいものです。人は誰でも、過去を変えることはできません。過去の延長上に現在、そして更にその先に無数の可能性を秘めた未来があります。転職のきっかけは人それぞれ異なると思いますが、一つ言えるのは転職は大きな転換点に立つことができるという事です。もし迷っているのなら、何か行動を起こしてみることをお勧めします。たとえ小さな行動でも、それをきっかけに新たな未来が始まるのです。