東証一部上場 物流会社 法務マネージャー
大手自動車メーカー 法務マネージャー
黒井 喜彦 氏 43歳 / 男性
学歴:九州大学 法学部 法律学専攻 卒
TOEIC 770点
私は大学卒業後の1990年代の半ばに、大手完成車メーカーに入社しました。
当時は目に見える物且つ、モノづくりの現場に近いところでビジネスに携わりたい、という気持ちでメーカーを中心に就職活動をしておりました。ただ、メーカーの仕事といってもほとんど知識がありませんでしたし、何か明確な目標やイメージを持っていたわけではありませんでした。
前職の会社に就職を決めたのは、面接官の印象や面接の雰囲気が和やかで良かった、あまり緊張せずに話ができた、という点が大きな理由でした。
結果的に20年以上そこで勤めました。
前職の会社は国内で長い歴史を持つメーカーですが、現在は外資が株式の大半を保有しており、特にここ数年は親会社からの派遣者が増え、社内の業務プロセスや方針が大きく変わってきていました。ビジネスもうまく進んでいないと感じており、所属していた部門では今後のステップアップが望めないと感じたので転職を決意しました。
転職をしようと思い立ったものの、自分に何ができるのか、どんなことに向いているのかについて、今まで深く考えたことがなく、しかも前職の会社・業界以外のことはほとんど知識がない状態でした。エージェントに色々な業界の会社をご紹介頂いたのですが、上記の理由から不安もあって、最初の頃は何となく前職の業界に近い会社であったり、関係がある会社であれば、これまでの知識や経験を活かせるはずだと考えていました。
面接を繰り返すうちに、確かに同じ業界の会社の方が、業務の面で分かり易さはあるのですが、だからといって事業内容やお会いした方の印象が記憶に残っているかどうかは必ずしも関係していないことに気が付きました。
そのため、転職して再スタートするのであれば、これまでの経験や知識にあまりこだわらなくてもいいかな、と思うようになりました。
また面接では、これまでの仕事の成果だけではなく、どんな楽しさ、辛さがあったか、今後はどんな仕事を希望するか、といった私自身の気持ち・希望を、短い時間の中ではあるのですが、面接官の方と共有できるかどうかに焦点を当てて、転職先を検討するようになりました。
転職先を決める要素は勤務地、給与、ポジション等、色々あると思いますが、結局上記が一番の決め手になりました。
今回、初めての転職活動でしたが、改めて職歴書を書こうとすると、日常の業務くらいしか思い浮かばず、作成には非常に苦労しました。しかし、自分のこれまでの歴史を見つめ直すいい機会でもありました。
面接を受けるのはそれこそ20年ぶりで、面接官が何を求めていて、質問には何を答えるのが正解なのか、といったイメージが湧かず、よく分からないまま時間が過ぎていく感じがしました。
面接の雰囲気も会社によりけりでした。前職の採用面接はあまり形式ばったものではなかったので、一次面接からフォーマルな雰囲気で進行する会社に戸惑ってしまう等、最初の頃はとても不安でした。
日常業務中に「私自身」をテーマに、知らない方とお話をする機会はなかなかありません。なので、面接で自分がどういう人間で、これまで何をやってきて、これから何をしたいのか等、自分のことを知らない方へ、自分自身のことを十分に理解してもらうのはとても難しいことだと感じました。
面接では、転職しようと思ったきっかけや、志望動機、これまで担当してきた業務、成果等、共通して聞かれる内容がありますが、聞き方や切り口が会社、面接官によって様々で、うまく答えられないことが多かったです。
数をこなすというのも、面接に慣れる一つの方法だとは思いますが、私は頭の中でイメージするだけではなく、ノートに書き出してみたりして繰り返し考えてみるのが役立ちました。
また、面接での受け答えのテクニックを鍛えることもそうですが、その会社に興味を持って充分に下調べをした上で面接に臨むのも大事だと思います。
最初は紹介されるまま、漠然とした気持ちで色々な会社の面接を受けていました。事前にその会社のHPにざっと目を通して面接を受けてはいたのですが、次第に「面接を受けること」自体が目的になってしまい、「その会社がどういう会社なのか」が二の次になっていました。
面接を受ける会社のHPや事業報告を読んで、自分の業務領域以外のことも含めて気になったワードを書き出していくと、自然とその会社について分からないことや聞いてみたいことが出てきます。そうやって準備をして面接に臨むと、面接官の方と話が盛り上がることが多く、もちろん盛り上がったからといって必ず次のステップに進めるわけではないですが、うまくいってもいかなくても面接の手応えを感じられるようになって、私自身が行きたいと思う会社のイメージがつかめるようになったと思います。
転職カウンセラーの小中出さんには、転職活動をスタートさせた時からずっと面倒を見て頂きました。
どのタイミングで、何をやらなければならないか、全くイメージがつかない状態でしたので、具体的に一つ一つのアドバイスを頂けたのはもちろん助かったのですが、漠然とした不安な状況で気兼ねなく相談できる方がいるということが大きな支えになりました。
最初は転職活動のノウハウを教えてくれる先生のようなイメージをもっていて、職歴書の書き方や面接の準備等、細かいことも含めて色々とご指導頂いたのですが、終わってみて改めて考えると、頂いたのはノウハウというよりは「安心感」だったような気がします。
転職後は、これまでとは違う会社で人間関係も含めて一からのスタートになります。
業務内容も全く同じというわけにはいかないと思いますし、勉強しなければならないことも一杯あるでしょうから不安がないわけではないですが、今回の転職を一つの区切りとして、早く新しい環境に慣れて、転職先の会社にも自分にも、いい変化をもたらすことができるようになりたいと思っています。