国立大学発のバイオベンチャー 特許技術担当マネージャー
一部上場 スマホアプリ配信会社 知的財産職
木嶋 正俊 氏 42歳 / 男性
学歴:私立大学 理学部 化学科 卒
国立大学大学院 バイオ系研究科 バイオ系専攻 修了
旧・帝国大学大学院 農学系研究科 応用生物系専攻 中退
二級知的財産管理技能士
近年になり博士課程修了から民間企業への就職が比較的一般的になった風潮がありますが、私が在学していた当時は、博士課程からのキャリアパスはアカデミアが大多数であり、企業側も採用に消極的だ、と感じていました。大学から民間企業への就職は学部生、修士の学生がライバルであり、当時はとても苦労をした記憶があります。
一時は自らが希望しない企業に就職したこともありましたが、努力の甲斐があり、どうにか製薬企業での研究開発職に内定を頂きました。
民間企業に就職して感じたことは、民間企業にも多くの博士持ちがいることでした。私はその製薬企業で、研究経験を活かしながら知的財産関連の業務に就いていました。
大学での研究よりも業務範囲や必要知識が膨大になり、社会人として働き始めて数年間は試行錯誤でしたが、知的財産業務は私の興味や性格にマッチしていて、水を得た魚のように生き生きと業務をこなしていました。アカデミアで研究以外のキャリアで活躍することに活路を見出すことができました。
ここで私が思ったことは、1つのキャリアに縛られると他の可能性が見えなくなってしまい、可能性を自ら消してしまうことがある、ということです。常にフレキシブルに状況に応じて対応できる力こそが真の実力であると思います。
知的財産業務の中で私が主担当となったライセンシング業務の経験を積みあげることができたことが大きな自信になり、実績をあげることもできました。同時に、社内外の方々との交流の場を積極的に持つように心掛け、アカデミアだけでない人脈づくりを幅広く行いました。
この会社での経験を通じて業務を一通りこなすことができる、という自信がついたので、今よりも落ち着いて働ける環境、かつ、さらにステップアップができる企業で、新たな専門性も活かしつつ働こう、と考えましたので転職を決意しました。
その時の転職は、CMで馴染みのある某大手転職コンサルティング会社に登録し、他にもいくつかの転職コンサルティング会社に登録しました。
その後、その某大手転職コンサルティング会社に紹介された会社で実際に就業しましたが、紹介してもらった求人票と異なる業務ばかりで、今までの知識や経験がほぼ活かせず、何のために転職をしたのかが分からなくなり、不満ばかりが蓄積されていきました。
もちろん、当時就業していた会社に掛け合いましたが担当業務の変更もなく、それどころかより一層、私が希望するキャリアとは程遠くなるような業務ばかりとなり、大袈裟でなく私の中では騙された、という気持ちが日に日に大きくなっていきました。
そのようなことが起きたのが入社1か月目くらいで、当時利用した転職コンサルティング会社の担当者に相談したところ、照れずに「もう一度、当社を使って転職して下さい」といった内容のことを言われました。新たな案件を紹介されたため、転職を繰り返させる気なのか、と思い、私はその転職コンサルティング会社に対して疑心暗⻤になりました。転職活動、失敗でした。
その時に私が感じたことは、転職先の企業の選び方はもちろん大切ですが、どの転職コンサルティング会社を使って転職活動をするか、も大切だと実感しました。
今回の転職を考えたきっかけは、当時勤めていた企業の経営判断により、事業縮小で人員削減や大幅な配置転換があったからでした。新規事業に進出をしたにも拘わらず、わずか数か月で撤退があり、私と一緒に仕事をしていた仲間たちが次々と転職などで辞めていきました。
私も配置転換があり、しばらくは馴染みのない業務で大変苦労しました。いつの間にか、全く馴染みのない企業、業務へ転職したようなものです。私の大学院での専門性、研究開発、業務経験で培った知識が全く活かせない業務をしばらく行っていました。
このような状況でしたので、私も転職活動を水面下で行うために、今回も数社の転職コンサルティング会社に登録をしました。
今回もCMで馴染みのある転職コンサルティング会社に登録しましたが、それらの会社
は、マッチングシステムのような明らかに機械的なマッチングシステムにより企業を紹介するだけでした。紹介案件数は多いのですが、段々と業務経験や希望条件とかけ離れている企業を紹介されるようになっていきました。私が希望しているキャリアや今までのバックグラウンドは、ほぼ考慮されない案件の紹介ばかりでした。
他の転職コンサルティング会社も、私に紹介できる企業が少なかったようで、担当者の方々も苦労なさったと思います。
なかなか良い案件に巡り合えず、応募しても書類選考で落とされることが多くなったので、次第に焦り始めてきました。焦りながらも、時々は面接に行っていましたので、何とか心の平穏が保てていました。求人の募集や面接の機会も波があるのだと実感しました。
その間、積極的に自身でも各応募先企業のホームページを見ながら直接応募もしました。複数社の転職コンサルティング会社のサイトを駆使しても、なかなか決まらず、以前に在職していた会社にまで仕事があるか様子を伺いに行った程でした。それでも決まらず、転職コンサルティング会社の担当者との面談を繰り返す日々でした。就業中の会社での業務も悪戦苦闘してなかなか思うように事が運ばないのに、転職活動までも思ったように進まないなんて、と悩み、この時は体重が随分と減ったほどでした。
そんな中、エリートネットワークさんと接点を持つ機会がありました。何かのサイトで、エリートネットワークさんの広告を拝見し、早速、登録しました。
これが今回の偶然のご縁の始まりです。
転職カウンセラーの杉本さんと、年末の仕事納め後にお会いさせて頂きました。
よくこの時期に会って下さった、と今となっては思います。
この時の面談では、本当に色々なことを話しました。
他の転職コンサルティング会社とは異なり、エリートネットワークさんは、求職者の生い立ちから聞いて下さり、私がどのような人間なのかを対話を通じて把握すると同時に、私自身に再認識させてくれました。高校時代からの長い時間を思い出すように話して、どこに住み、何を学び、どのような家族構成なのか、そして今までの各企業での業務経験を時間を掛けて聞いて下さり、今後の転職活動についての戦略やキャリア形成に対するアドバイスなどを頂きました。
このような対話の中で、杉本さんの方から印象的な言葉がありました。
それは、「第二新卒くらいの若年層の人材ならば企業からのニーズも強く、機械的にマッチングしていくだけでも決定するので、大手の転職コンサルティング会社に強みがあります。なぜなら、大手は案件数が多いからです。当社の強みは、求職者の一人ひとりと対話し、求職者の人物像を明確に把握した上で、その求職者の方にマッチする求人案件を紹介することです。転職コンサルタントは将来AIに仕事を奪われると言われていますが、当社のようなマッチング方法はAIにはできません」というものです。
その日にご紹介して頂いた案件は既に応募済みの企業でしたので、応募はできませんでしたが、私は奇妙な縁を感じていました。
私が複数社登録した転職コンサルティング会社でも、企業担当者と求職者担当者が分かれている人材会社から紹介を受けた企業への応募は、ほとんど書類通過しませんでしたが、企業担当者と求職者担当者が同じ転職コンサルティング会社を使うと、書類通過の確率が高くなっていたと思います。
確かに機械的なマッチングについての話は、杉本さんが語った説が正しいと思います。(私の経験ですが、ある大手の転職コンサルティング会社を使った時の面接では、企業説明や面接での注意点などのフォローもなく、面接先の企業で、私も先方企業も双方がミスマッチしたことを面接開始後10分で認識したこともありました。)
尚、求職者の年齢が高くなればなる程、転職回数が多い程、転職活動で苦戦する、とある転職コンサルティング会社で言われたこともあります。(データを見せて頂きながら、よく世の中で言われている35歳転職限界説を説明されました。)
杉本さんとのカウンセリングにおける対話で、私自身が気付いたことが幾つかありました。それは私の中での優先順位です。これにより、年収、勤務地、やりがい、業務内容、知名度、会社規模など、働く会社を選ぶ中で何の項目を、どのように順位付けするか、が明確になった気がしました。
誰しもが全ての項目を満たす100点の企業へ転職したいという考えになると思います。私もできることなら、全てが自分の思い通りの100点の企業へ転職したいと考えていました。しかし、現実には何かを諦める必要があることが多いと思います。もちろん私も、今回の転職では優先順位を下げた項目もありました。
今回の転職活動で、転職先に100点の環境が用意されていなくとも、80点でも良いのではないか、と考えるようになりました。更に、その80点の中に、自分が譲れない優先順位が高い項目がいくつ入っているか、が総合的な点数よりも意義があるのではないか、と考えました。 そして、選択した企業の中で業務を通じ、自らの努力で100点の環境にしていけば良い、と思いました。
今回の転職では、 この80点の中に私自身が譲れない項目をいくつも入れることができました。また、80点を100点に変えることのできる項目も入れました。
(実は、今回の転職をする前に働いていた企業の環境は30点であったと感じています。将来的なキャリアに対する不安、専門性を活かせないもどかしさ、待遇に対する不満など、挙げたら切りがありません。)
今回の転職では、まずは自分の思い描くようなキャリアを形成していくこと、どのような仕事を通じて社会に貢献できるか、どのようにして今までに身に付けてきた知見を社会に還元していくことができるのか、が重要だと考えましたので、会社選びの優先順位の上位へ置きました。また、大学院での専門性が活かせることと、今までの業務経験を活かすことができる仕事であると同時に、年収アップも狙っていました。
上記を叶えることができたため、今回の転職は、成功と考えています。
今回の転職に対しては、前職の状況が状況だったものの、家族からの反対もありました。家族には不安を感じさせてはいるものの「今回の80点の選択を、いつか100点にしていくこと」を約束して転職しています。
しかし、どのご家庭も同じような状況かと思いますが、自分が思う転職の際の優先順位と家族が考える優先順位が異なる中で、家族が考える優先順位が高い項目を考慮しないと意見が合わず大変ではないかと思います。今回の転職では、幸いにして家族の優先順位が高い項目も盛り込むことができました。
今回の転職も、家族と重要な話をする機会が多くあり、自身の仕事に対してのエネルギーだけでなく、家族に対してのエネルギーも必要でした。しかし、家族への報告を通じて会話の機会や、家族の意見を素直に聞けることもありました。
今回転職した企業は、国立大学の中で生まれたばかりの会社です。人数も今までの会社の100分の1くらいしかいません。 ですから、一人ひとりに任せられる責任がとても重く、 社員の個々の力量が重要となります。
今回の企業に対して、私はこれからの会社なのでワクワクしている面と、任せられる業務を期待通り、もしくは期待以上にできるのか不安になっている面とがあります。
その分、任せられた業務をしっかりとこなすことで、私自身が考えているキャリアにつながり、将来のキャリア形成が加速されると思います。
いろいろな意味で、今度の新しい環境で与えられる予定調和でないことを楽しむことができれば、私が思い描く将来につながると信じています。