女性弁護士(第66期)、製造業から、銀行業への転身

女性弁護士(第66期)、製造業から、銀行業への転身

No.1206
  • 現職

    日系 大手信託銀行 法務部門 社内弁護士

  • 前職

    東証1部上場 化学メーカー 法務部 企業内弁護士

堀田 悠花 氏 35歳 / 女性

学歴:横浜国立大学 経済学部 経済システム学科 卒
慶応義塾大学 法科大学院 修了(法学未修者コース)
弁護士(第66期)

1.はじめに

私は、司法試験に合格し弁護士登録した後、一部上場である製造業の会社に就職し5年8ヶ月ほど勤務しました。働き始めて5年ほど経過した後、全く別の業種で働いてみたいと思い、転職活動を始めることにしました。

2.転職を決意した理由

弁護士登録後、一般の法律事務所に勤務することも考えましたが、製造業の法務部でインハウスロイヤーとして勤務することにしました。理由は、大規模な製造業に勤務する方が、大規模かつ多岐にわたる案件に関与できること、意思決定後に相談を受ける外部法律事務所に比べ、実際に生じた事実から意思決定までの間にも法律の専門家として関与できるところに魅力を感じたためです。

実際、製造業における法務の仕事は、非常に多様なものでした。また親会社である持株会社の法務も兼務していましたので、製造業単体の仕事、親会社を通じた子会社の管理、株主総会対応、訴訟対応、M&A、子会社の設立、分社化などの組織再編、内部監査対応などバリエーションに富んだ仕事を担当させていただきました。株主総会や訴訟対応、M&Aなどの大きな仕事は頻繁にあるわけではありませんでしたので、主な仕事は、契約書をレビューすることでした。

契約書の内容は、秘密保持契約や業務委託契約が主なものでしたが、5年も経つと、目新しい契約も減り、過去の経験から、既に日常のルーティンワークとして、深い検討をすることなく契約レビューを終えてしまっていることや、そういう仕事でも事足りてしまっているように思えることに自分自身悩むようになりました。このままでは、何となく仕事を終えて日々を過ごし、成長することもなく時間が過ぎて行ってしまうと思い、かねてより興味のあった金融業界で働いてみたいと思いました。

金融業界に興味があったのは、私が経済学部出身であったこともありますが、様々な規制のもとで企業活動を実施しなければならず専門性が高いと考えたところと、融資する立場、自社として取引する立場、保証人としての立場など、様々な立場から法的リスクを検討するという点、特に自社として取引するのではない立場から、取引についてどのようにリスクを判断するのかという点に非常に興味があったためです。

3.転職活動

非金融業界から金融への転職は難しいと言われておりましたが、実際転職活動を始めてみて、その難しさを痛感しました。転職者には、実務経験をもとに即戦力を求めるという通常の感覚から言えば、当然金融業界での勤務経験がないことは、致命的なように思われました。実際、金融的な経験の有無を聞かれることも多かったのですが、金融系の会社で通用するほどの金融に係る経験は当然なく、つまり転職者に求められる「即戦力」としての実績がなかったため、たとえば「どのような仕事の経験が当行での仕事に役立てられると思うか」などの質問にうまく答えられないこともあり、うまくいかないこともたくさんありました。金融的な実務経験がないことについてはどうすることもできませんので、自分の経験から得られた心構えや、金融での経験がないことを踏まえて、製造業での経験をどのように活かせると考えているかを具体的にお話しするとともに、今後の抱負も併せてお伝えするように心がけました。結果、現在の信託銀行から内定をいただくことができました。

4.転職後

転職後の仕事では、まず規制業種であるということに大変に苦労しています。全ての業務について法律の根拠が必要であり、新商品についても全て法律上認められているものでなければならないことなど、当事者間で合意があれば基本的には何でもできるという製造業との違いを思考に組み入れるのに相当な時間がかかりました。また、金融用語の理解、金融に関連する法律の解釈、融資等のスキームの理解、いずれをとっても非常に難解で、現在も大変苦労しているところです。

5.最後に

ご縁があって転職してから数ヶ月が経ちますが、未だに理解不足の事項も多く、満足できるレベルでの仕事はできていません。今後も勉強を重ねていく所存ですが、毎日全てが勉強になる生活は非常に充実しており、転職したことに一点の悔いもありません。このような機会を与えていただいたことに、心から感謝しております。本当にありがとうございました。

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