電機メーカーのR&Dマネジャー、人材開発コンサルタントへのキャリアチェンジ

電機メーカーのR&Dマネジャー、人材開発コンサルタントへのキャリアチェンジ

No.1171
  • 現職

    企業向け研修コンサルティング会社 コンサルタント

  • 前職

    1部上場 大手電機メーカー R&D部門 マネージャー

青山 啓介 氏 40歳 / 男性

学歴:慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 卒
慶應義塾大学大学院 理工学研究科 開放環境科学専攻 修了
TOEIC 860点

はじめに

40代にてキャリアを変更する転職という体験をしました。
転職サイトからエリートネットワークの転職カウンセラー篠原さんに幸運にも出会うことができ、40代での “キャリアチェンジ” という難しい関門を突破できました。そのことを『転職体験記』としてここに記したいと思います。

学生時代

振り返ってみると高校生の頃は、心理学や人間工学といった “人” にまつわる学問に興味がありました。ところが幸か不幸か(?)成績が優秀だったために、有名私大の指定校推薦枠を獲得でき、ファミコン世代でゲームが好きだったこともあり、何となく理工学部に進みました。コンピュータ科学を専攻し、レールの上を何の疑問を感じることもなく進み、有名な電機メーカーに入社し、ソフトウェアエンジニアとして社会人キャリアをスタートさせました。

エンジニアとしてのキャリア

入社後は、先輩や同僚に恵まれ、世界的なエンジニアに囲まれながら仕事をすることで成長し、メキメキと力をつけて活躍できるようになっていくことを実感できたので、とても充実したエンジニア人生でした。一方で、このようなギーク(テクノロジーオタク)な同僚・先輩・後輩の価値観に触れるたびに、「自分は、この人達のような価値観や就労観を持っていないけれど、このままエンジニアとして定年退職を迎えるまでこの会社にいるのだろうか……?」と漠然とした疑問を感じるようになりました。確か30歳を超えたあたりからだったと思います。

マネージャーへ

ある日、上長に呼び出され、「課長を引き継いでくれないか」と突然打診をされました。まだ係長の立場を経験していなかった私には突然の話で、非常に戸惑いました。しかし、前述のようにエンジニアとしての人生に疑問を感じ始めていた私にとっては、プレイヤーからマネージャーになることで新しい風景が見えるのでは、と考え、思い切ってチャレンジさせて頂くことにしました。

と、カッコ良く書きましたが、この後のマネージャーとしての5年間はとても苦しいものでした。マネージャーとは何をすれば良いのかわからず、悩み、苦しみ、時には鬱になりそうなくらい自己肯定感を下げました。ある時から自分の中にある何かを「手放す」ようになり、自分の弱さを思い切り曝け出し、部下を頼るようになってから、マネジメントというものが何か分かるようになってきて、面白さを感じるようにもなってきました。部下に恵まれたことも非常に大きかったと思います。

原点へ

マネージャーとしての期間は、私の興味関心が、技術から “人” に本格的に移っていった人生の転機となる時期でした。高校生の頃に興味があった心理学を学ぶようになった、ということを考えると、興味関心が「戻ってきた」と言った方が適切かもしれません。

ストレスから大きく体調を崩したことも、転職に踏み出す良いきっかけとなりました。このまま、興味関心とのズレを感じながらこの職を続け、行動を起こそうと思っても起こせないくらい体調がボロボロになる最悪の未来を想像したときに、「このままじゃだめだ!」と心の底から思ったのです。

転職活動、不安との戦い

よく知られた孔子の言葉に、四十にして惑わず(しじゅうにしてまどわず)、というものがあります。
四十歳になり、道理も明らかになり自分の生き方に迷いがなくなった、という意味です。
この言葉を心に秘め、自分の興味関心に従ってキャリアを変えていくぞ、と決意し、転職サイトに登録するところから始めました。

が、来るオファーはエンジニア職ばかり。人の育成・開発にまつわる職へのキャリアチェンジを希望しても、これに関するオファーはほとんど頂けませんでした。また、役職に就いていたことから、年収もそれなりに高く、この年収の維持を希望していたことも難しさを高めていたと思います。

とあるエージェントさんから、「この歳で転職でキャリアチェンジをしようとしても難しい。それをしたいなら社内で希望を出したほうが良い。」とアドバイスされたこともありました。実際に、社内でのキャリアチェンジも検討しましたが、どうしてもピンと来ませんでした。

このような状況が続き、いま自分がやろうとしていることは本当にやりたいことなのか、キャリアチェンジでどれくらい年収が下がるのか、やっぱり今の会社に居続けるのが正解なのでは、といった不安に襲われることも多かったです。

そんなある日、とある企業の募集案内からエリートネットワークの篠原さんと出会いました。面談にて充分な時間を割いて希望を聞いてくださり、すぐさま条件の合う企業を数社紹介して頂きました。
私のようなキャリアチェンジをする方は一定数以上いらっしゃること、年収についても下がることはあってもそこまで大きくは下がらない見込みであること、そして最後までしっかりと責任を持ってお付き合いしてくださること、を言葉にして頂き、安心してキャリアチェンジのための転職活動に臨むことができました。

終わりに

幸いなことに私のこれまでの経験に価値を見出してくれる企業様が見つかり、新たな道に進む準備が整いました。この原稿執筆時点ではまだ旧会社で引き継ぎ作業をしている段階のため、キャリアチェンジをしてみて以降、のことは書けませんが、今の心境を文章に表してこの『転職体験記』を締めくくりたいと思います。

今は、新しいキャリアにチャレンジして良かった、と思えるように肩肘張らずに自然体で臨んでいきたいと思っています。組織や会社という枠組みや区切りがなくなってきているこの時代において、私がとった行動は転 “社” ではなくて転 “職” なのです。自分の可能性を信じて、今心底やりたいと思っていることに素直に耳を傾け、それにチャレンジする。その過程で、今回はたまたま会社を変えることになっただけ。私が属するところは私でしかない、と感じております。

この体験記を読んでくださっている方々のお力に少しでもなることを、心より祈っております。

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