派遣会社のエンジニア、家族を思い英語を猛勉強の末、電装部品メーカーへの常駐から、完成車メーカーの正社員に

派遣会社のエンジニア、家族を思い英語を猛勉強の末、電装部品メーカーへの常駐から、完成車メーカーの正社員に

No.1471
  • 現職

    東証プライム上場 大手完成車メーカー 内外装技術開発部 機械エンジニア

  • 前職

    IT及び、R&D領域のエンジニア派遣会社 派遣社員として自動車の電気部品メーカー 設計、製品評価業務や業務改善

田鎖 亮介 氏 31歳 / 男性

学歴:神奈川県立 湘南高等学校 卒
東京理科大学 基礎工学部 卒
東京理科大学院 基礎工学研究科 修了
TOEIC:720点
使用可能ツール:
・2D-CAD(Helix, Autocad)
・3DCAD(CATIA V5)
・試験評価設備(投影機、測定顕微鏡、3D測定機、耐電圧設備、表面粗さ測定機、研磨機)

① 新卒での就職活動

私は学生時代には生物工学を専攻しており、新卒で志望する業界の選択肢としては、周囲の状況から主に製薬系か食品メーカー系が挙げられました。
そもそも生物学の専攻は、製薬業界では薬学部、食品メーカーでは文系を含めた競争となるため、分野の立ち位置としても新卒の就職活動は非常に厳しいものとなりました。
大学院に進学していたため、研究活動の焦りもあり、逃げたい・妥協してしまいたいと何度も思っていました。

結局、就職先は東証プライム上場の水産商社と銘打っていたものの、業務内容は飲食店舗スタッフという、とても成功したとは言えない結果となりました。
親を含め、親戚には名の知れた勤め先の方が多く、自己責任とはいえなかなか肩身の狭い思いをしていました。

② 入社した会社での担当業務・体得したスキル

最初の会社ではチェーン展開する飲食店舗スタッフ、ホールスタッフや調理場スタッフをこなし、アルバイト教育も行いました。
この会社で身に付けられたことは、あら汁と親子丼のおいしい作り方でしょうか。とは思いたくはないですが、実際現在も活用しているスキルと呼べるものはこれくらいです。

飲食店ならではの仕込みの段取りやタイムマネジメント、売上予測に基づくToDoリストの迅速な発案・修正はある程度行えるようになったと思っています。
あと、得られた中で大きいのは人間関係です。会社はよくありませんでしたが、一緒に働いた仲間とは今でも繋がりがあり、楽しく過ごしています。

水産商社の会社へ入社して2年が経った頃、第二新卒で転職活動を行おうと決意しました。
この会社にいても将来がないことは若手目線からもありありと伺えましたが、多忙を極めていたので転職活動を行う余裕も貯金もないという状況でした。
このままではずるずる過ごしてしまうと危機感を感じ、転職活動をせず、とりあえず辞めることを優先しました。
つまり、ニートになったのです。

多忙から解放された私は実家で静養し、やろうとしても出来なかった娯楽をやや自堕落になりながらやっていました。
しかし、貯金もそう多くはなかったので、転職活動を始めることにしました。
第二新卒で未経験業界に飛び込むことだけは決めていたものの、具体的にやりたいことなどは定まっていませんでした。
また、再度製薬業界や食品メーカーにチャレンジする気にもなりませんでした。

第二新卒専門のエージェントを使いましたが、そこは飛び込み営業をさせるなど、エージェントとして非常に怪しいところでした。他にも無いか探していたところ、アウトソーシング業界を知ることになります。
2つ目の第二新卒専門のエージェントもそんなに信用はしていませんでしたが、アウトソーシング業界のことを知ったところで私は過去からの想いを思い出すことになります。
私は大学では生物学を専攻していましたが、もともと中学生の頃は物理の方に興味があり、習得したかったのです。

それは、親が半導体製造業界に勤めており、少なからず憧れと尊敬の念を抱いていたためです。
高校生の時に、とあるきっかけで生物学の方にシフトしてしまいましたが、製造業界を諦めきれず、アウトソーシングという形態を知って製造業界へゼロから飛び込むことを決意しました。
機械系の学問に全く触れてきていなかったため、もちろん不安はありました。

今でこそアウトソーシング業界のからくりは理解しているつもりですが、未経験歓迎、研修充実と謳う会社が非常に多く、当時の私には魅力的に見えました。
そして、スキルさえ身に付けられればアウトソーシング業界からメーカーへの転職も不可能ではないということもあり、その道を志すことを決意します。

派遣先では設計者として配属され、まずは自動車部品の試験評価などの下積みをして知識をつけました。
その後は、3DCADの操作や図面作製の業務もこなすようになり、部品設計の作業系業務を一通り習得することが出来ました。
常駐先はTier2だったこともあり、設計要件が固まっている中での設計でしたが、インサート成型という手法で作る部品はプレス端子やモールド成型のことを踏まえて設計するもので、金型のことを考えながら設計するという点が私にとってとても心地いいものでした。

③ 今回転職するに至ったきっかけ

今回転職するに至った背景としては主に3つあります。

最も大きいのがプライベートの要因で、子供を授かったことです。
結婚するときに、妻には実家のある神奈川から愛知まで来てもらいましたが、子供を授かったとなれば親元を頼りたいのは当然で、何とか神奈川に戻る必要がありました。

2つ目の理由としてはアウトソーシング企業の評価方法に疑問があったからです。
会社内での能力的な試験はあるものの、それに受かったとしても単価(売上)が上がらない限りは給与がほとんど増えないシステムでした。
ビジネスとしては理解出来るものの、頑張っても会社の評価に繋がらないのは我慢ならないものでした。
お客様からの評価は得られていても、それが金額に繋がらなければ給与は上がらないのです。
それを改善したい一心で今度はプロパーとして活躍したいと思った、これが2つ目の理由です。

3つ目の理由は2つめの理由に帰結しますが、仕事上で自分が意思決定を出来るようにしていく環境に移りたいと思ったからです。
仕事はある程度やっていれば出来るようになるもので、好きにさせてもらえる部分はありますが、アウトソーシング業界に居続けるということは、必ず指揮命令者に基づいて仕事をするということになります。
もちろん上司の言うことを聞かなければならない時はどこにいってもあるとは思いますが、所属組織が同じか異なるかの差は大きいと個人的に思いました。

以上の3つの理由より、今回転職を決意するに至りました。

④ 転職活動中にこだわった点

今回の転職のポイントは正社員としてメーカーに就く、英語を使う、勤務地が関東圏内、設計スキルを活用出来る、などです。

上記③でも述べたように、プロパーとして活躍することが大前提でした。
最初に面談したエージェントから、一般的な書類選考率が30%、アウトソーシング業界からメーカーへの転職だとその門は10%ほどと狭き門になると言われました。
しかし、自分の中では前提条件だったので変える気は起きませんでした。

英語を使うという追加条件は、親が大きく影響しています。先ほど半導体製造業だと記載しましたが、子供の頃から英語を活用している場面を目にし、英語は必要になるから勉強しなさいと耳にタコが出来るほど言われたものです。
しかし、英語に大きな苦手意識があった私は、学生時代、特に触れることもありませんでした。
ただ、やはりメーカーへ転職するとなると、英語が武器になるどころか、当たり前に出来ないと話にならないと思っていました。
前職の評価方法に大きな不満をもった私は、転職と同時に英語力をなんとかする決意もしました。

仕事をしながら勉強するというのは生半可なものではないとそこで実感しましたが、何とかTOEICの勉強を始めました。
勉強法から調べ、一般的に効果のあるとされるシャドーイングの前に、スプリクトを見ながら発音するオーバーラッピングという勉強法があることを知りました。
それが私にとって難しいわけでもなかったため続けることが出来、2カ月ほど続けたところで効果が出ました。
リスニングが100点代だった私が、300点近くまで伸ばすことに成功しました。
そのことがとても嬉しかったと同時に自信にもなり、面接の場でも積極的にアピールすることが出来ました。

勤務地が関東圏内のである点と設計スキルを活用出来るという点は前に記載した通りで、こちらも今回の転職の前提条件としました。

⑤ 転職活動を通じて、気づいた点

率直に、仕事をしながらの転職活動は大変だと感じました。
エージェントの方々に心配や迷惑をかけたかもしれませんが、やることのマネジメントが上手く出来ないこともありましたし、結局は自己責任とはいえ、メリハリのある活動は出来ていなかったと思います。
ただ、支えもあってやり切れたというのは事実なので、結果良しだと思っています。

2つ目の気づいた点としては、転職活動のやり方が以前と大きく変わってきていると思ったことです。
以前は就職情報サイトが主たるところを占め、あとは面談して面接してという流れが多かったと思いますが、今回はスカウトサイトに自分の情報を登録すると面談申請やオファー申請が数多く来て戸惑ってしまいました。
情報は多いに越したことはありませんが、放っておいても情報が止めどなく来てしまい、マネジメント出来なくなる可能性もあるので注意するべきだったと思いました。

⑥ 次の職場に賭ける意気込みや覚悟等

メーカーに就いたからには業界のスペシャリストになります。
設計の上流工程の知識が必要になるので、負けないようにキャリアを積んでいきたいと思います。
そして家族を守ります。

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