学生時代からテーマとしていた「環境社会配慮」の仕事を突き詰めるため、メガバンクへ転職

学生時代からテーマとしていた「環境社会配慮」の仕事を突き詰めるため、メガバンクへ転職

No.1319
  • 現職

    メガバンク サステナブルビジネス部 環境社会リスク管理 調査役

  • 前職

    政府系金融機関 審査部 主任

春山 直哉 氏 29歳 / 男性

学歴:早稲田大学 公共経営大学院 卒
TOEIC 830点
ビジネス実務法務検定 3級
財務(銀行業務検定)3級

1.    これまでのキャリア形成

私の原点は、父親の影響で幼少期、学生時代に途上国に滞在(在住経験もあり)したことにあります。その際に現地で目の当たりにした途上国への開発援助に興味を持ち、大学では政治学科で国際政治や公共政策の基礎を学び、大学院では日本の公共政策大学院にて、開発援助の環境社会配慮(事業を行う際に発生する大気汚染や生態系等への環境影響、人権や労働環境等の社会的影響へ対処すること、また対処されていることを確認すること)とそのガイドラインについてテーマを絞り研究し、公共政策の専門職修士を取得しました。

公共政策大学院の卒業生の多くは公務員を志す人が多いですが、採用試験の難しさや労働環境の厳しさをある程度事前に知っていたこともあり、純粋な公務員に挑戦することはそもそも考えておらず、新卒では一般的なプロセスで就職活動をしました。「環境社会配慮の仕事がある」「公的機関である」の2つを主な軸として就職先を探し、最終的に某省所轄の政府系金融機関に入社しました。

入社後は、営業部門を1年半経験した後、かねてから強く人事部に希望を出していた甲斐もあって、環境社会配慮を行う部署に異動となり約3年間同部署で勤務しました。その3年間、個別案件の審査から私が学生時代論文のテーマにしていたガイドラインの改訂まで、幅広く経験をさせていただくことができました。また某国際機関にある環境社会配慮について議論する国際会議の担当もしておりました。20代後半にして個別案件の審査で世界中の案件に担当者として携わり、さらには国際会議の場で日本代表の一人を経験できた事は非常に貴重であり、後の転職活動でも強い武器になりました。

2.    転職するに至った理由

自らが志していた仕事に携わることが出来て充実していたところではありましたが、その一方で現状への懐疑、そして突然の部署異動と転職を決意するに至ります。
以下、少し細かく書いてみたいと思います。

●世界の潮流との逆行する対応への懐疑
2020年頃から世界の多くの国が脱炭素、人権保護等の環境や社会における課題解決に向けて舵を切りました。その影響は、私の仕事にも大きく影響していました。2019年後半から国際会議で定めている共通のガイドライン、自社のガイドラインそれぞれが改訂時期になり改訂議論が始まったのですが、その際にやはり気候変動と人権については規定や記載文言の強化、明確化が多方面から求められました。

その状況で自社として、日本としての対応はその世界の潮流とは真逆のものでした。「日本は工業国であるため、気候変動や人権について厳しいルールを課すことは難しい。」という姿勢で、規制論に対して正反対の議論を交わしたり、消極的なことを言ってみたり。会議に参加する度に、徐々に私の中に「これで良いのか?」という本質的な疑問が自らの心の底から湧いてきました。
ここ数年の世界の潮流、日本政府の2050年までのカーボンニュートラル宣言、日々報道される自然災害や人権問題……そのような中での逆張りは、長続きするものではなく何より真に社会課題に取り組む姿勢ではない、そう考えた時この場所で逆張りを続けるのは自分にとっても世の中にとっても良くないと判断し、転職を決意するに至りました。

●突然の異動、会社との不一致
所属していた会社では、希望すれば毎年1回人事面談を受けることができたので、私はその機会を使って自らの考えるキャリアパスを人事部門に伝えてきました。環境社会配慮の部署で仕事が出来たのも、そこでの話が効いて実現したものでもあります。希望の部署に配属された後も、その部署で永遠にというわけにはいかないことを理解していたので、その後のプランについても、自らの専門性を活かせそうなキャリアパスを人事面談で伝えておりました。

しかし、残念ながらそれらは人事に響かず、環境社会配慮の部署を仕事半ばにして、環境はおろか希望として伝えていたキャリアパスとは関係のない部署へ異動させられてしまいました。人事からは「他の仕事への理解を深めるため」と最もそうな理由を伝えられましたが、どう考えても人手が足りない部署へ増員するために充てられたような人事でした。

人員補充が主な理由だったか真意は不明ですが、それを除いても「仕事への理解を深めるため」というような曖昧な理由で、これまで積み上げてきた職歴とはほぼ無関係な仕事をさせられること自体受け入れ難いものでした。
良い言い方をすれば会社としては「組織のゼネラリスト」になって欲しいということなのでしょうが、関係ない部署への異動で今まで積み上げてきたスキル・知見を記憶の彼方に追いやる日々を過ごす中で、やはり自分の経験や専門性を活かさないのは理想のキャリアパスではないと改めて感じました。

よく「社会は自分の希望どおりにいかない、時間が掛かるものだ」と社会は甘くないワガママを言うなと思われたり言われたりすることがありますが、それは年功序列が絶対だった時代の古い考え方であると感じています。私が20代で海外案件や国際会議の主担当者になれたように、今は若いうちに活躍できる経験が積める機会は多くあります。そして何より、体力がある若い時期というのは限られていることを忘れてはいけません。
この多感で体力のある時期に自分自身にとってベストではない環境に身を置いてしまっては、身に付くものも付かないと思います。この貴重な「若手としての数年」を会社に無駄にされたくないという意識が私の中で強くあったことも転職に踏み切った大きな要因の一つです。

3.    転職活動

転職活動は初めてだったのですが、何となくエージェントを介して行うものというイメージはありました。転職活動を経験したことがある仲の良い友人へ、どのように活動していたかをひとまず聞いてみようと思い、様々なことを教えていただいたのですが、その時に良い意味で気を遣わず厳しく指導してくれるエージェントがあると話を聞き、それがエリートネットワーク様を知ったきっかけでした。その話を聞いた翌日、早速サービス申し込みに必要事項を記入し送信したところ、翌日すぐメールにてご連絡をいただき、カウンセリングをしていただくことになりました。

私を担当していただいたのは転職カウンセラーの篠原様で、これまでも総合商社や銀行等希望者が多い業界への転職サポートをなさったご経験も多いとのことで、大変心強い方を当てていただいたと感じておりました。カウンセリングでは、これまでどのような形で環境関連の仕事をしていたかという詳細な経歴や今後の希望等をお伝えし、後日それを踏まえた求人案件を選んでいただくことになりました。

その翌日、すぐに数十件、コンサル、総合商社、メーカー、銀行、証券等、多岐に亘る求人案件をご提案いただきました。その多くは昨今話題のサステナビリティを推進するというものでした。当初、「サステナビリティの推進」という働き口があるということはあまり意識出来ておらず、なるほど環境関連の仕事をしていればそのような仕事もあるのだな、と新たな発見でした。とりあえずいただいたものを厳選して6,7社ぐらいまずは受けてみようかなと思ったのですが、篠原様より「このレベル感の会社群であれば、面接に進めるのは10社に1社ぐらい」とのご指摘をいただいたので、厳選せず思い切って志望度が中程度も含めて幅広く20社ほど書類を出してみることにしました。

書類を出してから1、2週間程度で数社から1次面接の連絡がありました。業界もある程度幅を持たせて応募していたのですが、一部の業界からは1社も面接の連絡が入らなかった一方で、日系コンサルの複数社から面接のお声掛けをいただきました。コンサルに関しては、志望順位は中程度でしたが最も多く面接の機会をいただけたこと、学生時代の友人に今もコンサル業界で活躍している人がいたことを動機に彼らに様々な話を聞きながら働くイメージを膨らませていき、面接で話せるまで準備をしていきました。

面接を何回か受けると、コンサルタント職の良さ・面白さを感じる一方で、心の中で「コンサルタント職でこれまで以上に自らの専門性を磨けるか」という疑問のようなモヤモヤとしたものが残っていることに気づきました。コンサルタント職を通してこれまで得てきた知見を活かすことは出来る反面、日系でありお客様は国内企業である以上、これまでグローバルな現場で触れてきたようなものに刺激を受けることが今後できないのではないか、と考えるとやはり成長していくことは難しいのではないかと思うようになりました。

このような感触があることを篠原様にお伝えしたところ、更に追加で応募できる求人案件を探していただくことになりました。そして追加で数件をご提案いただいたのですが、その中の一つに、私の転職先となるメガバンクの個別案件の環境社会配慮を行うもので、まさに私がこれまで専門領域として経験してきたものをフルに生かせる求人を発見しました。つい最近募集が始まったとのこと、これも何かの運命だと思い、すぐに書類を送っていただき、有難いことに面接の機会をいただくことができました。

面接では、お会いしたことがある方も出てきて下さり、非常にスムーズに会話することができ、また仕事内容も私がやはり譲れなかったグローバルさがそこにはありました。
結果、一次二次と選考が進み、一次面接から1か月強で内定をいただくまでに至りました。もう1社日系コンサルからも内定をいただいたのですが、そちらはおおよそ2か月だったので半分の所要時間でした。

4.    転職活動を終えて/今後の展望

結果的には、運が良く自らのキャリアに合った転職先に巡り合えたと言えるかもしれませんが、運の良さの前に、そこまでに効果的な動きが出来たからこそ見つけることが出来たと感じております。

その最大のポイントは、「迅速に」「前広に」進められたところにあると思います。既に転職経験がある方ならこのような感覚があるとは思いますが、就業していると現職が忙しい、これまでの経験と離れた仕事をする自信がない等、これまでの就業経験を踏まえるとついつい保守的になり、転職活動自体が進まなかったり応募する踏ん切りがつかなかったりしがちではないかと思います。ただ、当たり前ですがそれでは進展が望めないため、打開するためには自分の中の「忙しいから」という言い訳や「こうじゃなきゃダメ」という規制を取り払うことが何より大切かと思います。

私自身も最初にエリートネットワーク様のカウンセリングをしたのが10月初旬でしたが、その時点で12月内定を目標にすることを決めておりました。また先述のとおり、当初はある程度絞っていた方針を広く検討する様にしたところ、様々な発見を得ることができました。結果的には運も大きく働いたとは思いますが、忙しくても先延ばししない、理想と少し違うことでも次々と検討していたことが、様々な可能性に触れる機会に繋がり、今回の結果を得る大きな要因となったと考えています。

私は予てから「オリジナリティのある人」になりたいと思い描いてきました。今回有難いことに、学生時代からテーマとしていた“環境社会配慮の仕事”を、30代を迎えても尚、引き続き取り組むことができることとなりました。ここまで環境社会配慮という分野で実務経験を積んでいる同世代の人はいないのではないかと思います。この掴んだ機会をしっかり活かすために引き続き自分の専門性を磨き、「貴方しかいない」と言われるような組織、社会に必要とされる人となることができれば幸いです。

最後に、転職にお力添えいただいた篠原様、エリートネットワークの皆様はじめ、相談に乗って下さった友人や家族に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

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