東証プライム上場 財閥系海運会社 総合職
東証プライム上場 石油元売り会社 経営企画部
石川 拓斗 氏 34歳 / 男性
学歴:東京大学 工学部 応用化学科 卒
東京大学大学院 工学系研究科 応用化学専攻 修士課程 修了
TOEIC Listening & Reading Test 865点
学生時代は化学を専攻しており、就職後は研究開発職として働きたいと考えていました。就職活動中は、以下の2点を志望動機の軸に据え、主に石油・化学・素材メーカーの選考にエントリーしました。
① 社会全体を根底から支えるインフラ事業に携わる仕事ができること
② 環境問題を解決するための技術革新に貢献する仕事ができること
その結果、第一志望であった石油会社から内定をもらい、入社することにしました。石油会社と環境問題の解決はイメージが真逆だと思われるかもしれませんが、当時から石油業界は将来的な化石燃料の内需縮小に備えた事業転換を図っており、高機能素材事業や燃料電池事業といった次世代事業の育成に注力していたことから、自身の志望動機にもマッチし、かつ学生時代の専攻分野の知識を活かせるものと考え、第一志望としていました。
入社後、最初に配属されたのは潤滑油の研究開発職で、日系自動車メーカー向け潤滑油のOEM製品の開発業務を担当しました。研究開発職というポジションは希望通りでしたが、扱う商材が潤滑油というのは想定外でした。しかし実際に実務をやってみると、顧客からのハードルの高いリクエストに的確に応えつつ、信頼関係を構築し、同業他社との開発競争の末にビジネスを獲得するという、当初自身が思い描いていた研究開発職のイメージを超え、非常にやりがいのあるものでした。また、入社3年目からの2年間は、ゲストエンジニアとして顧客のR&Dセンターに常駐し、机を並べて一緒に仕事をする機会をいただきました。若手ながらも、自社を代表して顧客と日々の交渉を行い、製品開発の最前線に身を置くことができたことは、今思えば非常に貴重な経験だったと考えています。
その後、研究開発からビジネスの現場に飛び込んでみたい、という異動希望が叶い、入社5年目から潤滑油のグローバル営業職に異動しました。担当顧客は研究開発職時代と同じ自動車メーカーで、世界各地で行われる入札案件に関する情報収集、交渉を担当しました。一番の思い出は、入社当初から開発に携わっていた製品の海外納入が実現したことです。納入開始前の最終調整時にはその現場に立ち会うことができ、非常に感慨深いものでした。また、海外出張の機会も多く、米国・アジア諸国・中東・アフリカなど様々な国に赴くことができました。
その後、入社7年目からは経営企画部に異動しました。これは自身にとっても想定外の異動でした。ここでは中期経営計画をはじめとする会社の将来戦略策定、予算策定、投資案件の審査等に携わりました。これまでの業務経験とは全く毛色の異なる仕事ばかりで、異動当初は非常に苦労しましたが、会社全体の経営状況を知ることができたたけでなく、社長はじめ経営幹部の生の声を聞くことができ、この部署でしか得られない貴重な経験を積むことができました。
明確に転職を考え始めたのは、経営企画部に異動して3年目、入社9年目の時です。世界的な脱炭素化の流れが加速し、石油業界全体として将来見通しが急激に悪化したこと、またその割には新規事業への事業ポートフォリオの転換や海外での事業展開が思うように進まず、会社としての明確な将来ビジョンを固められない状況を目の当たりにし、この会社に10年後、20年後も身を置いていて大丈夫なのか、強い危機感を覚えるようになりました。加えて、社内の人事制度上、いわゆる背番号の縛りが非常に強く、新卒入社時の配属部署と異なる部署への異動が非常に困難、という点も、転職を決意する大きなきっかけになりました。せっかく会社全体としては様々な事業を展開しているにもかかわらず、たまたま最初に配属された部署で背番号を付けられ、それが将来的なキャリア全体に渡って影響するというのは、人によって賛否両論あると思いますが、私自身は非常にもったいないことだと感じます。
一方で、これまでの自分のキャリア、社内の人間関係、待遇、働き方に大きな不満は無く、また子供が産まれたばかりのタイミングであったこともあり、「いま本当に転職するべきなのか」、「もう少し今の会社で頑張ってみるのも悪くないんじゃないか」、とかなり迷いましたが、妻とも相談し、転職への後押しをもらったこともあり、思い切って転職活動を始めることにしました。
まずは複数の転職サイトに登録し、様々な企業や転職カウンセラーから送られてくるオファーを眺める日々がしばらく続きました。転職先を選ぶにあたり、こだわった点は以下の5点です。
① 社会全体を根底から支えるインフラ事業を担っている
② 全社的なジョブローテーションの機会がある
③ 長期間腰を据えて働くことができる
④ 将来的に海外駐在の機会がある
⑤ 年収を今よりも落とさない
逆に、部署や職位へのこだわりはありませんでした。これまでの部署異動を通じて、「どんな仕事もやってみなければ分からないやりがいや面白さがあること、どんな仕事からも新たな知見を得ることができ、それが自身の成長に繋がる」ということを経験していたので、転職サイトでもなるべくオファーの間口を狭めないよう、あえて細かい条件設定は付けませんでした。
学んだ点としては、企業や転職カウンセラーからのオファー段階で、自分のキャリアや能力のどの点に注目してオファーしてきたのかを見極めることが重要である、ということです。相手が魅力に感じているポイントが、自分がアピールしたいポイントとマッチしていれば、選考もスムーズに通過でき、転職後も満足のいく働き方ができると思います。
反省点としては、オファーの間口を広げ過ぎたために、実際にどの企業にエントリーするのか決め切れず、エントリーするまでに時間がかかってしまった点です。特に転職カウンセラーの方々は、人によって持っている情報量やアドバイスの仕方もバラバラなので、すべてを聞き入れてしまうと自分の軸を見失ってしまう恐れがあります。ある程度色々な方から話を聞いてみて、内容が自分の中でストンと受け入れられると感じたら、早めに特定の転職カウンセラーに絞るのが良いと思います。
転職サイトから届いたオファーを見ていたところ、たまたまエリートネットワーク社に辿り着き、転職カウンセラーの高橋さんと面談することになりました。上述したような転職検討理由や転職先への条件等を伝え、1時間ほど面談したところ、他のカウンセラーとは比較にならないくらい、様々な企業に対して豊富な情報量を持っておられると感じました。また、どんなオファーに対しても決して強引な薦め方はせず、常にこちらに考える時間をくれたことも、「この人になら自身の転職活動を任せられる」という安心感を持つことができました。エントリーシート等の書類も、自分が納得のいくまで何度も書き直し、そのたびに根気強くチェックしていただきました。
実際にエントリーしたのは現職も含めて3社のみです。自分が転職先に求める条件をすべて満たす会社だけに絞り、ダメならまた再チャレンジの機会を伺えばよい、というスタンスでした。最初の2社は面接選考に進んだものの、一次面接で落ちてしまいました。個人的には、面接官に伝えたいことは全て伝えたつもりだったので、何がダメで落ちてしまったのかよく分からず、高橋さんに相談し模擬面接を行ったところ、「話している内容自体は全く問題ない。ただし、面接中は会話のキャッチボールが重要。今の貴方の話し方はキャッチボールではなくプレゼンテーションになっている。面接官はそんなもの求めていませんよ」とズバリご指摘をいただき、いままでのモヤモヤがスッと晴れていくのを感じました。そこからは会話のキャッチボールを意識して何度か面接練習を重ね、最後に「もう大丈夫。次の面接は気負うことなくありのままで臨んでください」と激励の言葉をいただいたことで、3社目に受けた現職の選考には何の不安もなく臨むことができ、無事に内定をいただくことができました。
余談ですが、現職の選考中に、前職から海外駐在の内示をもらい、図らずも自身のキャリア希望が叶えられる形となりました。このまま転職活動を続けるべきなのか、せっかくの海外駐在のチャンスを逃して良いのか、再び迷いましたが、現職も海外駐在の機会が豊富な会社であったこともあり、最後まで選考を受けたうえで、「内定が出れば転職する、ダメならこのまま駐在する」と腹を括って選考に臨んでいました。
今回の転職活動を通じて、幸いにも自分の希望をすべて満足する会社に転職することができました。これもひとえに、高橋さんの手厚いサポートと叱咤激励のお陰であると感じています。もし内定が出ていなければ、今頃は海外駐在していたのかと思うと、大げさではなく自分や家族にとって、人生の大きな転機であったと思います。今回のご縁をしっかり活かし、チャレンジ精神を忘れず、自身の経験・知見を拡げ続けていきたいと思っています。
また、過去の私のように、長期的な将来に対する不安はあるものの、目の前に差し迫った大きな不満が無い場合、なかなか転職活動に踏み切れずに迷っている方も多くいると思います。結局、将来のことは誰にも分からないですし、私自身も、転職活動中に迷うことがたくさんありましたが、そんな時に常に自分の心に問うていたのは、「やって後悔するか、やらずに後悔するか」のどちらを自分は受け入れられるか、ということです。私は後者になるのは絶対に嫌だったので、最後まで転職活動をやり切ることにしました。この体験記を読んでいる方々にとって、転職活動を始める、あるいは継続するうえでの一助となれれば幸いです。
最後に、転職活動を最後までサポートいただいたエリートネットワーク社の皆さま、高橋さんに改めて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。