高炉メーカーのプラントエンジニア、海外で活躍したいと海運会社への転職

高炉メーカーのプラントエンジニア、海外で活躍したいと海運会社への転職

No.1111
  • 現職

    東証一部上場 大手海運会社 新規海外事業 投資評価  技術担当

  • 前職

    東証一部上場 大手高炉メーカー プラント技術  主任

高杉 藤一郎 氏 32歳 / 男性

学歴:北海道大学 工学部 社会工学科 環境工学専攻 卒
北海道大学大学院 工学研究院 環境創生工学専攻 修了
TOEIC 810点

大学での専攻は「社会工学」というジャンルで、インフラストラクチャーが研究対象でした。大学受験時に専攻を選択する時代でしたが、高校生の頃から「目に見えて巨大な構造物または設備に関わりたい」という想いが強かったのです。

大学院時代に始めた就職活動においても、この想いは変わりませんでした。夏のインターンシップではプラントエンジニアリングを専業としている企業にお邪魔し、様々な分野のプロフェッショナルが巨大で複雑なプラント設備を緻密に創り上げていく過程について、疑似体験させてもらいました。
ただ、プラント自体は顧客の所有物であり、出来上がった後に世のため人のために稼働する姿に寄り添うことは出来ません。私はこの点が承服出来ず、後に複数社から内定を頂戴しながらも辞退してしまいました。自分のこだわりを明確化しなかったばかりに、関係者に迷惑をかけてしまった。この点が新卒時就職活動の反省点です(これは転職活動にも言えることと思料しますが)。1点補足すると、上述の業務形態は勿論当時の話であり、現在は参画フェーズを拡大して、完成後の操業&メンテまで請け負うプラントエンジニアリング企業も多々あると認識しています。

紆余曲折を経て、新卒では鉄鋼会社に就職しました。社内の鉄鋼生産設備を対象としたプラントエンジニアリングがミッションとなり、とにかくとてつもなくスケールの大きな設備を相手に、その設計・調達・建設・試運転をこなしていきました。当然出来上がった設備も社内財産であるわけですから、元気に稼働している姿を存分に楽しむことも出来ました。また、キャリア後半においては、その稼働を実際に担当する部署(いわゆる操業技術部門)に異動しています。自身がやりたいことをフルにやらせてもらえる環境に置いていただいたことには、今でも非常に感謝しています。


8年半の勤務で一番印象に残っている仕事は、海外との合弁会社を設立して現地生産工場を建設するプロジェクトに携わったものです。本流のエンジニアリング業はもちろん、政府との折衝や現地スタッフの教育指導といった従来の域を越えた業務の数々に、新鮮さと強い刺激を得る日々でした。その分苦労も多かったですが、初めての社外、まして海外に目を向けたことによって国際的なビジネスの進め方(抽象的な表現をご容赦ください)を存分に学ぶことが出来ました。また、現地長期滞在時に懇意になったエンジニアとは、職を変えた今でも互いに近況を報告する仲になっており、色々な面で財産を得ることの出来たプロジェクトでした。

余談ですが、当該プロジェクトはその性質上、検討時から参画したエンジニアの方々はベテランばかりでした。私はどうしてもメンバーに加えて欲しい旨を上司に直訴し、会社もそれを受け容れてくれました。所謂大企業のような巨大組織でも、若手のやる気や希望を汲み取ってくれる風土が根付いているケースがあると知った次第です。転じて、「いかなる環境下でも恐れず積極的になること」が自身の成長に繋がる重要な姿勢であることを悟りました。

転職を考え始めたのは上述の海外案件を完了させてしばらくした頃でした。誤解を恐れずに述べると、戻って従事した国内での仕事に対して、大きな障壁やチャレンジ性を見出すことが出来なくなっていました。これは何度も読み返した漫画に例えるとわかりやすく、今後の展開が分かり切っていることから、自身の仕事に日々「惰性」と「手抜き」が加わっていくことを感じざるを得ませんでした。一種の燃え尽き症候群だったのかもしれません。

業務の傍ら、「自由に選べるとしたら次はどんな仕事をしたいのか?」という問いに対する答えを日々考えて過ごし、当時得た結論は「国を跨いだビジネスがしたい」というものでした。ご想像の通り、先述の海外プロジェクトが想像以上に面白かったことから、その流れで導出されたものです。滑稽なことにビジネスの対象とする業態は思いつかず、先の結論は「なんでもいいから海外で面白い経験がしたい」という途方もなく痴呆な表現に変換することが出来ます。

この後、先にも述べた「積極性」が先走り、(株)エリートネットワーク殿へ気軽に相談しに行くに至りました。お会いした転職カウンセラーの高橋様から説教でもされるかと思いましたが、意外にも「そういうものです」とフォローされたことで安心したのを覚えています。最初の対話時間をかなり長くとっていただき、私の抽象的な希望を辛抱強く聞いていただきました。

私の譲れない点として「海外と仕事が出来ること」および「ビジネス色が強いこと」を申し上げ、後日幾つか企業をご紹介いただく流れとなりました。余談ですが、この時、私は元来おしゃべりで喧しいところもあったので、落ち着いて対話することを心掛けました。しかし後日の電話打合せにて「覇気がない」とお叱りを受けることとなり、変に取り繕うことの愚かさを学んだ次第です。尤も、取り繕う前の状態でも何かしらの問題点はあるでしょうが。

こうして始めた転職活動において、当初メインアピールとした自身のスキルはプロジェクトマネジメント力でした。敢えて技術寄りではなく、ビジネスで普遍的に通用すると思われるスキルを強調したのは、私が「次の職場ではエンジニアとして活躍するのではなくビジネスライクな営業部門へ」という考えがあったからに他なりません。結果として、後にこの考えは特別重要な因子ではないことが判明し、唾棄することになりました。現在は海運会社の技術部門に所属し、海外の新規事業に対する投資評価をテクニカルな視点から行う仕事に従事しています。

 先般述べた「自身のこだわりを明確化する」という作業をまたしても怠り、新卒時と同じ過ちを犯してしまった私ですが、短期間でうまく軌道修正出来たのは、やはり高橋様のお力添えがあったからと言えます。休眠期間を経た1年後、久しぶりに対話した際に「話を伺っていると、海外をフィールドに仕事することが重要で、それ以外の強いこだわりって本当はないように見えます」というお言葉をいただき、初めて自身の潜在的なこだわりにも気づき、選択肢も広がりました。他人(それがプロフェッショナルであれば尚更)との対話や議論によって自身の深淵に触れることが出来、様々な道が拓かれる。これが転職活動にて得た気付きであり、僭越ながらも、これから転職を考えている方々へのアドバイスとなります。

詳細は割愛しますが、その他自身の至らぬ点、これは転職市場において歓迎されないある種の頑迷な思想やこだわりを指しますが、これらに対しても多岐に渡るご指導をいただいています。エリートネットワーク殿は、転職活動に必要な諸スキルは勿論、肉親しか忠告してくれないであろう事項をしっかりと本人に指摘し、悟らせる仕組み(思想・理念)があるように見えます。これは大変有難いことです。
合格の通知を電話で頂戴した際、思わず「本当ですか?」と返事した私に対し、「なんで私が嘘を言うんですか」と切り返されたのを覚えています。常日頃の対話で真摯に向き合ってくれた方しか言えない台詞だと思います。

海運会社に転職して3ヶ月が経ちましたが、非常に刺激のある、魅力的な仕事を任せてもらっております。自身が体得したプロジェクトマネジメント力と技術的知見を活かし、海外の新規事業の開拓・運用に邁進していく所存です。
この場を借りて、改めて転職活動にご協力いただいた高橋様に御礼申し上げます。
ありがとうございました。

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