一部上場 総合商社 リスク管理部門
メガバンク グローバル業務企画 プロジェクトマネジメントリーダー
北見 英史 氏 36歳 / 男性
学歴:早稲田大学 政治経済学部 経済学科 卒
銀行業務検定 法務2級
日本証券業協会 内部管理責任者資格
TOEIC 870点
ITパスポート
Microsoft Office Specialist Excel 2016 Expert
今回、転職活動で大変お世話になった株式会社エリートネットワークの転職カウンセラーの高橋さんから依頼をいただき、僭越ではありますが、『転職体験記』を書かせていただきました。
安定した組織でそれほど不満もなくキャリアを歩んできた私が、30代後半を迎えてキャリアを見つめなおし、悩みながら決断をした一部始終を記してみましたので、同じような環境にある方の何かの役に立てば幸いです。
新卒の時には、若いうちから経営に近いところで仕事ができ、中長期で見たときにキャリア形成の選択肢を多く持てそうな仕事に携わりたいと考えながら、業界を絞らず幅広に見ていました。そんな中、就職活動をしていた時期に、ある大きな事業買収案件が報道され、銀行がその支援を行ったことを知り、金融の仕組で大きなゲームチェンジが実現できることに魅力を感じて、メガバンクに入行しました。
銀行に入行してからの約13年間のうち、長く従事した法人営業では、様々な企業の経営陣と膝詰めで議論を重ね、金融機関の立場から経営を支援する経験を積めました。また、自らの希望で産業アナリスト、海外プロジェクトマネジメントといった幅広い業務に携わることもできました。
今振り返ってみても、環境や人に恵まれて、大きな不満はなく、新卒で入行した時に期待した通りの充実した社会人生活を送ることができました。結果論ですが、私よりも少し上の世代で新卒採用が絞られており、年齢構成が歪になっていたことで、比較的若いうちから鍛えられたとも思います。
充実した社会人生活を送ってこられた一方で、35歳を迎えるころから今後自分が何をしたいのか、どうありたいか、といった理想像を描けていないことにもやもやしていました。そんな中で、ちょうど足元2年間取り組んできたプロジェクトに一区切りついたことから、キャリアの棚卸を始めることにしました。
棚卸をしてみると、幸いにも自分なりに自信を持てる知見や、強みと思えることがいくつかありました。他方で、銀行業界を取り巻く環境は、私が入行してからのほんの10年程度で大きく変わり、また銀行自体も変わりつつあることを肌身で感じていたため、定年までこれまでのように希望通りの仕事に従事し、充実した生活が送れる保証は必ずしもないと考えました。
そうした時に、これまで培った(つもりの)知見や強みは自分の思い込みでしかなく、どのような形であれ自分の力でサバイブできる力があるか、を確認しなければと思うようになりました。また一方で、銀行の外に目を向けたら新たな発見があるのではないか、という期待もありました。
つまるところ、私の転職活動は転職ありきではなく、自身の力試しをしつつ情報収集を行う中で、魅力的と思える仕事があれば挑戦してみよう、という気持ちで始めたのです。そのため、もし内定が出たら転職しようと思える志望先のみに厳選して取り組みました。
転職活動を始めるにあたって、まずは転職サイトに登録しました。志望先の検討にあたっては、経営に近いところで仕事をしたいという新卒時からの軸は変えませんでした。また、これまで金融機関の立場で様々な企業を支援してきた経験を、今度は事業主体として活かせることを新たな軸に加えました。
いろいろなエージェントの方からお話を伺い、その中からとあるエージェント(エリートネットワークさんではない)の方からご提案を受けた会社に応募しました。そのエージェントの方からは、志望先の企業の求人案件を提案いただき、その中から単純に面白そうだと思ったポストに応募しましたが、恥ずかしながらあっさりと落とされてしまいました。
「自分は外では通用しないのか……」と、落胆する中で出会ったのがエリートネットワークの高橋さんでした。コロナ禍で対面での相談ができないため、初回の面談はオンラインだったのですが、上記を打ち明けたところ、「それは無理でしょう。」とばっさりと切り伏せられてしまいました。傷口に塩を塗られた気持ちになりましたが、「あなたのこれまでのキャリアとの整合性が全くないですから。その応募を勧めたこと自体が、私から見ればあなたの顔に泥を塗るようなものですよ。」ともフォロー(?)してくださったことで何とか気持ちを持ち直し、続けて転職活動の考え方を丁寧に教えていただきました。
初対面ながらストレートなお話に最初は面食らいましたが、時節柄直接お会いできない中でも信頼感が増しました。ちなみに転職活動を終えて思うことは、納得感を持って転職活動を終えられるかどうかは、信頼できるエージェントの方に出会えるかが大切だということです。
一通り私の希望を聞いてくださった後、高橋さんからいくつか求人案件を提案いただきました。併せて、それぞれの会社の成り立ちから企業文化、私への提案理由を説明くださいました。その中から、自分の理想にフィットする企業を絞り、挑戦してみることにしました。
高橋さんからのアドバイスも受けて、面接に向けてあまり特別な対策はせず、これまでのキャリアを振り返り、経験をもとに真摯に受け答えすることを心掛けました。とはいえ、やはり選考を受けると思うとアピールしなければならないという気持ちも出てくるので、高橋さんに何度か壁打ちの相手をお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。この振り返りと壁打ち、そして実際の面接での受け答えの過程そのものも、これまでの自分のキャリアを深掘りする良いきっかけにもなりました。
このようにして選考は順調に進みましたが、実はその過程で本当に転職するか、を最後まで悩みました。これまで銀行に勤める中で、さほど大きな不満もなく、それなりに評価していただいたので、これまで積み上げたもの(経験値、働く環境への慣れ、など)を捨ててまで挑戦するのが正しい選択なのか、選考が進むほどに悩みが深くなりました。
そこで、一旦これまでの積み上げは横に置いて、5年後、10年後の自分の姿を想像し、相対的にどちらのほうがより自分のキャリア志向を実現できるかを考えました。
足元、私が携わっている業務は、銀行の中ではやや特殊であるがゆえに、もし銀行でのキャリアを継続すれば同じ業務に数年単位で関わる可能性があります。業務自体は大変意義深く、私自身が成長できる余地も大きいと考えてこれまで打ち込んできましたが、もしかしたら打ち込めば打ち込むほど、結果的に本来の自分のキャリア志向と違う方向に向かうかもしれないと思われました。
一方で総合商社での仕事は、銀行と比較して事業経営をより間近にして仕事をすることになり、将来的に事業経営に携わるチャンスも銀行よりは得やすいように感じられることから、私のキャリア志向に合っていると感じました。
また、キャリア採用者が分け隔てなく受け入れられる土壌があるかどうかを重視していたのですが、幸い選考が進む中で既に多くのキャリア採用者が活躍されている事実を確認できたことにも背中を押されました。
最終的にはこれまで積み上げてきたキャリアや、働き慣れた環境に囚われるよりも、今後ありたい姿を実現できる可能性が高いほうが納得感を持って仕事に取り組むことができるだろうと考え、転職を決断しました。
今回、最終的な決断には散々悩みましたが、どんな選択にもそれぞれ一長一短がある以上は、全く後悔のない選択はないと割り切るしかないように思います。振り返ることが少なくなるように、納得感を持って活き活きと働けることが何より大切だと思います。
今回、総合商社に転職することを決断しましたが、後から振り返った時にも、これでよかったと思えるように、新しい職場で思い切り働きたいと思います。