金融機関 総合職
一部上場 大手自動車メーカー 本社企画職
日野 翔平 氏 32歳 / 男性
学歴:大学 卒
まずは新卒時の就職活動ですが、時は就職氷河期ということもあり、コンサルや商社、不動産、メーカーから金融まで、とにかく内定を得るべく幅広い業界を受けて回りました。最終的には完成車メーカーにご縁がありましたが、この就活の過程で、
“人々の生活を中長期的に支えていける産業に携わりたい”、“大規模な事業で社会的インパクトを残せるような仕事がしたい”、“できればグローバルな舞台で活躍したい” といった軸が何となくでき上がっていった気がします。
そして入社することになった完成車メーカーでは、ある新興国での現地生産車両の商品・事業企画、販売戦略立案、及び価格策定業務を担当しました。
キャリアのうち2年間は当該国に駐在し、マーケティング業務において、現地スタッフのマネジメントも経験しました。企画業務では、市場調査・定量データ分析を通じた企画立案と、関係者との調整、社内トップへの事業承認プレゼンを通して、総合的な調整能力と提案力を養うことができたと思います。また、価格交渉においては、立場や文化的背景の違う海外の交渉相手から信頼を得て説得していく外国語でのコミュニケーション能力を磨き上げる貴重な経験ができました。
メーカーでの企画業務はやりがいもあり、徐々に大きな仕事も任されていくことには満足していましたが、その一方で、ある新興国を一貫して担当している状況や、ずっと同じ業務を続けていることに正直マンネリを感じていたことも事実でした。
また、完成されたビジネスモデルを回して規模を拡大させていくだけの仕事をずっと続けていて良いのか、友人や同僚が転職や独立をしている姿も見て、将来のキャリアについて漠然とした不安や焦燥感が生まれました。
そして更に、会社からは当該国のスペシャリストとしてより専門性を発揮してもらいたいという期待で、現地事業体への駐在とマネジメントポストを打診されました。
それにより、少なくとも今後5年間は同内容の仕事を海外の同じ地域で続けるキャリアプランが提示され、社内での異動が難しくなった状況で、このまま社命に従いキャリアの更なる専門固定化をさせるか、あるいは自分で新たな道を切り開くかの決断を迫られました。
後悔のない選択をするためにも、まずは現職に留まることも視野に入れつつ、転職活動を開始することにしました。
どのような転職先を目指すのか、転職をしないという選択肢もある以上、とにかく現職の待遇は維持、その上で自分にとって新たな領域へのチャレンジができることが自分の中でのこだわりでした。
よって同業界や製造業を除くあらゆる業界を視野に、新規事業や企画業務に携われる仕事を探しました。
とはいっても、30歳を越えて未経験の職種へのチャレンジは、正直転職のハードルも大変高く、転職サイトやエージェントのスカウトで数十件届いた案件の殆どは競合他社や似た業界の製造業の商品企画ポジション、又は自動車業界の案件を持つ外資系コンサルティングファームが中心で、自分の掲げる条件で転職活動を進めるのは中々厳しいのだと思い始めていました。ハードワークの経験がないわけではないですが、コンサルティングファームのような働き方には抵抗もあり、なかなか踏み切れずにいました。
そんな時、エリートネットワーク社から一通のメールが届きました。提案された案件の切り口が他のエージェントとは一味違って面白いと思い、すぐに転職カウンセラーの篠原さんと面談して頂きました。
上記の希望条件は自分でもはっきり言って夢のような内容だとは思っていましたが、これまでの業務内容や価値観を細かく深掘り頂き、できる限り要望に応えてもらえるようなご提案を頂きました。例えば同じコンサルでも、企業再生を取り扱うファーム等です。日系で小規模で、詳細を聞けば心理的な抵抗はなくなりましたし、新規事業開発という切り口でも金融やVCといった提案も色々と頂いて、そのうちいくつかは実際に受けました。
今回の転職先もそうですが、篠原さんに提案して頂けなかったら、あまりに業界が違うため自分だと尻込みして受けなかったでしょうし、もしくは紹介会社からの口添えがなければ企業側に書類審査で真っ先に落とされたと思います。それどころか、一般には非公開の案件でしたので受けることすら難しかったかもしれません。今回はエリートネットワーク社の強固なコネクションの力もあり、何とか面接に呼んで頂き、今回の転職先での内定を勝ち取ることができました。
転職活動全体を振り返ってみて、感じたこと、学んだこと、反省したことはいくつかありますが、ここでは転職を目指す方へのアドバイスとして少しテクニカルなことを纏めたいと思います。
当たり前ですが、面接のための準備を怠らないことです。具体的には自分の経歴を分かりやすく簡潔に伝える練習を声に出して何度もシミュレーションしてみて下さい。特に自分の業務内容は具体例や例え話を使いながら最長でも30秒くらいのショートストーリーで纏められると良いでしょう。面接を重ねると自ずと練り上げられますし、どのストーリーが面接官の心に刺さるのかが段々と見えてきます。
次に志望動機や転職理由を語る場面についてです。転職を考える以上、前職に何らかの不満があることは当たり前だとは思いますし、前述のように私にもありましたが、それをネガティヴに伝えてしまってはどんなに素晴らしい人材であっても面接官に好印象を与えることは難しいでしょう。実際にいくつか私が落ちた面接では、そういったミスを犯してしまったと反省しています。現職の会社や事業内容には敬意を払いつつも、転職先でこそ自分が目指したい仕事を実現できること、現職ではその実現は理論上困難であることを伝えましょう。
最後に面接の最終局面においてですが、新卒時の就活と同様に、転職先への熱意を伝えることが極めて重要です。志望動機が練られていて、能力や経験のマッチングも問題ないケースでも、本当に転職したいのかが見えない、次の上長への面接に通すには何となく不安だ、などといった面接官の印象の部分で落ちることは往々にしてあります。私も4次、5次、最終面接で落ちた時は悔しい思いをしました。
熱意の表現方法というと難しいですが、本気度のアピールと面接官に好印象を持って頂くよう努めるしかありません。転職先の会社の業務内容や歴史、有名な出身者の著書を勉強してそれを伝えることや、面接の場での声の大きさ、背筋を伸ばして良い姿勢であること、質問へのクイックレスポンス、面接官との雑談の中で過去の業務上の困難な経験を聞いてみたり、あるいは趣味やプライベートの話を聞き出して共通点を探してみる等の、好印象を得るための総合的な取り組みが必要だと思います。
先天的に簡単にできる人もいますが、自分のように訓練でどうにかしなければならない人もいます。努力で改善できることなので是非頑張って下さい。
この体験記を書いている時点では、退職へ向けて業務の引継ぎをしつつ、次の職場への準備をしている段階なので、この決断が正しかったのかどうか、まだ評価はできません。ですが、新しい環境と仕事に対してワクワクしていることは確かです。入学式を控えて家でランドセルを背負っている6歳児のように浮かれた気持ちと、新しい環境に慣れることができるのか不安な気持ちが同居しています。
ですが、数年後あるいは数十年後に振り返って、これが最良の選択だったと言えるように次の職場でも全力を尽くしたいと思います。
もしダメだったとしても、それはそれできっと大丈夫だと信じています。なぜならその時はまた篠原さんに相談すれば良いのですから。