この『転職体験記』に数年前から触れていた国家公務員女性、転職の機が熟し、財閥系金融機関の本部へ

この『転職体験記』に数年前から触れていた国家公務員女性、転職の機が熟し、財閥系金融機関の本部へ

No.1422
  • 現職

    日系 大手生命保険会社 企画部 サステナビリティ経営推進担当(主任)

  • 前職

    霞が関勤務 国家公務員 総合職

河内 絢乃 氏 27歳 / 女性

学歴:私立高校 卒
東京大学 文学部 行動文化学科 卒
TOEIC 925点

はじめに

このたび、(株)エリートネットワーク様にご支援を頂き、国家公務員総合職からの転職を叶えることができました。
この体験記が国家公務員からの転職を検討されている方、特に、転職したくとも自分に転職先はあるのだろうか?と不安に思われている方の参考になれば幸いです。

国家公務員を選んだ背景

学生時代の就活では、特に行きたい業界等もなく、親や親戚からの「女性でも働きやすい」という勧めや「どうせやるなら幅広く人のためになる仕事をやりたい」という漠然とした思いから、公務員を志望していました。
一方で、国家総合職については、法学部でもない自分が就くイメージが持てなかったため、前々から目指していたわけではなく、始めは漠然と地方公務員を目指していました。

そんな中、友人の勧めで官民合同の就活セミナーに行き、前職の説明会に参加する機会がありました。
そこで職員の方が、自分が当時関心を持っていた社会問題の解決に向けた制度改正の話をされていて、非常に感銘を受け、「自分がやりたいのはこういう仕事かもしれない」と熱い気持ちになりました。
一目惚れのようにその省庁の仕事に出会った後は、説明会やイベントに何度も通い、そこでやっている仕事が幅広く自分の関心に沿うこと、職員の方々も皆魅力的で話しやすいと感じられることを逐次確認していきました。

そして無事、国家総合職の試験にも合格し、官庁訪問でも無事に第一志望省庁に内々定を頂けました。
内々定を頂いた時は、自分が行きたいと思っている職場から、一緒に働きたいと思ってもらえたことを非常に嬉しく感じていたのを覚えています。
なお、当時も、他省庁に就職した大学の先輩の話やインターネットの情報から、霞が関の官僚の働き方は過酷だと聞いていたため、躊躇いはありました。しかし、そこまで自分がやりたいと感じたことについて、やらないうちから諦めるのはきっと一生後悔する、やってみてだめなら辞めればいい、と気持ちを整理して、入省を決めました。

入省してから転職を決意するまで

入省してからは、省内・部局内の取りまとめ・調整業務を多く経験しました。
法令改正や政策立案に関するスキルはそこまで身に付きませんでしたが、沢山の関係者に必要な情報を整理して伝え、コミュニケーションを取ること、複雑な案件の要点を見極めること、短い時間でざっくりとした成果物の形を作ることといった、名前の付かないスキルは身に付いたと思います。

働き方としては、やはり聞いていた通り業務が多く、忙しい部署にいた時は、終電が通常、遅い時は3時4時まで残業する期間が数ヶ月続く(月の残業時間としては百数十時間)、ということもありました。
更に、想像以上に若手ひとりに任される仕事の責任が重く、成長はできましたが、自分が手を止めてしまえばこの業務は立ち行かなくなる、というプレッシャーが大きい職場でした。

運良くこれまで体調を崩したことやメンタル不調に陥ったことはありませんでしたが、寝ることだけが楽しみであるのに、その睡眠時間すら満足に取れない日々の中、「体調を崩せば休めるのに、なぜ自分は毎朝起きられてしまうのか」と思ってしまい、普通ではない精神状態の時もありました。
また、世の中にとって必要と思われる仕事の提案を受けても、「お願いだからこれ以上自分の仕事を増やさないでほしい」と前向きな気持ちになれず、自分はこの仕事を続けるべきではないと感じました。
それでも数年間辞める踏ん切りがつかなかったのは、まだ経験した領域が狭く判断するには早い、今後自分がこの職業を志した想いに繋がるような仕事ができるかもしれない、と思ったためです。

そのような中、転職を決意したのは、ある時応援派遣された部署で、毎日明け方まで大量の国会答弁を作成していた折、自分がいくら働いてもこの国は1ミリも良くなっていないと感じてしまったこと、そして、仮に将来どれだけ意義がある仕事ができたとしても、この働き方は二度としたくないと思ったことがきっかけでした。
更にその後、かねてから関心のあった分野で政策立案に携わる機会を頂いたものの、楽しさが辛さを超えることはなく、これまでの気持ちを覆すには至らなかったということも、決め手になりました。
また、今後のライフイベントを見据えると、仕事に全力を注げるのは残り数年で、その期間のうちに次の職場へのキャッチアップをしておきたいと考えたこともあり、今このタイミングで転職をしよう、と決断しました。

転職活動について

転職の踏ん切りがつく前から、自分が興味を持てる仕事はないかと日常的に転職サイトを眺めていました。
しかし、求人票に書かれているような企業が求める能力(例:「人事の経験〇年」等)に自分の業務経験が当てはまることが少なく、自分でも応募できそうな未経験可の求人があったかと思うと、立ち上がったばかりのスタートアップ企業など、働き方に不安を覚えるものばかりでした。段々、自分を拾ってくれる行先があればそれで御の字ではないか、と半ば諦めのような気持ちを抱くようにもなりました。

エリートネットワーク様のHPは、数年前から、頻繁に「国家公務員 転職」で検索する中で拝見しており、転職体験記で国家公務員から民間大手企業への転職を叶えられている方が何人もいらっしゃったのを知っていました。このため、転職をする意思を固めた段階で、自分にどういった就職先があるのかを知る意味でも、面談の申し込みをしました。

ご相談する際には、主に以下の3点、拘りたいことを事前に整理していました。
①ワークライフバランス(最優先)
一口にワークライフバランスと言っても人によって求めることは変わってくるため、平常時は日に1~2時間くらいの残業で早く帰れること、繁忙期であっても恒常的に睡眠時間を損なうことや休日に稼働することがない等、具体的にイメージをするようにしていました。
②長期的なキャリア形成が見込めること
何度も転職を繰り返しながらキャリアを築いていくイメージが持てなかったため、40、50代のキャリアもイメージできるような職場環境が良いと考えていました。
③その企業の経営理念に共感でき、やっている事業内容を必要だと思えること
これは、初職を選ぶ時にも大事にしていたポイントで、また、日々転職サイトを眺めている中でも興味を持てる/持てない求人の差として感じたことでした。この点が欠けてはおそらく国家公務員を辞める踏ん切りもつけられないだろう、ということも考えていました。

なお、自分の職場で転職された方の多くは外資系のコンサルティングファームへの転職で、コンサルティングファームが近年積極的に国家公務員からの転職者を募集していることも知っていました。
しかし、業務上お付き合いのあった複数社の方や大学時代の友人の働き方を見ていると、ワークライフバランスの面ではあまり変わらないのでは?と感じていたこと、クライアントワークに自分自身あまり魅力を感じられなかったことから、コンサルは避けたい、という思いがありました。

これらの拘りはおそらく高いハードルだろうと想像していたこともあり、他の条件についてはなるべく拘らないようにしていました。
従来の拘りを捨てた部分としては、自分が関心を持っていた分野や社会問題・公共政策に関わり続けることでした。
日々働いている時の気持ちを振り返ると、その政策に関わっている、国民の役に立てていることに喜びを感じていたわけではなく、小さな達成感や周りの誰かの役に立てた実感を日々の業務から得られた瞬間に、働く喜びを感じているように思ったためです。このため、「何をするか」ではなく「どうあるか」に力点を置こうと考えるようになりました。
また、これまでの業務経験を活かすことにも拘らないようにし、ほとんどゼロからのスタートになる覚悟もしていました。

担当頂いた転職カウンセラーの高橋様には、まずこれまでの国家公務員の方々の事例をご紹介頂きつつ、調整力や素早くキャッチアップする能力など、官僚の持っている能力を求めている企業が様々な業種にあるというお話を頂きました。
これには、自分を評価してくれる企業もあるのだ、自分が今までやってきたことは無駄ではなかったのだ、とかなり勇気づけられたことを覚えています。
そして、私の求める条件であれば日系の事業会社が合っているということ、求人票だけ見ていてもわからないので企業のHPを深く読み込むのが良い、ということを教えて頂きました。
そしてご提案頂いたいくつかの求人の中から、企業のHPの記載を読んだり求人の背景を伺ったりして「面白そう」「共感できそう」と思った企業に何社か応募しました。
面接に際しては、個々の企業がどのような部分を見ているのか、転職理由をどう伝えていけば良いのかといった点について具体的にアドバイスを頂きました。

複数応募した中で、1社に内定を頂きました。
興味を持った業界の2社に立て続けに落とされた時はかなり落ち込みましたが、結果的に、自分と一番相性の良いところから内定を頂けたと思っています。
内定先の企業は、事業を展開していく上での考えに共感できましたし、はじめから人柄面での相性の良さを感じており、先方が求めている人物像に自分が合うということも感じられました。
(学生時代の就活ではあまり苦労しなかっただけに)初めて、企業との相性・ご縁というものはあるのだな、という学びを得ました。

一番精神的にきつかったのは、転職先が決まった後の退職交渉だったかもしれません。
特に、内定を得られた時期と大規模な異動の時期がかみ合わなかったこともあって、難航しました。
高橋様には行き詰まった時に作戦会議をして頂き、豊富な過去事例を共有頂いたことで、心が折れることなくやり通すことができました。
最終的には退職時期の調整にも対応頂き、お陰様で前職とも円満退職というかたちにできました。

終わりに

転職は、自分にとっては人生における初めての大きな決断で、これまで経験してきたこと・感じてきたことを振り返る貴重な機会になりました。
共に困難を乗り越えてきた尊敬できる前職の同僚の方々と今後一緒に働けないこと、学生時代に強く憧れ、就職が決まった時は心から喜んだ仕事を手放すことが、寂しくないと言うと嘘になりますが、何年も自分の気持ちに向き合った末の結論であり、今はこの決断が正しいと信じています。

面接で一貫してお話ししてきた思いとして、「これからはモチベーション高く、自分の能力を発揮して仕事に取り組んでいきたい」ということがあります。前職では日々の業務に忙殺され、自分の時間が持てないことに不満を抱きながら、最低限のタスクをこなすのに汲々としていました。
これからは、現職で育てて頂き、お世話になった方々にも恥じぬよう、心を新たに、新しい職場で励んでいきたいと思います。

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