東証プライム上場 首都圏が地盤の有名ホールディングカンパニー 不動産部門 再開発担当
東証プライム上場 大手鉄道会社 不動産部門 不動産開発担当(プロジェクトリーダー)
目黒 菜央 氏 33歳 / 女性
学歴:国立大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修了
一級建築士
宅地建物取引士
TOEIC 800点台
TOEFL 61点
ものづくりによって社会貢献がしたいという考えから、大学院まで専攻していた建築学に通ずる、街づくりができる企業を志望しました。
中でも駅周辺の街づくりをはじめ、固定資産として持ち続け、永続的に街に責任を持っていけると思い選んだのが、鉄道会社でした。鉄道との親和性による、持続可能な街づくりに携われることに加えて、非鉄道収入50%を掲げ、CVCを通した新規事業実績もあり、鉄道だけでない様々な事業に参加できる可能性に期待し、入社を決めました。
駅員として現場最前線で働く経験から、大規模エリアマネジメントの企画運営、駅前再開発事業の渉外協議・基本計画・意思決定機関への付議等、上流から下流までの業務を一通り経験できました。
多くのリソースを鉄道事業に割いているため、不動産開発の知識と実務経験がある人材が不足しているとのことで、若手のうちから活躍できる余地があったことは不幸中の幸いです。
また、大手鉄道会社ということで、社員の多くは明るく朗らかで聡明な方で、人間関係は良好でしたし、上司や同僚には非常に恵まれた環境でした。上司に気力と成果を提示すれば、年次は関係なく会社の一大プロジェクトに参加することもできました。
責任を持った仕事をする機会をもらい、多くの方々と協働していく中で、折衝力・意思伝達力・諦めずにやり抜く力を得られたと考えます。
ターミナル駅の再開発や国土軸の形成に及ぶマスタープランの検討等、若手の段階から規模の大きく公共性の高い事業に携わることができ、入社当時の社会貢献をしたいという想いは実現できました。
しかし、インフラ企業の最重要課題である「安全性」に傾倒した保守的な姿勢に疑問を感じる機会が次第に多くなりました。大企業はみな孕んでいる課題ではありますが、組織が大きいために縦割りが強く、意思決定に時間がかかる点も気がかりでした。
また、不動産開発関連の人的リソースが非常に手薄であるという、収益構造と乖離した状況は、入社して5年経っても変わることがなく、さらにコロナウイルス感染症蔓延に伴う鉄道事業への大打撃を受けてもなお、変化に対応することができなかった点が決定打となりました。
価値観の変化が激しい現代において、変わっていける柔軟さ、そして挑戦できる盤石な経営基盤が必要なのではと考えるようになり、転職活動を開始するに至りました。
価値観の変容に追従するための挑戦ができ、前向きに、組織が一丸となって、あるべき姿へ突き進むような組織に身を置きたい。これは最初から最後まで譲れなかった軸です。
一方、転職活動の初期は、仕事一辺倒でプライベートを多少削ってでも成果を出すようなキャリアも視野に入れていました。
しかし、(株)エリートネットワークの担当カウンセラーの黒澤さんと会話を重ねる中で、不動産開発(いわゆるディベロッパー)の業界風土を知り、本当に私の人生で大切なものは何かをじっくりと考えるようになりました。
私は女性なので、出産という大仕事を予定する中、それでもキャリアを守り、生涯できるだけ長く仕事を通して社会貢献したいという想いを自覚し、女性社員が活躍する(バックアップ体制がある)企業、これが私の求めるもう一つの大きな軸となりました。
何となくぼんやり感じ、考えていることでも、文章にしようとすると難しいということに、転職活動を通じて気づきました。
まずは転職理由や、志望業界に対する考えを箇条書きで自分の考えをまとめる。その文章をもとにエージェントさんと意見の遣り取りをする。
この作業だけでも、かなり手間のかかることですが、キャリアの棚卸しという観点で、とても有意義なものだと思います。ぼんやりとしていた自分の考えを第三者に説明することで、次第に整理されていきました。
会社に対して疑問を持った時期ではなく、むしろ疑問を持たずとも入社して数年経つくらいのタイミングで、このような作業をしていれば良かったと思います。キャリアの棚卸しは会社に不満を持って初めて考えるものではなく、自分の仕事やその成果を顧みるための作業でもあると思います。日々の業務で手一杯、という数年間が勿体無かったと感じました。
転職はタイミングが重要です。
興味のある会社でも年に決まった時期にしか募集していない、新卒採用との時期をずらしている(つまり秋採用のみ)等、条件があります。
また、複数の内定が出た場合には、選考の時期を合わせないと持ち手カードとして比較ができません。そのため、事前にエージェントさんとざっくりとした内容で相談をして、全体像を確かめる必要があります。
全体像を見ぬままに進んでいた点は、個人的に反省点でした。
離職率が著しく低い会社で、主に恵まれた人間関係の中での業務をしていた「箱入りプロパー社員」から、「即戦力を期待される中途入社社員」になる。これはとても覚悟のいることで、決断には多くの葛藤がありました。
しかし、今後の自分のキャリアをより良きものにするには、ここでその可能性を諦めてはならないと思いました。
なりたい自分になるために一歩でも挑戦しに進んだという事実は、必ず何らかのかたちで良いものとして返ってくると信じています。
精一杯、次の企業においても尽力していきたいです。