商社の人事からIT企業の人事を経て、製薬会社の人事へ

商社の人事からIT企業の人事を経て、製薬会社の人事へ

No.1352
  • 現職

    プライム市場 製薬メーカー 本社人事部 人事スタッフ

  • 前職

    プライム市場 老舗専門商社 人事部 人事担当
    グロース市場 情報サービス企業 人事オペレーションチームリーダー

草刈 智樹 氏 31歳 / 男性

学歴:香川県立 坂出高等学校 卒
中央大学 法学部 法律学科 卒
TOEIC 730点

この度、エリートネットワーク社の高橋様にご協力いただき、希望の会社に転職することができました。この『転職体験記』がどなたかの参考になれば幸いです。

私は今回の転職が2回目です。新卒では専門商社に入社し、人事部で6年勤務した後、上場して間がないIT企業に転職しました。その会社では1年半勤め、今の会社に転職しました。

職種としては人事で8年となりましたが、社会人になるときに人事を志望したわけではありませんでした。そもそも、大学に入学した段階では民間企業に勤める予定はなく、中学生の段階で、国家公務員になるために普通科の高校に行き、大学に進学するところまで決めていました。幼少期は田舎で過ごしていており家計としても高校を卒業して就職するのが当たり前だったため、大学に行くことすら当然の選択ではなく、国家公務員になるために大学に進学することを両親に許可してもらったという形になります。

しかし、第一志望の大学に合格することができなかったため、少し軌道修正をすることを考え始めました。よくよく考えれば、あまり深く考えていなかったかもしれませんが、学部としては志望していた法学部に入学することができたので、勉強を楽しみながら、他の進路を検討していました。

司法試験を受験する学生が多い大学であり、とりあえずしっかり法律を勉強することは徹底しようと思っていたため、大学1,2年の時は司法試験の勉強をしていました。しかし、奨学金を満額まで借りていて返済のことが気になっていたことと、試験勉強のためにアルバイトを続けながらあと4年間モチベーションを保つのが現実的ではなかったことから、普通に法律の勉強は続けはするものの、法科大学院に進学して司法試験を受けることは断念しました。

その後は、あまり将来のことは考えなかったのが正直なところですが、地方公務員の勉強をし始めました。幸いなことに、大学にて公務員試験講座を安価で開催してくださったのでそれを受講し、テキストで勉強している中、大学3年生となりました。
公務員試験対策をしながらも、周囲が民間企業の就職活動を始めるタイミングになると、どこか不安な気持ちになり、何か動かないと、という気持ちになりました。ただ、幼少期から公務員になることしか考えていなかったため、おそらく周囲の人よりも民間企業で働くイメージがついていなかったと思います。自分なりにインターネットや本、友人の話から情報を得て、業界として、メーカーやコンサル、商社などがあり、なんだかミーハーな気持ちで商社に興味を持ち始めました。

一人で色々悩んだ結果、父親に相談してみることにしました。父親の勤務先に某総合商社から出向してきている方がいるとのことで、帰省するタイミングで、お話を聞く機会をいただきました。その時に、商社パーソンになれば、法人営業を始めとしたビジネスの基礎を習得した上、大きなプロジェクトに関わったり、そのプロジェクトを率いたりすることができ、将来的には経営者としての経験も積むことができることを教わりました。狭き門ではありますし、厳しい環境であることも確認した上で、第一志望を商社にして就職活動を始めることにしました。

この辺りから、ルールメーカーとしての公務員になって日本の社会や経済を裏側で支えることよりも、ビジネスを自分の手で作りコントロールするプレイヤーになることの方に興味関心が高まっていました。今思えば、どちらのこともよく知らないまま進路を決めてしまっていた気がします。この人生における重大な経験から、一つのことにこだわらず、最初はある程度複数の選択肢をもってよく吟味する癖がついたような気がしています。

さて、業界としては商社、特に総合商社としたのですが、過去からの内定者の実績と比べると学歴では勝負にならず、英語力もなく体育会系ではないため、さすがに難しいかもしれないと思っていました。そのため、専門商社も併せて志望しました。商材としては一つこだわりがあったのですが、ここでは伏せさせていただきます。いずれにしても、キャリアが確実に営業職から始まり、顧客や社内の方々に叱られながらも、ビジネスの基礎をいち早く習得できるであろうということ、また、賃金が高めで安心して奨学金の返済ができそうであろうということから、総合商社と専門商社をそれらの子会社も含めて幅広く受けてみることにしました。

実際に就職活動に入ってみると、想像以上にうまくいきませんでした。集団面接になると、周囲には高学歴、体育会系、帰国子女などの英語力抜群の同級生ばかり。正直、かなり圧倒されましたし、学生時代に頑張ってきたことが「法律の勉強」だった普通の学生の私(その母集団からすると逆に普通ではありませんでしたが……)にとっては、厳しい道のりで、4年生の4月下旬にはあと2社しか残っていない状態でした。
ここが不合格なら改めてエントリーからやり直しという状況で内定をくださったのが、最初に入社した専門商社でした。電話をいただいたとき、迷わず「行きます!」と返事をしたことを今でも覚えています。

内定者期間や研修期間のことは割愛しますが、その後配属決定がありました。職種は営業でどの部署になるか、どの商材を扱うかを気にしていたのですが、結果としては人事。人事部に所属することになりました。
人事に全く興味がなかったかというと、そうではありませんでした。商社に入ろうと思ったのは、将来的には経営に携われるようになりたいという思いがあったからなので、最初は営業職で基礎を身に付けながら、ジョブローテーションで管理部門を経験することを思い描いていました。また、研修を受けている間に、管理部門で働いている先輩方の頭の回転の速さやユニークさに憧れ、仕事としても若い内から会社の全体像や仕組み、ルールを体感でき、知的好奇心のくすぐられる仕事だとは思っていたのですが、まさか1年目から管理部門、しかも人事部に配属されるとは驚きでした。ただ他の同期と比べると打たれ弱そうな性格と体格だったからかもしれませんが……。

驚きの配属で人事部員となったのですが、そこから6年間人事部にいることになるとは思ってもいませんでした。部内異動や部内兼務は何度かあったのですが、新入社員から、独り立ちして業務を回したり企画や提案をしたりするようになるまで、ずっと人事部にいさせていただきました。最初は驚いたのですが、意外と適性があったようで、楽しく人事の仕事ができていて、「やりたい仕事」の主張はしましたが、部外への異動の申告はしたことはありませんでした。

そのような環境の中で、一般的な会社の人事業務はほとんど経験できたと思っています。労務、組織・人材管理、給与、社会保険、人事制度、採用、研修、ダイバーシティ、HRIS、と幅広い領域をオペレーションから企画まで経験させていただきました。日本の伝統的な会社であり制度だったので、20代のうちにマネージャーとはいきませんが、後輩の育成や小さいチームの業務マネジメントくらいはさせていただきました。同時に社外のセミナーや勉強会に参加し、人事労務の知識も幅広く身に付けることができたと考えています。

転職を考え始めたのは6年目の時でした。人事制度とHRISの領域で、それぞれの比較的大きなプロジェクトのリーダーを任されながら、「これが終わったら、この会社の人事としてはひと段落つくなあ。」ということをふと考えるようになりました。この会社にまだ残る前提だったら、他の管理部門に異動したり、営業部門に挑戦したりすることは考えられたのですが、この頃には人事の仕事自体により興味が出てきて、極めていきたいという気持ちが強くなってきていました。「人事で飯を食っていこう」という気持ちと覚悟。また、社内では評価という面でも評判という面でも良くしていただいていたのですが、外の世界で通用するのかどうかを試してみたいという気持ちもありました。

一方で、非常にお世話になった会社に迷惑はかけたくなかったので、タイミングは慎重に選びました。二つのプロジェクトが終わる時に転職先を見つけて退職の意思を示そうとしました。当時お世話になっていた転職エージェントの方からも「その二つのプロジェクトを20代で完遂させておくとより市場価値が高まるので、是非そうしてほしい。」とアドバイスをいただいたので、そこは一生懸命頑張りました。

この時に残念だったのは、新型コロナウィルスが流行し、求人数が少なくなったタイミングで強行突破してしまったことです。今では人事のポジションだけでも複数のポジションをオープンにしている某社ですら、出向先のポジション一つだけだったり、コンサルは未経験者をほとんど採用しなかったり、という状態でした。しかし、当時興味を持っていたITベンチャー、ITメガベンチャーは新型コロナウィルスで求人をほとんど減らすことなく、しかも面接はほとんどリモートで行っていたので、好都合ではありました。

転職先をIT企業に絞ったのは、
①事業面では、これから社会に大きなインパクトを与え、社会を変革していくのはITであろう
②業務面では、人事制度や働き方に関する制度において日本の中では先進的な取組みをしているイメージがあり、これまでの経験を活かしながら新しい知見を得られるであろう
③キャリア面では、大企業よりも昇進が早く、早期にチームマネジメント、ピープルマネジメントを任されるようになるであろう
と考えていたからです。

社会貢献をしながら他の会社で通用するか試し、どんどんキャリアをあげていきたいという転職動機からは、打って付けの業界だと考えていました。将来的には年収を上げていきたいと考えていましたが、一時的に100万~200万円下がることはあまり気にしませんでした。
今思えば、そういう転職動機を持ちながらも、年収をそこまで下げる必要はなかったかもしれないと思っていますが、前述の通り、新型コロナウィルスの影響で大企業の求人はほとんどなかったので、冷静に比較検討する機会がありませんでした。そのため、もう少し待っても良かったかもしれないと思ってはいますが、一旦仕事が落ち着くタイミングを逃すと、また3年くらいは居続けてしまうことが目に見えていたため、そこは踏み切りました。

「大企業の文化が染みついている方は合わないと思います。」という趣旨の理由でかなりの会社から不合格のご連絡をいただきましたが、無事に志望していたIT企業から内定をいただき、入社を決めました。独自のカルチャーが強く、先進的な働き方に関する制度を導入している会社ということで、インターネットでも取り上げられている会社だったので、そういう会社で人事の仕事をすることを楽しみに入社しました。

4~5年前に上場はしている会社だったので、そこまで小さい規模ではありませんが、前職と比べると連結で8分の1くらいの従業員数になり、人事として管掌する人数は大きく減り、一従業員としてカバーする業務の量は大きく増えました。また、前職では毎日出社していましたが、ほとんどテレワークとなり、電話とメールの環境からチャットの環境に変わりました。前職では経営者層の話を聞く機会はほとんどありませんでしたが、社長や役員と1on1をしたり、全グループ社員が参加する会議があったり、と一個人としても人事パーソンとしても、いるだけで学べることが豊富でした。役員や部長レベルの方に対して、チャットでパパっと確認して仕事を進めていくスピード感にはなかなか慣れませんでしたが、通常の業務については早期に担当を任せていただき、複数のチームで進めるプロジェクトにも参画させていただきました。入社半年後にはプロモーションさせていただき、順調に楽しく働けていました。

基本的には楽しく働けていたのですが、やはり勤務時間が長くなりがちで、ある程度はきっちり進めていきたい性格なのに、会社としてはそういうフェーズではなく、出てきた問題をサッと解決して、次の問題に……というところでしたので、この不一致がなかなか解消せず、長期で働くのは難しいなと考えるようになりました。長期で働くことが見えなくなると、人事パーソンとしてこの会社をどうしていきたいか、という気持ちもなくなってきたので、早めに次を考えようと思うように気持ちが傾いていきました。1年働いた頃でした。

この時に、エリートネットワーク社の転職カウンセラー高橋様に相談しました。もともとこの会社に入社して数か月後に面談していただいていました。長く働く会社ではないということは考えていたので、入社した数か月後には転職エージェントの方と話して、次のキャリアを考えるということをやっていて、その時に一度相談していて、その時のことを思い出し、改めて相談しました。

高橋様からご指摘いただいたのは、「あのタイミングで転職エージェントに相談するのは異常だ。」ということでした。そのタイミングであれば、次のことを考えるより先に今の環境に没頭し、いち早く結果を出すよう努力することが何より重要であるということでした。
おっしゃる通りです。その場で何点か厳しいご指摘をいただき、恥ずかしい思いをしましたが、全て真っ当なご指摘でした。その上で、「以上の点をしっかり認識できたのであれば、少し時間を頂ければ、ぴったりの会社とポジションをいくつか見つけてきます。」と言っていただいたので、お願いしました。

高橋様からのアドバイスを受け、もう少し長期でキャリアアップしていくよう、キャリアプランを考え直しました。IT企業に行こうと思ったのには、日本の伝統的な大企業では昇進に時間がかかるからという理由がありました。しかし、極端な話、自分には30代で役員!部長!というまでの能力や器がないことを認識できましたし、一方で時間をかければ着実に成長していける自信がありました。制度的にも風土的にも、日本の伝統的な会社の方が自分には適性があるのだと再認識しました。

そのため、これまでの人事の経験を活かしながら、また規模の大きい会社で手本となるマネージャーがいて、長期で働くことを前提に考えられる会社をピックアップしていただきました。高橋様には非常に多くの会社を紹介していただきました。中には新卒時に志望していた会社もあり、また、一つ一つの会社について詳しく説明していただきました。他のエージェントの方は求人票レベルでしか各社のことを知らないというイメージを持っていましたが、高橋様は各社の特徴や長所、課題などを共有してくださいました。

また、今回の離職は短期離職となることから、面接でその説明をどうするか、という点で何度も推敲にご協力いただきました。面接対策というより、自身の思考回路の整理やキャリアイメージ形成にご協力いただいたという気持ちです。並行して別のエージェント経由で外資コンサルの選考も受けていたのですが、上述のキャリア観と合わなかったため、最終的には事業会社の選考をエリートネットワーク社経由で複数進めることになりました。

短期離職ということもあって書類選考で不合格になることが多くなるとの見込みから、書類はかなり幅広く出しました。実際に書類での不合格は多く凹んだこともあるのですが、結局は週2、3のペースで面接が発生する状態になりました。また、意外と、慣れないまま志望度が高い会社のWEB試験を受けると失敗する可能性があるので、書類を多めに出してWEB試験を複数社で受けながら、志望度の高い会社のWEB試験を受ける、というスキームを組むことができたのは助かりました。面接開始後も何度か高橋様が面談をしてくださり、本番は自信を持って臨むことができました。

第一志望の商社と第二志望のメーカーの両方の最終面接に進むことができたのですが、商社は最終面接で不合格となりました。しかし、メーカーからは合格連絡をいただきました。高橋様は当初からこちらの会社を強く勧めてくださっており、そういうこともあり、少し考えてから内定を受諾することに決めました。実はたまたまこのタイミングで、新卒で入った会社から「戻ってこないか?」と連絡をいただいていたのですが、まだ他社で1年半しか経験を積んでいない状態で戻っても、また近い将来に同じように外に出たいと思うようになると思い、第二志望のメーカーに行くことに決めました。

今、その会社で働いて、もう少しで半年が経とうとしています。労務や人材管理の領域でこれまでの経験を活かすことができ、プレイヤーでありつつ、業務マネジメントをするポジションなので、そういう面で新しい経験ができています。また、HRBPという未経験の領域をじっくり経験することができています。性格的にキャッチアップを焦ってしまう傾向があるのですが、上司からは「焦らずに。とりあえず一周するまでは。」と言っていただき、着実に新しい環境を楽しめています。

半年経って、今の会社では長期で働くことがイメージできています。メーカーなので、「人事」といっても、本社人事だったり、事業場人事であったり、と様々なポジションがあります。大きな会社なので、前の会社と比べたら、組織がしっかりしていて、組織を越えて仕事をするのが容易ではありませんが、これまでの2社で培ったスキルやフットワークを生かして一人事パーソンとして結果を出しながら、様々なポジションを経験し、長期目線でキャリアアップ、ステップアップができたら、と考えています。

最後になりましたが、エリートネットワーク社の高橋様には大変お世話になりました。高橋様がいなければ今回の転職はありませんでしたし、今の私はありませんでした。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
以上

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