大手証券会社グループの資産運用会社 エクイティ・トレーディング部 次長 (管理職)
日系 大手生命保険会社 資産運用部門 トレーダー (調査役)
※英国現地法人での勤務経験あり
笠間 義彦 氏 37歳 / 男性
学歴:早稲田大学 政治経済学部 経済学科 卒
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)
TOEIC 805点
誰でも現在勤務している会社に対して少なからず不満はあるだろうが、私の場合は、転職を決めた1年半くらい前から、このような不満が顕在化してきた。この会社は将来本当に大丈夫なのか。この先定年まで勤務したとして、充実した会社生活を過ごすことができるのか。本当に、やり甲斐はあるのか。
同期や先輩と話しても、会社に対して前向きな意見なんてちっとも聞こえてこない。それでも皆この会社にすがっている。なぜだ。私はこれでいいのか。一度しかない人生を、この会社に託していいのか。一応、転職活動をしている人もいるようだが、コンサバティブなこの会社ではそんな人はごく僅か。給料は上がらない。35歳を過ぎたのに、管理職にすらなれない(制度上、どんなに優秀でもあと3年程度は管理職になれないはずだ)。一方で、管理職は山のようにいる。出世なんてできるのか。要職に就くことができるのか。働き盛りの我々はこの先一体どうなるのか。
転職をするべきなのか。自分の中ではチャレンジしたい気持ちで一杯だった。もちろん家族とも相談をした。『これまで深く考えずに、高校、大学、就職と当たり前のように人生を送ってきた。それは本当にやりたいことだったのだろうか? 転職=本当にやりたいこと、であれば、頑張りなさいよ。』 転職に対して快くサポートしてもらい有難く思っている。
ところで、現在の私の業務 (バイサイドのトレーダー) については、大変にやり甲斐のある仕事である。これまで私は生命保険会社に勤務する中で様々な業務を体験した。証券部門のバックオフィス、海外勤務、アナリスト等々。数々の仕事をしたが、トレーダー業務は非常に楽しく、充実した毎日だった。トレーダーの先輩とも息が合った。会社に対して上述したような不満はあるものの、とりあえず満足した日々を送ることができた。結果としてトレーダーとしての実力も備わってきた。
しかし、残念ながら先輩が異動になり、代わりに別の先輩が配属された。失望だった。私とはあらゆる点で能力がかけ離れていた。先輩とは年ばかりで、トレーダーとして全くふさわしくない人物であった。どうして会社はこのような人材配置をするのか。なぜ私がこの先輩を指導するのだろうか。私の方が仕事をこなすのに、なぜ先輩の給料の方が高いのか。毎日がつまらない。いよいよおしまいだな、という気持ちになった。その一方で、このまま適当に先輩をコントロールしてぬるま湯につかっていれば、当面はラクをしていられるかな、という気持ちもあった。これらの思いが交錯する毎日が続いた。もちろん現状を打破すべく努力はした。定期的な人事評定があるため上司との面談の際に話をするチャンスはある。しかし、どの上司に何を言っても何も改善されなかった。
転職活動開始のきっかけは人材紹介会社 (エリートネットワーク社ではない) からの電話だった。その誘いを拒否する理由等何もなく、打ち合わせに赴く。そして2社程度面接を受けることになった。しかし、そのエージェントのコンサルタントからはあまり親身な指導もなく、面接の日程がアレンジされるだけだった。結果として自分も志望する会社に思いを上手く伝えられず、全て敗退。こんなものか、と思った。
しかし、諦められなかった。このまま埋もれてしまうことにどうしても納得がいかなかった。このような旧態依然とした会社を見返してやろう、という気持ちもあった。インターネットで検索し、転職に関する情報収集をした。自分で応募 (公募) するよりも、やはりその道のプロにお願いした方がいいだろう、と結論を出し、(株)エリートネットワークに登録させて頂いた。数日後、お返事を頂戴し、まずは転職カウンセラーの高橋さんにお会いしてカウンセリングを受けることになった。
高橋さんには、非常に懇切丁寧にご指導を頂戴した。私は転職に至った理由や自分のアピールポイント等について、頭の中では思うことはあるものの、それを上手く纏めて言語化することができずに困っていた。相手に納得してもらえるように説明することができなかった。そのため、前述の会社から紹介されて面接に臨んだ際に、相手企業に自分の思いを上手く伝えることができず、失敗してしまったのだと思う。
高橋さんは、そんな私の現状を理解して下さったようだった (そんな状況はお見通しだったのか)。まずは私に話をさせる。私も何を話したのかよく覚えていないが、要領を得ていなかったと思う。それでも高橋さんは、「こんな風に志望動機を組み立てれば、きっと企業にあなたの思いを伝えることができますよ」、と一緒に具体的な内容を考えて下さった。無心にメモする。なるほど要領を得ている。これなら説得できるぞ。初めての転職活動者にとっては心強かった。
ここで自分の志望動機について述べる。根底にあるのは、1)冒頭述べた会社に対する不満。加えて、2)人事異動の多さによって専門性を深めてゆく仕事ができないこと。経験を積んで2,3年後、いよいよこれから腰を据えてやらせて下さい、という時に異動になってしまう。しかも直前の業務と関連性が薄い部門への異動である。具体的には、海外勤務を経験したが、国内に戻るや否や、純国内系の仕事へ異動に。それまでの経験は一体何だったのだろう。3)職場の雰囲気の悪さ。コンサバティブな会社だということは分かっているが、雰囲気が暗い。覇気がない。皆やる気があるのか。緊張感もなく、できる人もできない人も、年功序列に応じて賃金が支払われている。そんな社会主義制度のような会社にうんざりしていた。
高橋さんの志望動機に関する指導は次の通りであった。私は転職したいが、年齢に不安があった。35歳を超えている。もう転職は無理なのだろうか。個人的には、これまでの様々な業務を通じて得た知識と経験を生かして、トレーダーという専門職でやっていく自信はある。何とかこれをアピールできないか。高橋さんはそんな私の気持ちを汲み取って、志望動機を練り上げて下さった。この志望動機を自分の言葉で語れるようにしなさい! わかりました! この人なら信頼できる、と思い全てを託した。
私の転職志望先は日系のアセットマネジメント会社だった。大手を中心に5、6社紹介して頂いた。さすがお付き合いしている企業が多数あるようで、こちらとしては大変有難い。面接の前に何度も志望動機を自分の言葉で言えるよう声を出して練習した。職歴については、受け答えの不安は特になかった。やってきたことを堂々と述べればいいからである。ポイントは志望動機だった。
私の『転職体験記』を読んで頂く方に参考になるように、失敗したこと、上手くいかなったことを詳しく書く。年齢が35歳を超えていることは、転職活動を困難にした。「年齢に比して職種毎の経験が浅いですね。もう少し専門性が高いといいのですが。」今の会社の中では私の経験でもかなりレベルが高いと思うのだが。「管理職として経験がないのに大丈夫ですか。志望動機がネガティブですね。」 現在の会社の定期異動にうんざりして転職するのかと思われたようだ。また、現在の職場の不満を強く出し過ぎたようだ。何度も失敗した。面接が終わる毎に高橋さんに内容を報告した。必要に応じて的確なアドバイスを頂き、次回の面接では決して同じ過ちを犯さないように心がけた。ネガティブ思考ではまずいので、改める。落ち着いてトークする。改めて当初の志望動機を忘れない。ポジティブに考えることにした。
また、次のように考えて、ポジティブな思考を維持した。面接官も、これらの面接を遊びでやっている訳ではない。つまり、興味がない人にわざわざ会って話を聞く訳がない。この候補者はもしかしたら使えるかもしれない、だからこうして面接しているのだ。自分に自信を持とう。高年齢という不利な条件があったとしても、先方には少しでも採用する気はあるのだ。不安になる自分を何度も励ました。私はトレーダーとして、債券でも株式でも何でもできる。貴社に何かポジションが空いているならば、そこで自分を使って欲しい。そんな気持ちで臨んだ。
そうは言うものの、面接というのは本当に難しい。相手が自分の能力のどこを評価しているのか。どこを不安に思っているのか。事前には全く分からない。結局、面接が終わってもはっきりとは分からないことが多い。この会社は、債券のトレーダーが必要なのか。面接の途中で気づいても、それまで株式に関する知識をアピールして失敗したり、次回の面接でようやくその会社が必要としているポジションのニュアンスが判明したり、と相手の腹を探るのは大変難しい。最初からそれを聞けばいいのでは、と思うが、私は実際の面接の場でそんなことを言えるような状況にはならなかった。
ご縁がなかった会社についても、ご紹介頂いたポジションはやり甲斐のある仕事ばかりだった。長い間ひとつの会社に勤めていると、いつの間にか世間知らずになる。世の中に通用する技量を身につけておく必要があるのだと痛切に感じた。今の会社と世間とのギャップを見ることができただけでも、転職活動は私の人生において有意義なものであった。
ご縁があった会社については、全てが上手くいった。お互いに相性が合ったと言える。私もその会社を気に入る。一方で会社にも私を気に入ってもらう。なんだ、当たり前じゃないか、と思われるかもしれないが、相思相愛の関係にならない限り内定を頂戴することは困難なのではないか。全ての活動を終えてみて改めてそう思う。タイミングもあるだろう。でも諦めてはいけない。自分に自信を持って体当たりで臨む姿勢は忘れてはいけない。
なぜこの会社に決めたのか。ずばり、お互いに満足のいくコミュニケーションが図れたからだろう。人事部の方、実際に働くことになる部門の上司の方、お会いする人全てが私にとって好印象であった。おそらく先方も私のことを好印象に捉えて頂いたのだろう。お互いをディスクローズして、気に入るか気に入らないかを判断する。それが面接の主旨であろう。お会いした方々の印象が良い、ということは職場の雰囲気も悪くないのでは、と思った。
また、私は誰にでも配属予定先の職場の雰囲気を伺うことにしていた。ご縁があった会社については、どなたに伺っても職場に対するコメントが同一だった (もちろん、ポジティブな回答であるが)。転職をするのに、自分に合わない雰囲気の会社に転職をしても仕方ない。他社では、残念ながら職場 (会社) の雰囲気を自分の言葉で語れない方もいらした。一方、内定先では、新たに働く仲間を探しているのですよ、と言われ、非常に好印象であった。
もちろん年収等の労働条件も転職を決めた理由のひとつだが、それは内定を貰った後の話。自分でフィーリングが合わないな、と思った会社は2次、3次と面接は進むが、最後には断られる。逆に、これはいけるな、と思った会社は順調に進む。ご縁があった会社については、3次面接まであったが、ほぼ3週間程度で内定を頂くことができた。内定後の労働条件の提示についても、現状よりも好条件であり、全く問題はなかった。上手くいくというのはこんなものか、と改めて思う。
転職先が決まったとしても、ほっとしてはいられない。退職のプロセスという重要なイベントがある。しかし、退職に関する高橋さんのアドバイスも非常に的確だった。詳細はここでは書かないが、退職に関してトラブルは全くなかった。非常にあっさりと退職を受け入れてもらえた。それもアドバイスのお陰である。
これから新天地で上手くやっていけるか不安はあるが、そこに関しても転職カウンセラーの高橋さんから充分なアドバイスを頂いている。きっと上手くいくと信じている。高橋さん、本当にありがとうございました。