高年収にこだわり新卒で不動産デベロッパー 市街地開発事業に入社した用地仕入れ27歳。不動産開発全般に携わりたく、電鉄系不動産会社の都市開発事業部へ転職

高年収にこだわり新卒で不動産デベロッパー 市街地開発事業に入社した用地仕入れ27歳。不動産開発全般に携わりたく、電鉄系不動産会社の都市開発事業部へ転職

No.1600
  • 現職

    【交通・ホテル・プロスポーツチーム運営などの事業を展開する東証プライム上場企業グループの中核を担う不動産会社】
    都市開発事業部 アシスタントマネジャー

  • 前職

    【東証プライム上場 財閥系 総合不動産企業】
    都市開発事業本部 都心4区(千代田、渋谷、港、品川区)での市街地開発事業推進、土地の買収業務等

宇川 浩 氏 27歳 / 男性

学歴:群馬県内有数の進学校 卒
京都大学 文学部 人文学科 卒
体育会系部活OB
宅地建物取引士試験合格(未登録)
日商簿記検定試験2級
再開発プランナー

①    新卒での就職の軸

大学時代は体育会に属しており、4年間ほぼ部活に没頭していたため、就職活動に割く時間が他の学生よりも短かったように思う。
それもあって、自分のやりたいことは見つからずに、「年収の高さ」という軸だけでデベロッパーの道を志した。

幸い、世間的には高学歴といわれる大学で、かつ体育会での活動を評価していただいたこともあり、財閥系デベロッパーへの内定が決まった。
給与水準も平均以上であったため当時は納得いく就活ができたと思っていた。
社風は多少厳しい面もあると入社前から聞き及んでいたが、体育会で活動してきた経験からも問題ないだろう、と考えていた。

②    入社した会社での担当業務や得られたスキル

初期配属では、都市開発部門へ配属となった。
年収の高さだけで入社したので、そもそも開発はおろか、不動産業に全く興味がなかったが、デベロッパーにおいて昇格していくためには、開発経験が必須であると考えたこともあり、開発部門への配属を志望した。

ひとくちに「開発」といっても土地を仕入れる、建物を企画する、建設する、テナントを誘致する、売却するなど多くのフェーズがある。
その中で、私が担当したのは、事業の始まりの部分である土地を仕込むフェーズ、すなわち用地の仕入れや再開発事業を目指した地元組織の組成であった。
そこで自分が得られたのは下記の経験とスキルであった。

1.    不動産業に従事するものとしての素養
デベロッパーと言っても不動産業であり、一般個人のお客様との対話の中で、不動産の基礎だけでなく税制や法律、さらには最新のトレンドまで様々な知識が求められる。
また、お客様とのアポは基本的に自分1人で行う慣習となっているため、頼れるのは自分だけであった。それもあって、通勤時やアポの間の時間も使って関連知識を取り入れ続けなくてはならなかった。
結果的には、宅建はもちろんのこと、簿記2級まで取得することにつながり、今回の転職活動にも大いに役立ったと思っている。

2.    開発事業に携わる経験
他のデベロッパーと比較すると入社1年目から事業部に配属されて、開発の経験を積むことができる点は1つの魅力であった。
同業界で働く大学時代の同期の話を聞いても、初期配属は事業部ではなくバックオフィスが基本で、開発に携わることができるのは10年後、という話だった。
自分自身としては経験したわけではないが、最前線である開発部門に身を置くだけで多くの見聞が入ってきて、疑似体験することができた。
同世代の者と比較しても引けを取らない程度の知識は有していると思う。

3.    飛び込み営業の経験
やはり不動産業の根幹にあるのは営業なので、開発用地を仕入れるべく、土地所有者への時代に見合わない飛び込み営業も多く行った。
都心で土地を所有している人でそういった営業を受けたことがない人はいないくらい狭いマーケットであり、かつ社内での仕入れ基準も非常に高かったことから、成果をあげられることもほとんどなかったが、飛び込み営業でも話を聞いていただくためのコミュニケーション能力と度胸は身についたと思っている。

前職場は今でこそ大企業の一画とされているが、経営陣はいまだに若かりし頃のいわば昭和体質が抜けないままであり、朝から怒号が飛び交うことも多々あった。
また、後述するような理由から働き方も決して柔軟なものではなかったが、開発事業に対して熱意があれば、そのような劣悪な就労環境でも、働き続けられるような環境だったと思う。

元々不動産業に興味がなかった私でも、元来の「物事を突き詰めたい性格」も相まって次第に不動産業あるいは開発事業に興味を持つようになった。
3年目までは飛び込み営業ばかりであったが、4年目以降は進行中の案件に投入されるようにもなり、少しずつ会社の目玉事業を担う立場にもなりつつあった。

③    転職するに至った理由

そういった中でも、今回転職するに至った理由は主に2つある。

1.    ワークライフバランスを重視した働き方ができないこと
前職の会社の商売相手は一般個人が多く、そういった方々のスケジュールに合わせる必要があったため、必然的に平日の夜遅くか土日に出勤せざるを得ないことが多かった。
また、会社の方針で、大規模開発事業の業務を担当する人数も開発に長けた人間のみに絞っていたことから、担当者に多くの業務が課せられ、日中はお客様とのアポ、定時を過ぎて会社に戻って夜遅くまでデスクワーク、といった働き方が常態化していた。

こういった働き方は若手の下積みの時だけでなく、中堅以降の社員になるとさらに責任と仕事量が増え、管理職はなおさら、という状態であった。

自分自身もそのような働き方が当たり前になりつつあったタイミングで、結婚時期を考えるというターニングポイントがあった。
そういった環境に身を置いたままでは、自分自身が家庭をもって、主体的に子育てをしていくビジョンが見えなかった。実際社内でも昇進している人間は家庭を省みない者ばかりであった。
子育てが始まれば転職活動する時間も持てないだろうし、年収がまだ上がり切っていない若手のうちに転職するべきなのではないか、と考え始めた。
 
2.    多くの経験を積むことができないこと
前職の会社では、4年目以降少しずつ進行中の目玉案件に投入されるようにはなっていたものの、中心となる業務は用地の仕入れと、変わらないままだった。
前述したが、土地の仕入れ基準が非常に高く、日々情報を仕入れては突き返され、の繰り返しで、「自分はずっと足踏みをしている」と思うようになった。
また、「せっかくデベロッパーに就職したのだから、開発事業の様々な局面に携わりたい」という想いが募っていった。

上記の2つから転職を考え始め、当初は部署異動も並行して考えていた。
しかし、部署を異動して、目の前の「結婚・子育て」というターニングポイントを迎えられたとしても、開発事業のあらゆる業務に携わりたいという自身の想いは遂げることができず、また、社内の管理職を見ていても誰も幸せそうに働いているとは思えなかった。
そうであれば、ワークライフバランスも求めながら、開発事業に携われる転職先を探そう、と今回の決断に至った。

④ 譲れなかった考えと、逆に、従来のこだわりを捨てた点

当初から自分自身が譲れなかったのは年収面であった。
正直、前職の会社は給料だけはよかった。裏を返せば、給料以外はあまりいいところはなかった。給料だけを求めて就活をしていた私の目に狂いはなかったと思う。
今回も、どうせ転職をするのだからより良い待遇で働きたいと思っていた。

しかし、(株)エリートネットワークの転職カウンセラーの高橋さんや岡本さんとの打ち合わせを重ねていくうちに、「本当に自分が求めているのは働きやすさである」と気づきを得た。
前職では、忙しい日々の中でその日の仕事をこなすことに精一杯で、わかりやすい対価は給料のみであった。

ただ、家庭を大切にしたいという私の価値観からすると、仕事以外の自由な時間が増えない限りは、いくら給料をもらってもその生活は空虚なものになってしまうと感じた。
「年収は業界でベースが決まる」ということも転職活動の中で学んだことの1つで、転職後には残業が圧倒的に減るため、年収が多少下がることについてはやむを得ない、むしろベースの給料が今後上がっていく見込みがあるかという視点に変わった。

そして開発事業を手掛け、ワークライフバランスが整った企業を中心に応募し、結果、2社内定をいただいた中で、最もワークライフバランスがとれる会社を選んだ。

⑤    転職活動を通じて気づいた点

今回の転職活動で学んだのは、「自分が思った以上に道は広がっている」ということである。
私自身は社会人5年目であったこともあり、いつかは転職したいと思っていたものの、転職はまだ難しいと思っていた。

しかし、いざ転職活動を始めてみると、これまでの経験や知識を評価していただき、いくらでも行き場はあると感じた。
前職での業務と並行しての転職活動であったが、「いつでも仕事をやめ、別の会社に行ける」という想いを持ってからは、肩の力を抜いて働くことができるようになり、それは転職後の会社でも役立つ考え方だと思う。

⑥    次の職場にかける意気込みや覚悟

次の職場では、前職での経験・知識を大いに評価していただいたこともあり、プロパー社員を数年飛び級した待遇で入社させていただくことになった。
これまでの経験や仕事への取り組み姿勢では負けない自信があるが、周囲からの不満もきっとあると思う。
業務内容も、同じ開発部門の中でも自分はまだ経験したことがないフェーズへのチャレンジであり、いわば0からのスタートである。
即戦力として採用していただいた次の職場の方々に恥じぬよう、日々精進していきたい。

一方で、これまでの給料だけを追い求めていた価値観から、初めて脱却したということもあり、全く後悔しないことはないと思う。
しかし、少しでも後悔のないよう、どんなキャリアをどう歩んでいくかをじっくりと考えながら次の会社では、公私ともに充実させていきたいと思う。

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