ワーキングマザーの国家公務員(司法試験合格者)。子育てに理解のある、東証プライム上場 老舗玩具メーカーの企業法務へ

ワーキングマザーの国家公務員(司法試験合格者)。子育てに理解のある、東証プライム上場 老舗玩具メーカーの企業法務へ

No.1570
  • 現職

    【東証プライム上場 老舗玩具メーカー】
    連結管理本部 法務部 法務課 法務担当

  • 前職

    【国家公務員 総合職】
    霞が関勤務 行政官(係長) 法改正業務等

山近 美沙 氏 33歳 / 女性

学歴:県立高校 卒
国立大学 法学部 法律学科 卒
国立大学大学院 法学研究科 修了
司法試験 合格
TOEIC 855点

⓪ はじめに

この度、(株)エリートネットワーク様からサポートをいただき、国家公務員から民間企業の法務部門へ転職することができました。

私は未就学の娘を育てながら働くワーキングマザーです。
今回の転職活動を通じて強く感じたのは、子どもは仕事の足枷ではないということ、そして、家族の未来のあり方を決めるのは自分自身の努力だということです。

私は子どもが生まれてから、母親にならなければもっと仕事で評価された、母親になどならなければ良かったと思っていました。
しかし、転職活動を終えることができた今では、その考えは間違っていたと感じています。

もしも私と同じような思いを抱えている方がこの『転職体験記』を読まれたときに、一歩踏み出すエールをお送りできればと思い、体験記を書かせていただきます。

① 新卒での就活時の志向

私は、法律を使って人や社会の役に立つことのできる仕事がしたいと思い、学生の頃は弁護士を目指し、法科大学院に進学しました。

しかし、法科大学院での勉強を通して、弁護士の仕事は紛争が生じてからでないと物事を解決できないのでないかと思い、疑問を感じていました。
そのような時に、国家公務員の友人から話を聞く機会があり、国家公務員であれば政策を通じて紛争や問題が生じる前に社会課題を解決できると感じ、国家公務員という仕事に魅力を感じるようになりました。

そこで、司法試験に合格後、司法修習に行かずに国家公務員として働くことに決めました。
中でも、前職の官庁を選んだのは、日本の未来を形作る政策を実現したいと考えたからです。

② 霞が関での経験

前職の仕事では、1年ごとに部署異動があり、様々な業務を経験することができました。
国家公務員の仕事として多くの方がイメージされる法改正に関する業務や外国当局との国際会議の開催など華やかな仕事もあれば、毎日同じような案件を審査し続けるルーティンのような業務もありました。

入省当初は右も左も分からず、国会対応のために夜遅くまで残ったり、ひたすら資料をコピーし続けたり、終わらない調整業務に途方に暮れ、土日に出勤することもあり、精神的にも体力的にも辛くなることが多かったです。
それでも、常に自分の仕事に全力で向き合うこと、一緒に働く相手に誠実に対応することだけを考え、働き続けました。

そして、年次を重ねるうちに、仕事の効率的な回し方が分かるようになり、また異動先で以前一緒に働いたことがある方がいらっしゃったりして良い人間関係を築くことができ、忙しくて辛くても楽しく働くことができるようになりました。
また、係員から係長に役職が上がると、以前に比べ業務に裁量を持つことができるようになり、自分から意見を言ったり、提案することができるようになりました。
成果を実感するような仕事もできるようになり嬉しかったです。

霞が関で働いた経験で最も自分の財産になったと感じるのは、職場や仕事を通じて出会った人達です。
どんなに仕事が辛くても、担当する政策がどうしたら良くなるのかを常に考え、もっと大きなことを言えばどうしたらこの国が良くなるのかを考え、熱く議論される方々ばかりでした。

③ 今回転職するに至った背景や理由

入省して数年経った頃、仕事にやりがいを感じてはいたものの、深夜まで残業することが求められ、長時間働くことができる方が評価されやすい職場で出産・育児と両立しながら働き続けることはできるのかと疑問が膨らみ、転職を考えるようになりました。

実際に職場を見渡すと、男女問わず、独身の方か、結婚していても子どもがいらっしゃらない方、結婚していて子どもがいてもパートナーや祖父母に育児を任せられる方しかいませんでした。
そして、私が働いていた省に限ったことかもしれませんが、育児をする女性総合職職員は(本人の希望もあるのかないのか分かりませんが、)霞が関の本省ではなく、地方局のルーティン業務を短時間勤務で行うという風習のようなものがありました。

自分が育児休業から復帰することになった際、どうしてもキャリアを途絶えさせたくなかった私は短時間勤務で本省で働くことを希望し、希望を通していただけました。
復帰した部署ではありがたいことに残業は免除していただくこととなり、ルーティン業務で短時間勤務で働くことができました。

しかし、テレワークの仕組みを提案しても実現できず、毎日出勤する必要がありました。
また、短期間で検討しなければいけない業務などもあり、短時間勤務で働くことは現実的に難しく、家に帰ってから仕事をすることもありました。
そして、帰宅後に家で仕事をしていても職場の上司や同僚からは何も見えないので、自分の努力が伝わらず、仕事が遅いと言われたこともありました。
加えて、従前は短時間勤務で本省で働く事例がほとんどなかったせいか、私が帰ってから他の人達だけで大事な打ち合わせを進められていたり、その内容を翌日出勤後も教えてもらえなかったりすることもありました。

このような状況で仕事を続けることはとても辛く、母親にならなければもっと評価されたのかな、母親になどならなければ良かったと思うようになり、まだ小さな娘の些細な言動にもイライラするようになってしまい、自己嫌悪に陥りました。

そんな時に夫に言われたのが、「そんなに辛いなら転職したら良いじゃん。応援するよ。」という一言でした。
この言葉で、自分にとって一番大切な娘や夫を傷つけながら働くのではなく、もっと楽しく働きたい、笑顔で家族で暮らしたいと思うようになり、今回の転職活動を始めることにしました。

④ 転職においてこだわった点

こだわった点は2点あります。

1点目は企業法務の仕事という点です。
理由は、司法試験合格の経験を活かして専門性を磨きながら長く働き続けられると考えたからです。
国家公務員の仕事をする上で物足りないなと感じていたのは法律に関する専門性を活かす場面が少なかったことなので、新しい仕事を始めるのであれば法的な知識や思考を活かせる仕事をしたいなと考えました。
また、国家公務員の仕事は人生100年時代と言われる中で定年するまでは働けても、その後も働き続けられる専門性を身に付けることはできないと感じていました。
なので、自分の強みとなる専門性を身に付けたいと思いました。

2点目は仕事と育児を両立できる環境です。
私の両親はお金を稼ぐことが大好きな共働き夫婦で、私と弟はほぼ祖父母に育てられたと言っても過言ではありません。
両親からの愛情を感じていないわけではありませんが、その環境で育ったせいか、私は子どもは自分で育てたいという思いが強くありました。
また、国家公務員でも未就学児の間は短時間勤務で働くことはできますが、育児は小学校入学後も続くものなので、将来を考えた時に家で子どもを迎えられる日もあれば良いなと考えていました。
そこで、テレワークやフレックスタイム制などの利用が認められる職場環境にこだわりました。

⑤ エリートネットワーク様との出会い

仕事と育児をしながら転職活動をすることは想像以上に大変でした。
また、私は人前で話すことが苦手なので面接のことを考えるだけで毎日吐き気がしました。
それでも転職活動を続けられたのは、家族で楽しく暮らしたいという気持ちがあったからだと思います。

企業法務をやりたいという気持ちから、まず管理部門に特化したエージェントに登録し、転職活動を始めました。
エージェントの方とは簡単に電話で面談し、次々送られてくる求人票から良さそうだなと感じた企業に応募することから始めました。

面接が苦手という自覚があったので面接に慣れるため、書類選考が通った企業の面接を全て受けることにしました。
この時点で、仕事と育児と面接にパンク気味の私は毎日夫に愚痴を言い続けていましたが、彼は「毎日経験だからやってみたら良い」と励ましてるのか聞き流しているのか分からない言葉をかけてくれ(笑)、とにかく面接を受け続けました。

ありがたいことにいくつかの企業の面接が進みましたが、心の底から入社したいという企業に出会えませんでした。
悩んでいた時に、以前ネットサーフィンをしていた際に(株)エリートネットワーク様のホームページに国家公務員の方々の『転職体験記』が沢山載っていたことを思い出し、エリートネットワーク様に登録してみることにしました。

ご担当の転職カウンセラーの杉本様は最初に登録したエージェントとは異なり、私のこれまでの職務経験や希望を細かくヒアリングした上で、未経験でも私の経歴から企業法務に挑戦できる可能性が十分にあると説明してくださり、安心して転職活動を進めることができました。
そして多くはありませんが、いくつかの大手企業の面接を受けられることになりました。

⑥ 転職活動の現実

入社する企業を選んだ理由としては、これまでの国家公務員としての実務経験を総合的に高く評価してくださったことと、仕事と子育ての両立にとても理解のある企業だったからです。
他の企業の面接では子育てと仕事の両立の話をすると、面接全体の空気が冷たくなることもありました。
しかし、入社する会社では、面接官の方が「子どもって可能性のかたまりだよね」と言ってくださり、子育てと仕事の両立を認めてくださるところで努力したいと思うことができました。

ここまで書くと、とても順調な転職活動のように読めるかもしれませんが、実際は苦難でしかなかったので、現実も書かせてください。
転職活動期間、娘から何度も風邪をもらい発熱し、体調が最悪の状態でも深夜に志望動機書の作成や企業研究を行いました。
また、毎回の面接の当日は毎朝吐きそうになりつつも、夫と娘が頑張れ!と言ってくれ、乗り越えることができました。
全ては未来の家族の笑顔のため、その気持ちだけが支えでした。

⑦ 次の職場への意気込み

これまでずっと興味を持っていた企業法務の仕事に挑戦できることがとても楽しみです。
仕事内容や職場環境が変わることに不安はありますが、今は新しい仕事を楽しみと思う気持ちの方が強いので前向きに頑張りたいと思います。

これまで転職活動をサポートしてくださった皆様に感謝の気持ちを持ちながら、新しい職場でも自分らしく働いていきたいです。
そして、大好きな家族と一緒に新しい人生を歩んでいきたいです。

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