欧州でのストラクチャードファイナンス経験を活かし、帰国後は総合商社の航空機事業部へ

欧州でのストラクチャードファイナンス経験を活かし、帰国後は総合商社の航空機事業部へ

No.1411
  • 現職

    財閥系 総合商社 航空機事業部 総合職

  • 前職

    国内 大手金融機関 リスク統括部 信用リスク管理担当
    日系商社の海外拠点 欧州オフィス コンプライアンス管理職
    海外の航空機リース会社 ストラクチャードファイナンス アナリスト

松 珠子 氏 31歳 / 女性

学歴:東京大学 経済学部 金融学科 卒

① 新卒時の就職活動の志向

大学で就活を始めた頃、実は「志」といったものはなく、「就職活動ってどんなもんなん?」「みんなやってるから自分もやらないと」という軽い気持ちからのスタートでした。
金融学科だったので、何となく金融メインで応募していましたが、周りの友人に人気な総合商社や、特定のメーカーも一応数社応募して、計30社ぐらい書類を出していた記憶があります。

最初の頃、いわゆる「なりたい姿」、「キャリアにおける目標」は曖昧でしたが、「なりたくない姿」だけははっきりしていました。当時親しくしていた先輩の中に、外資系の銀行と外資系コンサルティング会社に勤めていた方がいらっしゃったのですが、そのお二方の激務ぶりを見て、「それは無理!」と、できれば給料と労働時間のバランスが比較的に良いところに行きたいなぁと思いました(その思いは実は今も変わっていません)。
当時所属していたゼミに前職の内定者が2人いらっしゃって、そこから所謂リクルーター面談のレールに乗り、無事内定を頂きました。お会いした先輩方の人柄の良さが決め手となり、入社することになりました。

② 今日迄の担当業務や実務経験、体得したスキル

新卒で入社した銀行には、3年ほどお世話になりました。窓口業務、法人営業業務、本店でのリスク管理の業務を一通り経験しました。
社会人としての基礎を学ばせて頂いた3年間で、特に最後の部署で大量のデータを取り扱い、厳しい期限に追われながら多数のカウンターパーティーと提携して仕事を進めてきたことが、一番良い経験になったと思います。
例えば、当時メインの仕事の1つとして、定期的に金融庁に報告する業務がありましたが、その仕事は要するに自動車を作るのと同じです。
色んな部品をもらって組み立てて、車体を作って、エンジンも作って、それらを組み合わせて車を作ります。そのためには、最後の納品が間に合うように、それぞれの部分でのスケジュール管理がとても大事になります。
自分は、全体像を頭に入れてどの部品、どのパーツが今どういう状況にあるのか、ということをうまくマネージして最終納品に間に合わせることが得意であると気付きました。
また、地味なスキルですが、エクセルやアクセスの操作にも慣れてきて、それらを用いた業務では人には負けないという自信がつきました。

夫の海外転勤をきっかけに退社し、一緒にヨーロッパに渡り、そこで丸5年間生活しました。
赴任する前に、自分は英語がそれなりにできるから、現地でも仕事はすぐ見つかるだろうと楽観的に考えていましたが、実際は全然うまく行きませんでした。
パーマネントポジションに応募するには、パーマネントのビザを持っていることがほぼ必須要件でした。
一方、求人数の多いスーパーマーケットの店員や事務支援の仕事への志向は弱かったので、納得できる仕事が見つかるまで半年もかかりました。
半年間家庭で主婦をしていた訳ですが、自分はいかに主婦業に向いていないかはっきりわかりましたし、生涯働き続けていきたい気持ちが強まりました。

2社目の会社は日系商社の海外拠点で、一時的な欠員補充のため募集をかけていたもので、頂いたポジションは1年契約でした。半分日系スタッフ、半分現地スタッフといった人員構成でした。
1年間内部管理系の仕事をしていたのですが、前職の経験をフルに活かせる仕事内容でスキルアップするというよりも、契約社員という身分で現地スタッフのコンプライアンス違反をモニタリングする等の業務を任されました。
ある仕事では対立する立場でありながら、別の仕事では協力し合わないといけないという、やや不安定な人間関係に日々悩まされていました。
敵意や警戒心を少しでも減らすために、新ツールを作ってチームの残業時間を減らしたり、「私はあなたたちの役に立つよ」とアピールしたり、英語をアメリカ式からイギリス式に少し変えて話題を作ったり等、その労働環境に適応する努力を経て、人間としてより柔軟性を得たのではないかなと振り返った際に思いました。

1年契約が終わり、次の就職先が見つかるまでまた時間がかかりましたが、数ヶ月後、航空機ファイナンス関連の現地企業に入社しました。
それまで航空機自体に全く縁もゆかりもなく、正直興味すらあまりなかったのですが、当時ビザが残り1年未満の私を正社員として受け入れてくれたこの会社には、感謝しかありませんでした。
入社後、初めて実際の「もの」を取り扱うビジネスに携わってみて、思った以上にダイナミックで面白かったです。
アセットに関する知識を日々吸収し、エクセル能力を発揮して自社モデルをマスターした上でVBAを独学し、更にモデルを改良するなど、チームとして引き受けられる案件数をぐっと伸ばしてきました。

航空機に関する専門性がついてくると、空を見上げる度に、過去に味わったことのないロマンを感じるようになりました。
「あの飛行機は私が関わったことのあるものだろうか、タイプは何で、何歳ぐらいか?」というものです。
また、空港に行けば、家族や友人に語れることは、いくらでもありました。
そこでちょうど3年ぐらい勤めた頃、夫に帰国の辞令が出ました。これからどうしようと相談を上司やCEOにしたら、辞めてほしくないと言って頂き、フルリモートで日本で仕事を続けることになりました。

③ 転職に至ったきっかけ

今回転職したいと思った直接的な原因は、労働時間をどうしてもヨーロッパ時刻に合わせなければならず、夜型のライフスタイルになってしまったことです。
時差がある環境で、社内コミュニケーションも以前より難しくなりました。もっと正直に言うと、いつも深夜の自宅で孤独にキーボードを叩くのは自分の性格にあまり合っていないのです。

更に、将来のキャリアを改めて考えた際、前職でのキャリアアップは会社の性質や規模上難しいと思ったため、転職を決心しました。
仕事内容は航空機というアセットに拘っていませんでしたが、航空機ファイナンスの専門性や海外現地会社で働いた経験を今回の転職活動の売りにしようと考えていました。

④ エリートネットワークさんを選んだ理由

夫の辞令が出て帰国が決まった時点で、航空機ファイナンスの求人が多く掲載されている(株)エリートネットワークさんと、別の大手人材会社の方とそれぞれ面談しました。
その際は特に転職すると決めた訳ではなく、あくまでも今の日本で、私にどのような選択肢が残されているかという市場調査的なものでした。

面談したエリートネットワークの転職カウンセラーのご担当は篠原さんでしたが、もう1人の他社エージェントさんと比べて、明らかに質問のクオリティが違っていました。
質問リストの棒読みなんかではなく、聞き上手と言いますか、適切な量と長さの質問を通して、私の転職に関する諸々の思いを十分に理解して下さったという感触でした。転職を決心した後、すぐに篠原さんに連絡しました。
また、エリートネットワークさんが取り扱っていないけれども、興味がある求人案件が存在したため、他社にも連絡しましたが、遣り取りのスピード感が全然違いました。
それでエリートネットワークさんをメインエージェントとしてお願いしたいと決めました。

私はこれまで3社経験してきましたが、うち海外における2社の転職活動はどちらかというと不本意でもあり、選択肢が限られていた非常に受け身の転職活動でした。
CVを出しても出しても、誰も会ってくれないという状況が、また続いたらどうしようと、転職活動そのものに、私は少なからず恐怖を感じていました。
そういう時に、綺麗事を言わずに、良いところにも悪いところにも真摯に向き合い、質問や不安にいつも迅速に答えてくれて、常に状況把握をしてくれるエージェントさんがいたら、心強いものです。

篠原さんには沢山のサポート(書類の確認・添削、模擬面接、面接日程調整、オファー期限調整、諸々の選考状況確認)をして頂き、そのお蔭で複数の会社さんから良い評価を頂きました。
過去の長い長い転職活動で傷付いた心がその過程で癒され、自信がつきました。良いエージェントさんに出会えて本当に良かったと思います。
転職するかしないか悩んでいる家族を、そのまま篠原さんに紹介しました。

⑤ 転職活動を通じて、気づいた点や学んだ点、反省点等

今回の転職活動は、自分はどういう人間か一度見つめ直し、将来的にどうありたいかを深く考える、良い人生イベントでした。
気付いた点としては、人間としての「ソフトウェア」と「ハードウェア」、持っているものをどう見せるか、ということの大事さです。

「ハードウェア」の大半は履歴書で見れると思うかもしれませんが、やはり現場の社員の方から「XXXというような業務を日々なさっていますが、本当にできますか?」というような質問がかなりありました。
良い実務経験をしてきたのであれば、それをつまらなく感じさせずに、相手に分かりやすく言語化することの大切さを体感しました。

「ソフトウェア」面では、素の自分を出すことを意識していました。
正直これは良いことかどうかわかりませんが、私は今回の転職を最後にしたいと思っていますので、一生働く場所には素の自分を受け入れて欲しいという想いがありました。
そのお蔭で一貫性がぶれることがあまりなかったと思います。
「私:少し負けず嫌いな性格でして、XXXXXX」
「面接官:その性格はどこから起因されているんですか?」
とか、深いところまで聴いて下さる方がいらっしゃるので、最初から素を出さなかったら、どこかで人としての像がぶれぶれに映ったかもしれません。

反省点としては、視野が狭かったことです。
先述したように、転職活動に恐怖心があったため、最初は自分が思った「書類が通る勝算の高い」金融業界だけに応募することで、勝手に可能性を殺そうとしていました。
篠原さんのお勧めが無ければ、私は今回入社する予定の総合商社さんとはすれ違っていたと思います。
どなたにとっても、転職は一大イベントだと思いますので、入口で色んな業界を網羅している専門家の意見を聞くことが為になると思います。

⑥ こだわったり、譲れないとお考えになった事柄

面接の機会を頂けることは、非常に有り難いことです。面接で会って下さった全ての方に、常に敬意と感謝の気持ちを持って面接に臨んでいたことは、私の拘りだったと思います。
好意を持って人と接すれば、絶対ではありませんが、自分の場合、その気持ちが相手にも伝わり、同様に相手からも応えられることが多かったです。

⑦ 次の職場に賭ける意気込みや覚悟

新卒入社した会社を退職し、夫の海外転勤についていくことが、これまでは犠牲だと捉えていました。
海外での仕事は、会社知名度・規模面と収入面からすれば、世間一般が言うキャリアダウンになるでしょう。
ただ、人生には何が起こるかわかりません。海外で色んな困難な局面に直面して、職場でバックグラウンドの違う沢山の方々と一緒に仕事をしてきたからこそ、今の自分になり、そんな自分を評価して下さる会社さんにも出会えたと思います。
下を向くことなく働いていこうと、昔も今も思います。

これまでお世話になった全ての方々に感謝し、これから始まる新たな舞台で、新しい仲間との信頼関係を少しずつ築いていき、そして力を合わせて、会社と社会にできるだけ貢献していきたいです。
またその過程で、自分もより良い人間を目指していきたいと思います。

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