財閥系 大手シンクタンク 海外進出企業向け戦略シニアコンサルタント
日系 大手通信事業会社 経営企画部 課長
藤沢 紬 氏 41歳 / 女性
学歴:私立中・高一貫進学校 卒
一橋大学 社会学部 卒
TOEIC 915点
ビジネス実務法務検定 2級
秋に始まり、年を越して翌春に終わった人生初の転職活動は、想像していたより長い道のりだった。
途中で大きく方針転換してまでも勝ち取った転職先だが、結果にはもちろん、そのプロセスにも満足している。
新卒から約20年、ひとつの会社に勤めていたことで怠りがちだった“キャリアの棚卸し”に向き合い、自分の仕事観のみならず人生観を振り返り、自身の市場価値や残りの仕事人生で何を達成したいのか考えを深めることができた。また、面接等を通じ、活動しなかったら出会えなかったであろう様々な業界や企業の知識を得ることもできた。
非常に有意義な活動期間だったし、最後まで諦めずに伴走して下さった高橋さんには深く感謝している。
新卒での就職活動時は、社会インフラ、特にドットコムバブルの渦中であったこともあり、インターネットを提供する会社に興味を持っていた。また、インターネットでよりグローバル化が進むことも想定して、海外展開をしている会社で働きたいと考えていた。学生時代の留学経験も活かせるのではと考えたことも、その一因だった。
入社から約10年間はマス向けのインターネット接続サービスの販売、商品企画、オペレーション管理に携わった。業界最大手だったので、若手の頃から金額や対象数の大きい仕事を任せてもらえ、失敗することもあったがやり甲斐があり様々な経験を積むことができた。
後半の10年は、入社時からの志望が叶い異動した、グローバル事業を行う部署で経験を積むこととなった。
このグローバル事業においてマス向けサービスは提供しておらず、法人向けサービスのみに関わることとなった。
通信事業者として主に日系企業の海外進出に合わせて展開をしてきたので、事業そのものの歴史が浅く、国内事業と比べるとオペレーションや体制は洗練されたものではなかった。
ただ、前例が少ないということは判断根拠を社外に求めるということであり、法務や財務の知識が要求されるようになった。また、マネジメント層と近い立場で業務を進め判断を仰ぐ機会が増えたこともあり、視野が一気に広がった。
配属当初は海外現地法人27社の経営管理からスタートし、今まで触れたことのなかった財務諸表の読み方や法人向けサービスの事業計画作成を2年かけて学んだ。
更に2017年7月からは成長著しいAPAC(東南アジア)エリアへ担当範囲を絞り、経営分析・市場把握をベースに、現地におけるパートナー提携検討、新規事業立ち上げまで自ら踏み込んでグローバル事業の展開を進めるミッションを負うことになった。実践編に入ったとも言える。
具体的には業績不振の子会社の経営分析に基づく改善提案による利益率の確保、成長国および事業エリアへの追加投資による収益の拡大に取り組んだ。
特に大きな糧になったのは不振の担当子会社の利益改善プロジェクトを遂行したことである。企業の財務情報のみならずデューデリジェンスを実施することで、定性情報も踏まえた課題抽出および改善策を立案・提案し利益改善を達成することができた。
もうひとつの大きな成果は、東南アジアにおける新規事業立ち上げを、外部資本等活用により数百億円規模(うち、自社負担は4分の1程度)で実現したことである。事業プランの作成からパートナー企業発掘を含め、事業を実現させるということの面白さを充分に堪能できた。
前職は恵まれた環境であると認識していたが、社外パートナーとの協業を経験したことによって、自分の専門性に関して物足りなさを感じるようになってきた。色々やってきたが所詮は前職の会社に特化したスキルや経験である。特に、高い専門性を持ち転職をくりかえす海外の社外パートナーや買収会社の幹部と働くことで、その想いは一層強くなっていった。
海外展開をする企業で働き、グローバル事業に携わり続けることは活動当初から変わらないこだわりであった。海外展開ができる企業ということで、優れた技術や製品をもっている事業会社で経営企画や戦略を続けることが希望だった。前職でそのままキャリアを積むことも可能だったので、あえて転職するのであれば、年収を維持できることも大きなこだわりだった。
しかし、活動を続けるなかで年齢や年収からポストが非常に限られることを実感した。書類審査や一次面接は問題なく通るのだが、二次や最終で断られる経験が続いた。
グローバル事業の経験がキャリアの半分しかないことも影響していたと思う。
転職活動開始から数ヶ月が過ぎたところで、方針転換をすることとした。事業会社をほぼあきらめて、コンサルティング会社に絞ることにしたのだった。
事業会社内にグローバル展開ができる人材への要望が強くあることは実感していたので、外部委託であればニーズはあると考えていた。すぐに高橋さんに面会を申し込んで相談したところ、「向いている気がします」と同意して下さり、中でも日系のコンサルティング会社に絞って活動を仕切り直した。
転職活動初期は案件ごとに様々なエージェントサービスを利用して進めてきた。数をまかなうためやりとりはメールか電話のみ。効率的ではなかったし、案件のみのつながりのため、ある案件が終わると次の案件が来ることはほとんどなく、前職の仕事を続けながらの転職活動には手詰まりを感じていた。
高橋さんは最初から面談前提で、1時間半ほどの顔合わせのあとは大量の求人案件が送られてきた。
今思えば、決まった志望業界や業種のない私に危機感を覚えて量で勝負してくれたのだろうと思っている。コンサルティング会社に業種を絞った後も同様だった。とにかく、書類を出して1次面接にこぎつける。
日系をターゲットにしたのも高橋さんの強い勧めによるものだった。私の人となりやこれまでのキャリアを踏まえた、冷静で正しいアドバイスであったと思っている。
転職活動は人材を商品とした営業だと、途中で気がついた。そうであれば初心者がいくら頑張っても伸び代には限界がある。熟練した営業マンのアドバイスをもっと早期に得ておけば、スムーズに活動が進められたと悔んでいる。
次の職場は縁があって、日系企業の海外事業進出を専門にサポートする戦略コンサルティング会社に決まった。アジアがメインのフィールドになるということで、前職の経験も活かせ、自分がキャリアを深めたいと思っている分野で仕事を続けることができる。
コンサルタントは私にとって未経験の新たな分野への挑戦となる。ただ、今回の転職活動を通じて覚悟は決まった。あとはやるだけである。