女性官僚、未経験の不動産業界へ

女性官僚、未経験の不動産業界へ

No.1121
  • 現職

    一部上場 財閥系 大手総合不動産会社 総合職

  • 前職

    国家公務員 総合職(旧・国家公務員Ⅰ種)

山縣 ゆり子 氏 28歳 / 女性

学歴:京都大学 卒
京都大学大学院 修了

このたび、エリートネットワーク様のご尽力により、転職のご縁をいただくことが出来ました。国家公務員として歩み出したものの、自分の描くキャリア像と国家公務員として歩むキャリアに隔たりがあるのではないかと感じはじめた頃、先に転職された先輩に紹介されたのが、エリートネットワーク様と正にこの『転職体験記』でした。

インターネットでいろいろと検索しても、公務員の転職についての情報は少なく、あったとしても圧倒的にコンサル業界への転職体験が多い中、この『転職体験記』では公務員からコンサル業界に限らないさまざまな業界への体験が綴られています。
皆様の体験記は、転職を迷っていた私自身の励みとなり、また、新しい一歩を踏み出す勇気となりました。私の体験記が同じように誰かのお役に立てればと思い、つたないながらも記させていただきます。

(1)中央省庁で働きたい

私は人文社会系の学部を卒業し、そのまま大学院まで進学しました。高校生のときの学部選択、そして大学院への進学も、何か明確な思いがあって、というよりも、他学部よりも興味が持てそう、就職するより進学したい、と他の選択肢と比較して選んだ結果、というのが正直なところです。

一方で、就職先として中央省庁を選んだのは学部選択や大学院進学とは違い、積極的な選択でした。毎日のニュースで耳にする中央省庁の政策、謎めいた政治の世界、そして「キャリア官僚」という(当時の私にとっては)なんともキラキラした響き……。中央省庁には一体どんな人がいて、毎日どんなことをしているのか。中に入らないと見えない世界を見てみたい!そう単純に思ったのが国家公務員を目指した最初のきっかけです。
もちろん、現実的に国家公務員を志望するにあたっては、自分のこれまでの人生を振り返り、何をしたいのかを考えましたが、今思えば、「憧れ」のような気持ちが根本的な原動力としてあったように思います。

(2)憧れの職場と自分の描くキャリア像

幸い、国家公務員試験と官庁訪問を無事に通過し、第一志望の官庁に採用していただけることになりました。働き始めてしばらくは、職場で飛び交う用語やめまぐるしく遷移する多くのトピック、そして上司から与えられる指示を把握するだけで精一杯。ただひたすらに毎日、目の前の課題を受動的にこなし続ける日々でした。
 そんな毎日でも、なんとかしがみ付いて過ごすうちに、「政府」というものがどのような行動原理で動かなければならないのか、また、争点はどこにあって、どういう「落としどころ」があり得るか、というある種の「土地勘」が身についたように思います。

 年次も上がり、経験値を積むことで最初は出来なかった「自分で考え、行動に移す」ということが、能力的にも立場的にも徐々に出来るようになってきた頃、ふと今やっている仕事の「枠」や「限界」を感じるようになりました。「土地勘」や経験値を身につけてしまったがゆえに、「こういうことをやればいいんだろうな」「理想はこうだけど、現実的には難しいからこのくらいでやっとくか」という「官庁らしいゴール地点」を早い段階で思い描くことが出来てしまい、それに向かって淡々と作業をすることが多くなったのです。


どんな新しいテーマや社会課題であっても、行き着く先はなんとなく見たことのある施策、やり方。既存のアプローチとは異なる方策を提案しても、関係部署との調整や決裁の過程で、見る見るうちに角がとれて小さく丸められていく。そういうことを何度も経験するうちに、行政の仕事は、与えられた業務を皆が予想する着地点に無事に着地させるようなことなのかな、と思うようになりました。

もちろん、国家行政は個々の職員に左右されることなく、着実に、継続性を確保しながら進められるべきという側面があるので、本来そうあるべきなのかもしれません。しかし、自分が残りの長い職業人生をどう過ごしたいかと考えたとき、新しいことにどんどん取り組み、挑戦していきたいと思うようになりました。
また、そういった想いを持つ中で、日々の業務では具体的な成果を感じにくいことも、この職場で働き続けることに限界を感じる要素となりました。

(3)転職の決断

転職を現実的に考え始めたとき、まずは検索エンジンで「国家公務員 転職」と検索してみました。しかし、ヒットする多くのサイトは、転職するべきではない、という内容のものでした。
その理由として、公務員の安定性を挙げるものの他、公務員は民間企業で通用するスキルを身につけておらず、即戦力ではないために転職が難しい、ということを挙げるものもありました。特に後者の理由については、英語力も含め、取り立てたスキルや能力、経験も持ち合わせていない私にとって、転職をあきらめるには十分な破壊力を持っていました。

また、私は転職するなら具体的な成果物が見えるような仕事をしたいとの想いから、いわゆるコンサル業以外で探したいと思っていましたが、検索しても検索しても公務員がコンサル業以外に転職したという例はなかなか見つからず、日に日にどうやら転職は難しそうだ、という感想ばかりが蓄積して、気付けば転職についての情報収集を始めてから約1年が経過していました。その1年間は、情報収集をしつつ、常に「本当に転職したいのか?」と自分自身とも向き合った1年だったと思います。

学生時代に憧れた「キャリア官僚」。そして、ここでの仕事は他のどこでもなく、ここでしか出来ない業務であること。このまま働き続け、例えば幹部と言われる地位に辿り着いたとき、そこからしか見えない景色がきっとある。そして、その地位に就けば、自分の思う政策を推進する力を持てるかもしれない……。国家公務員で転職を考えていらっしゃる方の多くが、私と同じように、官僚という肩書きや、官僚にしか出来ない業務内容を手放すことに少なからず躊躇されるのではないかと思います。

 私の場合は、幸いにも、同じ省庁の先輩で民間企業に転職された方に相談することが出来、民間企業での働き方や業務内容、国家公務員を辞めて思うことなど、いろいろなことを直接伺うことが出来ました。その中でも、私に最も刺さった言葉があります。
「人はそれぞれのライフステージによって生き方も考え方も変わるけど、重要なのは、そうした一人ひとりの変化に職場が応えてくれるかどうか。もし職場が応えてくれないのであれば、転職するというのは、決して後ろ向きではなく、前向きな人生を生きるための選択」。
その言葉に後押しされて、その先輩が利用されたというエリートネットワーク様に私も相談しようと決断しました。

(4)(株)エリートネットワークとの出会い

決断した後は行動あるのみ!と、さっそくエリートネットワーク様に登録しました。すると翌日、担当の転職カウンセラーである髙橋様よりすぐにご連絡をいただき、あっという間に面談日程が決定、在職中であることにもご配慮いただいて、就業後の時間に面談を設定していただきました。転職したい理由やこれまでの業務経験などについて丁寧に聞いていただき、後日いくつかの企業をご紹介いただきました。資格もスキルもなければ、公務員しか経験がないにも拘わらず、出来ればコンサル業以外で、という結構な難題をお願いしましたが、とてもたくさんの案件をご紹介いただきました。その中から、自分がやりたいと思う業務内容のものを選び、エントリーをお願いしました。

 現職が忙しく、時間的な余裕があまりなかったこと、自分自身がそれほど器用ではなく、一度に多くの企業にエントリーし、企業研究をするのが難しそうだったことから、私は無謀にもただ1社にエントリーをお願いし、その会社へのエントリーに全力を投入することにしました。髙橋さんもきっと無謀だなと思っていらっしゃったとは思いますが、全力を尽くしましょう、そのためのサポートはいくらでもいたします、とおっしゃって下さいました。

 しかしながら、それからの私は、エントリーシートもなかなか完成させず、また、面接に向けた準備もなかなか進めず、髙橋様より「状況はいかがですか?」という連絡ばかりをいただいていた劣等生でした……。ですが、そんな私を見捨てることもなく、こんなことで困っている、どう書けばいいのかわからない、という相談を申し上げると、いつもご丁寧かつ的確なアドバイスや、志望する業界の状況などをご説明下さり、私が作業を進めやすいよう、いつもサポートして下さいました。また、毎回の面接の前と後には面接の様子やその後のアドバイスなど、いつも密にご連絡を下さり、私の不安を取り除いて下さいました。

 面接にあたっては企業のホームページを一通り読んで勉強し、なぜその会社を志望するのか、また、これまでの経験で活かせるものはあるか等、至って定型的な想定問答を準備するだけでしたが、その過程において、自分のこれまでのキャリアや考えを一通り振り返ることが出来、改めて転職及び志望企業への想いを強くしました。

 また、いくつになっても面接は緊張するものですが、私は「自分を飾らない」ことは意識していました。中央省庁で採用面接など、学生対応をさせてもらう側になって感じましたが、自分を飾って評価してもらっても、のちのち苦労するのは自分だ、ということです。面接官は、個人の能力やポテンシャルとともに、「我が社に馴染む人材か」という点も重視しており、変に自分を志望企業の求める人材像に寄せて採用してもらったとしても、入社後に苦労するだろうな、と思ったので、面接でも等身大の自分でいることを心がけました。そして、もし不採用となってもそれはお互いのために良かったことなんだ、と思えるよう、面接では、ありのままの自分を表現することに最も気をつけていました。

(5)最後に

転職活動は、現職の人にもちろん相談出来ず、また、経験のある人もまだまだ少ない中、誰に頼ればいいのか不安だらけで孤独な活動だと思います。そんな中、やはりプロの方に相談し、話を聞いていただくことは何より心強いです。私は転職活動を始めるにあたり、自分のスキルや経験で本当に転職先が見つかるのだろうか、という不安がありましたが、髙橋様の提案やサポートにより、必要以上に自分の選択肢を狭めることなく、結果として、幸いにも第一志望の企業様から内定をいただくことが出来ました。

転職を決断するのは、大きな勇気が要りますが、決断した後に必要なのは、等身大の自分と、企業をマッチングして下さる頼れるエージェントの存在だなと感じています。その点、私がエリートネットワーク様の扉を叩いたのは、大正解でした。

先日、私は中央省庁での勤務を終え、現在は次の職場で働くことに不安を持ちながらも、新しい仕事にチャレンジ出来ることにとてもわくわくしながら過ごしています。今、この体験記を読んでいらっしゃる方にとって、私の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。

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