外資系ファイナンシャルアドバイザリーファーム フォレンジックコンサルタント
一部上場 大手機械メーカー 原動機の海外営業アシスタント (派遣社員)
外資系 eDiscoveryソフトウェアベンダー コンサルタント
柴咲 めぐみ 氏 36歳 / 女性
学歴:神奈川県立 松陽高等学校 卒
早稲田大学 法学部 国際関係法コース 卒
早稲田大学法科大学院 修了
ビジネス実務法務検定2級
ACEDS eDiscovery Essential Course
TOEIC 940点
TOEFL CBT 255点
実用フランス語検定2級
ロースクールを卒業して司法試験を受けたものの、2回失敗。これ以上試験勉強を続けるよりも、社会に出て学んだことを実際に活用したいと考え、3回目にはチャレンジせずに就職を決意しました。
企業の法務部、正社員のポジションが第一希望でしたが、現実は厳しく、日系企業の営業部の派遣社員に落ち着きました。タイトルはアシスタントでしたが、海外の取引先との契約、製品納入等々に関するコミュニケーション全般を担当させていただき、法務知識を実践で活用している実感を持つとともに、ロジスティクスの手配や社内外の関係者とのやり取り等、ビジネスの基本となることを広く浅く経験することができました。思い返すと、よく派遣社員にあれだけの業務を任せてくれたものだと思いますが、後のキャリアのベースになるいい経験だったと感謝しています。
その後、毛色の異なる派遣ポジションを経験した後、やっと正社員のポジションを見つけ、前職が正社員としては2社目の会社でした。
前職は電子文書閲覧検索ツールの開発・提供と、システムの利用に関するコンサルティングを行う会社です。私の職種はコンサルタント。契約が取れると営業から案件を引継ぎ、以後のクライアントとのやり取り、社内外の関係者との調整、プロジェクトのスケジュール管理、ベンダー視点からのツールの効果的な使い方に関するアドバイス、弁護士や調査担当者がスムーズに文書を閲覧できるようにするための準備等々、案件をスムーズに進めるために必要なことを全て担当します。
もともとはeDiscoveryの際に使用することを念頭に作られたツールですが、私が入社した2015年からは日本における米国訴訟の案件は非常に少なく、かわりに企業内の不正調査の際に行うデジタルフォレンジックに使われるケースが増えてきました。
不正調査はとにかく時間的余裕がなく、深夜も土日も関係なく稼働することが求められる世界です。不正調査を主導するのは大手法律事務所の弁護士であることが多いですが、弁護士は昼間はクライアントと会い既存案件の処理は夜間に行うことが多く、必然的に我々コンサルタントも深夜や休日に質問や依頼のメールや電話を受けることがしょっちゅうでした。
新規顧客の開拓は営業に依存するものの、リピーターの獲得はコンサルタントのサービスへの評価であると信じ、担当案件がアクティブな時には深夜も休日も関係なく仕事をするのが当たり前の生活でした。
その甲斐あってか、ツールの使いやすさとコンサルタントのサービスに、多くの弁護士や法律事務所から高い評価をいただき、特に昨年末からはコンサルタントが休みを取れないほど。リピート受注の数は右肩上がりでした。
今回の転職は、望んだというより必要に迫られてのものでした。
法律事務所や弁護士との関係もできてきて、自分たちのサービスがクライアントから評価されているという実感と自信を持ち、今後の展開に期待していた今年の2月初旬。いつもどおり出勤すると社員一同ミーティングルームに集められ、米国本社が買収された旨を聞かされました。買収会社からの、「皆さんの雇用は保障しますから、今までどおり業務を続けてください」との説明を鵜呑みにはできませんでしたが、利益が出ていれば事業撤退はないはずと考え、それから数ヶ月間は日本オフィスのメンバー一丸となって必死で努力しました。
案件数も売り上げも順調に伸び、この6月には日本での事業開始以来最高の成績を収め、さぁこれからと意気込んでいた矢先、買収会社からショックなニュースを聞かされます。
「日本での事業は8月中旬を持って終了、それに伴って日本オフィスの社員も全員解雇。」
「今日から仕事を探してください!」と突然言われても、そうすぐに気持ちを切り替えられるわけもありません。
こんなに伸びているのになぜ? 決定が覆る可能性はあるのだろうか、パッケージは出るのか、雇用はいつまでなのか、そもそも買収当初から日本オフィスのクローズは決まっていたのではないか、いくら売り上げを伸ばしても無意味だったのでは……といった疑問や不信感が頭を駆け巡り、外資系企業のドライな面を見せつけられた出来事でした。
さて、事業撤退が会社の決定である以上、すぐに転職活動を始めなくてはなりません。通常のリストラであれば退職条件を交渉して時間を稼ぐということも考えられますが、今回は8月中旬には会社がなくなってしまうという特殊な状況のため、とにかく次の職を確保することが先決です。
ただ、転職できればどこでもいいとは思いませんでした。派遣社員の経歴を通算すると転職歴が多く、それが転職の際にネックになることもしばしばだったので、またすぐに転職したくなるような不本意な就職は避けたかったのです。
前職で一定の成果を感じていたので、せっかく築いた弁護士や取引先との関係や前職で身につけたスキルを次の職場でも活用したいと思い、転職先の候補は前職と同業界、即ち不正調査やデジタルフォレンジックを扱う大手監査法人系列のコンサルティング部門と競合のツールベンダーにある程度限定しました。
職務経歴書のアップデートを2、3日で終わらせ、お付き合いのあるエージェント数名に状況の概要を伝えました。ただ、これまでは法務関係のポジションを第一希望にしていたため、エージェントもリーガルチームの方がメインです。業界に詳しいコンサルタントが近くにいないことを不安に感じていたところ、知人からエリートネットワークさんの話を聞きました。「最近うちの会社に転職してくる人はエリートネットワークという会社から紹介されてくるケースが多いみたい。スピーディーで、いいらしいよ」と。
そこで、撤退話を聞いた週の金曜日の夜にホームページから登録したところ、週明け月曜日の朝にはお返事をいただき、同日の午後に転職カウンセラー廣重さんとの面談が実現しました。当時はとにかく焦っていたので、このスピード感は非常にありがたく感じました。
面談では私が話す方がメインで廣重さんは主に聞き役でしたが、監査法人系アドバイザリーとのつながりがあり、フォレンジックの業界について勉強されていることが伝わってきました。
また、事前に私に合いそうなポジションを探してくださっていて、現職や希望職種の話が一段落した後に「応募先としてはこの辺だと思うんですよね」と言いながら次々に求人票を並べられた時には、もう廣重さんにお任せしようと気持ちが固まっていました。
次の週から続々と1次面接が入り始め、面接の準備と前職での残務処理に追われる日々でした。他のエージェントから紹介されたポジションも並行して受けていたため、一日に2件、3件の面接が入ることもありましたが、廣重さんへのメール連絡と面接後のフィードバックは最低限するよう心がけながら転職活動を進めました。
廣重さんは、一から十まで細かくアドバイスをしたり、面接対策のアドバイスを細々と送ってきたりするタイプではなく、どちらかというとあっさりと、淡々とした印象でしたが、相談すれば的確に応えてくださいました。
非常に感触の良かった企業からお見送りのお返事をもらってショックを受けていた時も、“縁”や“タイミング”があるから自信をなくす必要はないと盛り上げていただき、次の企業の面接に集中することができました。
また、希望の企業からオファーをもらえないまま退職日が7月中旬に決まり、応募企業の幅を広げないと、と焦っていた時にも冷静なアドバイスをくださり、結果として7月中旬には第1希望の監査法人系アドバイザリーからオファーをいただくことができました。
今回は前職と同業界での転職でしたので、面接準備として特別なことはせず、ありのままを見て評価してもらおうというスタンスでした。
面接の場では、勤め先がなくなってしまうから手当たり次第に面接を受けているという印象を持たれないよう意識しました。もちろん、現状は廣重さんから先方にも伝わっているはずですし、私の口からも説明します。それ以前に、同業界なので面接官も皆さん状況はご存知です。
ただ、仕方なくその会社に応募したのではなく、こういうキャリアパスを描いているから、こういう方向に進みたいから、御社ではこういうことができると考えたから応募した、ということが言えるようにしていました。また、切羽詰まった状況ではありましたが、余裕のない感じに見られないように、ということは常に念頭に置いていました。
一時はどうなることかと思いましたが、振り返ってみれば転職活動を始めてからほぼ1か月で第1希望の企業からオファーをもらうことができ、満足いく形で転職活動を終わらせることができました。
成功につながった要因は、一言でいえば人とのご縁であると感じています。
まず、知人の紹介でエリートネットワークさんを知り、廣重さんと出会い、面接では前職で一緒に仕事をしたことがあったり、間接的に私のことを知っている人が面接官というケースも多々ありました。
面接の中では、業界で付き合いのある弁護士や取引先の人の名前を聞かれることもありました。日頃からご縁は非常に大切であると考え、コミュニケーションを大切にしてきましたが、人とのつながりの大切さを改めて実感しました。
業界にもよると思いますが、比較的狭い業界では良い評判も悪い評判も自分の目の届かないところにまで浸透しています。良い評判を得るために人に媚びるということではなく、自分に恥じない仕事をし、周りの人に敬意を払うことは、今後新しい職場で仕事をする時にも心に留めておきたい点だと思いました。
同業界とはいえ、新しい職場は規模も体質も前職とは違います。人数も多く、企業としても安定している反面、柔軟性や業務を行う上での裁量、自由は前の職場よりも制限されるでしょう。
まずは郷に入っては郷に従えの精神で職場のルールになじみ、その中で徐々にカラーを出していけたらと思います。最終面接官が「あなたみたいな人は、うちで成功すると思いますよ」という言葉をかけてくださいました。その期待に沿えるよう努力し、楽しんで納得のいく仕事をしたいと考えています。