保全スタッフ、発電所の電気設計から化学メーカーの生産技術へキャリアチェンジ

保全スタッフ、発電所の電気設計から化学メーカーの生産技術へキャリアチェンジ

No.1030
  • 現職

    一部上場 大手化学メーカー 名古屋工場 エンジニアリング部門 生産技術

  • 前職

    一部上場 大手化学メーカー 生産技術・電気保全
    電力会社グループの設計会社 発電所の電気設計

赤沢 純太 氏 31歳 / 男性

学歴:近畿大学 工学部 システムデザイン工学科 卒
第2種電気工事士
2級ボイラー技士
日商簿記検定 3級

【大学卒業後~就職~転職を考えるまで】

2008年3月に大学を卒業後、地元の大手企業に就職しました。この会社を選んだ理由は、「地元にあり、大手だったから」という単純なものでした。2008年といえば、リーマンショックが起こった年でしたが、就職活動が2008年9月以前だったこともあり、その影響を受けることなく、就職できました。
ただ実際のところ、私の就職活動はなかなか終わらず、2007年の8月に内定が決まり、大学内では一番遅かったように記憶しています。

最初の会社は、8年間勤めました。業界は化学メーカーで保全業務を担当していました。
保全は、工場内の設備、機器の修理、設備の更新・立ち上げなどが主な業務です。いわゆる3K(きつい、汚い、危険)な環境で、更にもう1つのK(くさい)もありました。(化学系プラント特有の異臭のため。)
こんな4Kの環境と体育会系気質の会社であったため、同期は3年も経たないうちに半分以下になっていました。この時、私の中で「転職」という言葉が身近になっていました。

辞めた同期の中には、次の就職先を決めずに会社を辞めてから転職活動を行う方もいました。同期は私より有名な大学を卒業した方ばかりでしたが、結果的に希望する会社に決定した方は一人もいませんでした。(稀に、独学で勉強し、公務員になる方もいましたが、かなり例外だったと思います。)

転職活動を始めたきっかけは、当時テレビやマスコミでも大きく取り上げられた「会社の不祥事」が起きたからです。またそれとは別に、保全業務がそれほどやりがいのある職種ではないと感じていたことも理由の一つです。

保全は、休日夜間の呼出しにも対応し、設備・機器の修理が迅速かつ完璧にできて当たり前、修理の工程遅れや設備・機器の異常を発生させた場合は怒られるだけで、決して褒められることがない職種です。
ただ、8年間続けられたのは、同僚、先輩、後輩、上司に恵まれていたからだと思います。上司から怒られることも多々ありましたが、それでもやってこられたのは、そういったまわりの方々が助けて下さったからで、今でもこの会社の方々は尊敬しています。

【転職活動の流れ】

1回目の転職活動を始めたのは、ちょうど会社の不祥事があった2012年頃だったと思います。
最初はとりあえず、リクナビやマイナビなどの転職サイトに登録し、転職活動をスタートさせました。とは言え、どうやって転職活動をすればいいか全くわかりませんでした。そのため、まずは転職の本を1冊買い、履歴書と職務経歴書を作成しました。
履歴書は、簡単に作成できましたが、職務経歴書は意外と難しく、結局、「自分は保全しかできない」という内容になっていることに気付きました。
もちろんそれは正しいのですが、保全以外の職種にキャリアチェンジしたかったので、保全の内容をなるべく生産技術寄りに書き直しました。(もちろん、事実を書いているので問題ありません。)

●求人紹介や転職活動の手助けをして下さるエージェントに登録
大小様々な会社規模のエージェントがあり、各社それぞれに「求人数が多い」、「特定の業界に強い」、「地方の求人が多い」などの特徴があります。そのため、3~4社のエージェントに登録することをお勧めします。(私の場合、5社以上でした。)
エージェントによっては転職サイトに登録した後に自動で紹介される求人案件のうち、興味のある案件だけ応募できるところもあります。そのため、各エージェントページを精査し、登録しました。
エージェントに登録した後、最初の面談で自分の希望を述べ、求人案件をいくつか紹介して頂く流れになりますが、担当者が多忙であることが多く、人によっては、最初に求人を紹介した後はあまり紹介して頂けない場合が多かったです。

最初の面談を受けた際、「転職活動における優先度をハッキリしておくのが重要だ」と感じました。私の場合は、転職での譲れない条件をA4の紙に書き出し、順位付けをしました。結果、「職種」「勤務地」「ブラック企業ではない」「転勤が少ない」「給料」という順になりました。
紙に書き出すことで、自分の気持ち・希望をはっきりと理解することができました。

転職活動を通じて強く感じましたが、なるべくエージェントさんとは直接会って話した方が良いと思います。
東京以外に住んでいる方は難しいかもしれませんが、会社説明会や1次面接後で時間がある場合には、是非直接会って話すことをお勧めします。
理由は、直接会うことで自分の良い点、悪い点を第3者に見極めてもらうためです。
2回の転職活動の際、私はエリートネットワークの転職カウンセラーの小中出さんに直接会って、カウンセリングをして頂きました。その時に、「声が小さい」、「暗い」、「会話の間に変な間があるが、意外と喋ることができる」、「面接までの準備不足」、「企業研究ができていない」など、色々とご指摘頂きました。
正直、これらを言われたときは、「キツイな……」と思いましたが、自分のダメな点を再認識できました。内定をもらった今でも、自分のダメな点を完全には直し切れていませんが、今後意識して変えていくことはできると思っています。

●SPI、テストセンターでの試験、web試験、クレペリン検査などの筆記試験対策
私は、筆記試験がかなり苦手でした。
会社によっては、その会社独自で作成した専用の筆記試験があったり、事前の案内なしに筆記試験と小論文を書かせる会社もありました。
筆記試験の対策としては、SPIの本を1冊買い、その本をひたすらやり込みました。Web試験は、1問あたりに制限時間があり、とても焦る仕組みになっているので慣れが必要ですが、SPI対策をしていれば何とかなりました。クレペリン検査は、ひたすら足し算を繰り返すだけなので、根気と寝不足さえ注意すれば乗り切れました。
それ以外は、諦めました。

●面接対策
まず、行った対策として、面接での回答を用意することでした。
簡単な職務経歴、転職理由、退職理由、志望動機、入社してからやりたいこと、大学の専攻、自分の長所短所、これまでの経歴で特に成果をあげたこと、趣味特技、企業に対する質問事項3つなど。
聞かれそうな内容をword又はExcelにまとめました。

志望動機、入社してからやりたいことについては、会社によって内容が違うので、その時々に合わせて作成しました。この作成した用紙を印刷し、面接前に公園などで5回以上用紙を見ずに、口頭で答えられるよう練習しました。
このときに注意する点としては、用意した回答を一言一句間違えずに言うのではなく、質問に対して自分の想いの趣旨を回答できるかということです。特に最終面接では、アドリブがかなり要求されるので、大まかにでも用意した回答を述べられるようにしつつ、自分の気持ちを言葉にできるように練習をするのが良いと思いました。

【最初の転職先】

上記のような転職活動により、転職活動を始めてから3年経ってやっと最初の転職先が決定しました。
通常なら1年あればどこかに決まるのが普通だと思います。おそらく、保全からのキャリアチェンジがネックになったのだと思います。また、化学系から他業界へ行くことは難しく、大手になればなるほど、書類審査で断られました。業界が近く、職種もある程度近いものでなければ、転職できる可能性は低いと感じました。

転職先は電力会社で、発電所の電気設計職として採用されました。その時は東日本大震災から4年経っていましたが、電力業界は厳しい状況下にありました。
そこでは2年間働きましたが、自分がやってみたかった「設備設計職」でないことや、業務や残業を自らの意志で管理できない会社の体制に疑問を持ち、再度転職を決めました。

会社に入ってみないと分からない部分もありますが、社員のモチベーションややる気にムラがあることが分かり、あまり一緒に働きたいと思える方は少なかったです。(ただ、親会社からの出向で来られた方は、優秀であり、一緒に働いていてとても勉強になりました。これがこの会社で唯一良かった点でした。)

【2回目の転職活動】

 転職先での不満を抱えつつ、1回目の転職の時と同様に、現職で働きながら転職活動を再開しました。30歳を超え、これが最後のチャンスだと思いながらのスタートでした。
まずは、1回目と同様に履歴書、職務経歴書の作成および修正、エージェントへの再登録から始めました。

 最初の転職での失敗は、設計の仕事に就けたものの、自分がやってみたかった「設備設計」ではなかったこと、会社内でのキャリアチェンジが出来ない環境であることでした。
そういった失敗を踏まえつつ、2回目の転職で優先したい事項を明確にするためにA4の紙へ優先順位を書き出しました。結果、「職種」、「発注側であること」、「勤務地」、「給料」という順になりました。
また今回は、優先順位を明確化する中で「私は発注側として、生産技術がやりたいんだ」ということも分かりました。

転職活動が2回目ともなると、転職理由や退職理由を考えるのがとても大変でした。企業側としては、入社したからには、辞めてほしくないと思うのが当たり前ですが、面接で転職理由や退職理由をうまく伝えないと、「またすぐに辞めるのではないか?」という疑念を持たれ、失敗に終わることが予想されました。

この辺の問題点をどのように払拭するかについては、エージェントさんに相談するのが一番の近道だと思います。私の場合、小中出さんに転職理由や退職理由の内容を相談し、面接できちんと話すことができました。そして面接官の方にしっかりと納得して頂くことができ、結果として内定を得ることができました。
意外かもしれませんが、「転職理由・退職理由をしっかりと話すことができた」ことが内定を獲得した一番の要因だと感じています。

【最後に】

今回の転職活動で改めて、人に自分の意見を伝え、理解してもらう難しさを実感しました。それと同時に、人に感謝することを大事にしないといけない、とも感じました。

転職活動は、孤独になりやすく、周囲に相談しにくいことも多いです。しかしそんな状況にある私を支えてくれた家族や友人、これまで私を助けて下さった方々、エージェントさんなど、色々な方に感謝することが大切だと分かりました。
大げさかもしれませんが、そういった感謝する気持ちがない間は、いくら懸命に転職活動をしてもうまくいかないように思います。

今回内定を頂いた企業様は面接時に温かく対応して下さり、1次面接後の帰り道でまだ受かってもいないのに涙が出ました。
転職活動をしている期間は、いつも1人で卑屈になっていたこと、助けて下さった方に感謝をすることを忘れるなど、人としてダメだったような気がします。1次面接後に、その点をやっと理解できたと思いました。

出会ったすべての人に感謝をすることは難しいですが、自分の身近にいる大切な方、同僚、家族に感謝することは必要だと思います。転職がうまくいったことより、このことに気付けたのが今回の転職活動の中で一番の収穫だったと思います。

この度は本当にありがとうございました。

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