一級建築士の40歳女性。二度の産育休後、欠員の穴埋め要員的異動に見切りをつけ、地方公務員から転勤の無い総合不動産会社へ

一級建築士の40歳女性。二度の産育休後、欠員の穴埋め要員的異動に見切りをつけ、地方公務員から転勤の無い総合不動産会社へ

No.1588
  • 現職

    【近畿圏に根を張る従業員800名の不動産所有・マネジメント・コンサルティング会社】
    技術統括部 管理物件の長期修繕計画立案、技術サポート

  • 前職

    【関西圏の政令指定都市公務員】
    係長補佐(子育てとの両立の為、係長から降任)
    企画部門と都市計画部門をローテーション
    (市民・民間事業者・行政間の調整、景観行政、行政内部手続きのDX化、指定管理業務等)

吉田 枝梨子 氏 40歳 / 女性

学歴:兵庫県立高校 卒
旧帝国大学 工学部 卒
旧帝国大学大学院 建築工学コース 修了
一級建築士

① 進学・新卒での就活

生活に密着したモノづくりをしたいという思いと、絵を描くのが好きだったことから大学で建築を専攻しました。
しかし、独創性や創造性を設計に反映させることが苦手で、建築設計を職業にする選択肢が思い描けなかったことから、大学院に進学しました。

大学院修了後、建築に関わるモノづくりとして、建築設備・建材メーカーなどを中心に就職活動をしましたが、大学院での専攻の違いもあり、結果は芳しくありませんでした。
結局、指導教官からの勧めもあり、職域の広さと長期スパンでモノづくりを考えることができるという点、働く環境としての安定性に魅力を感じ、地方公務員を目指すことにしました。

② 入庁後の担当業務

建築の専門職として入庁しましたが、2~3年スパンで、企画系の部門や都市計画部門の異動を繰り返しました。
企画・計画系の部門は残業が多く、答えが1つでない場合が多い分、関係者との調整も多かったのですが、苦にはなりませんでした。

一方で、建築の専門性を活かす機会には恵まれず、せめて資格だけでもと思い、仕事の合間に猛勉強して一級建築士の資格を取得しました。
その後、係長に昇任し、建物の届出審査を経験しました。
担当は建築学的な知識をほとんど必要としない届出でしたが、設計者など専門知識の豊富な事業者の方との窓口対応・電話対応なども行い、2回の産休・育休を挟んで8年経験しました。

③ 転職のきっかけ

2人目の育休復帰後、保育園のお迎えとワークライフバランスを重視した働き方をするために、係長から係長補佐へ降任しました。
しかし、プレーヤーとしてはベテランに分類される歳であったため、欠員のピンチヒッターや業務のテコ入れ要員として、毎年配置換えや担当業務変更を経験することになりました。
保育園のお迎えに行けなくなる日が増え、土日出勤のために保育園行事に参加できないことも出てきました。

人事異動よりも短いサイクルでジョブローテーションをこなすため、担当業務に関する知識をインプットする時間は、早朝や土日の家事の合間など、プライベートの時間を削って確保する他ありませんでした。
今後体力・記憶力が衰えていくのが明らかな中、この働き方を定年まで続けられるイメージが湧かなくなっていました。

④    転職にあたって重視したこと

転職にあたって重視したことは3つでした。

① 専門性を持って働くこと
インプットした知識やスキルを活かす前にジョブローテーションを迎えることが多く、不完全燃焼に終わることが多かったため、私自身が腰を据えて落ち着いて働くためにも、インプットした知識やスキルをきちんとアウトプットできることを重視しました。
当初は建築に関わる仕事は難しいだろうと避けていましたが、建築に関わる分野も幅広いことがわかり、不動産からPPP領域のコンサル、建築確認検査機関など、かなり幅広く挑戦しました。

② 子育てと両立できること(土日の勤務がないこと・転勤がないこと)
保育園のお迎えは転職のきっかけの一つでしたが、子育ては就学までではありません。
就学後も見据えて、子育てと両立できる環境かを重視しました。
具体的には、土日勤務がないこと、転勤がないことを重視しました。
下の子の保育園の環境はよくわかっていたので、お迎えはここ2~3年の課題だと、夫や両親に甘えることにしました。

③ 働き方に柔軟性があること
当初は通勤時間:片道1時間程度を条件としていましたが、働き方の柔軟性に重点を置くことで、通勤時間が長くなることは許容することにしました。
前職は子供の就学後には働き方に対する配慮が無くなってしまう慣習だったので、子育てに限定せず、働き方に柔軟性があるか、フレックスタイムや在宅勤務の制度が実際に利用しやすい環境かどうかを重視しました。

⑤    転職活動を振り返って

私は瞬発力が必要なことが苦手で、面接もWEB試験も新卒の就職活動時代から当然苦手だったので、よく転職活動できたものだと思います。
(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの横関様には、「仕事を続ける中で鍛えられているので、新卒の時よりも面接の対応力がついているから大丈夫」「少し肩の力を抜くぐらいでちょうどいいですよ」と声をかけて頂き、何とか乗り越えることができました。
他の紹介会社の方にご紹介頂いた企業の選考も同時並行で進んでいる状態で、選考スケジュールの相談にも丁寧にご対応頂き、感謝しかありません。
「絶対に(転職先が)見つかりますよ」の言葉には何度も救われました。

今振り返ると、職務経歴を整理し、文章化する中で、自分の強みや弱みなどの思考の再整理だけはしっかり出来ていたことが、面接の場で活きたと思います。
やはり、自分の頭で思いつき、考えたこと以上の内容は話せません。
建築の専門性を深める機会には恵まれませんでしたが、窓口業務を経験し、会話の瞬発力と場に応じた言葉を選ぶ力が鍛えられていたのかなと思います。

また、 “ 転職活動をする ” という最初の一歩を踏み出せたことはとても大きかったと思います。
仕事・家事・育児というマルチタスクの生活の中で、あえてもう一つ転職というタスクを増やす決意をした自分を今一番褒めてあげたいと思います。

⑥    今後に向けて

初めての転職なので、入社後は苦労の連続に違いありません。
しかし面接の中で、学生時代から今に至るまでの経験の聞き取りなど、職務経験以上に私のひととなりを見て頂いたのかなと感じる部分もあり、怖がらずに新しい環境に飛び込んでいこうと決意を新たにしているところです。
焦らず、しっかり新しい組織に根ざした人材になりたいと思います。

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