「化学品の専門商社」 ですが、単に化学品を取り扱うだけではなく、合成樹脂、電子材料・部材、医農薬原料、自動車用部材、化粧品、各種産業機械など、多岐にわたる分野の商材を取り扱っているのが特徴です。 ケミカルを基盤にして、様々な事業分野において、ビジネスを展開していくというのが我々のスタイルです。
当社は他の財閥系商社やメーカー系商社と異なり、完全な独立系であるため、取引先に制約がなく、多岐にわたる企業と取引があります。また、ひとつの取引先でも取り扱う品目によっては、多部署での取引があるのが特徴です。例えば、大手の取引先としてあげられる住友化学さんやDIC(旧:大日本インキ化学工業)さんとは、化学品だけに留まらない多分野で取引があります。 また、少し変わったところでは、シャープさんの堺工場(堺市)があるコンビナート内に、液晶パネル製造に使われる薬液関連の工場を建設し、薬液の供給・リサイクルなども行っています。
私は人事に異動になる前は営業を担当していたのですが、初めてお会いするお客様でも嫌な顔せずにちゃんと我々の提案を聞いて下さるのが印象的でした。 当社の長年にわたる化学業界での実績と知名度により、良い意味で敷居が低く感じられました。また、独立系商社ということもあり、しがらみもなく、仕事がしやすかったのかもしれませんね。
入社後は機能化学品の営業を約8年間やりまして、国内外における樹脂原料の担当を任されました。その後は自社ブランドの新商品・事業の立ち上げを任されました。デナフィルター(商標登録済)という、主に液晶や食品用のフィルムに使用されるフィルター製品です。
最初は東大阪市にある中小メーカーに製造を依頼し、OEM製品として提供していました。それから段々と需要が伸びてきて、結果的にその事業を買収し、2006年に長瀬フィルター(株)という会社を設立し、社長に就任しました。当初は7名でスタートした製造会社でしたが、設計や品質管理などの部門を加えていくうちに、5年間で50名程度の規模に成長しました。
本社とグループ会社が製販一体となり、フィルターの技術開発及び製造などといったメーカー機能と、グローバルでのマーケティングや海外工場展開などの商社機能の両方を行っております。 また、それに留まらず、フィルターと材料とセットで顧客に提案したり、逆に顧客の製品の販売のお手伝いをしたり、顧客に対しての付加価値を上げれるようフィルターを核にして、ビジネス拡大を図っています。
商社というと売上規模にばかり目がいきがちですが、当社は創業以来売上よりも利益を重視してビジネスを展開してきました。如何に利益を出すか、付加価値を出すかという考えがナガセのDNAには組み込まれています。その一方で、当社は良くも悪くも現場を第一にしてきた会社です。実際に現場に出て足で稼いだ情報をもとにビジネスを創ることを、愚直に積み重ねてきました。
だからこそ、これまでの歴史を振り返ると、イーストマン コダック、ユニオンカーバイド(現:ダウケミカル社)、バーゼル化学工業(現:BASF社)、GEプラスチックス(現:SABIC社)をはじめとした欧米優良企業の国内総代理店や合弁事業を次々と任せて頂くことができたのではないかと思います。多くの競合商社が名乗りを上げた中でも、当社のマーケットに対する深い理解と技術力を信頼して頂き、世界の名だたる企業の日本やアジアにおける販売を一手に担ってきました。
取引先の方からはしばしば、「長瀬産業は堅実でありながらも、積極的である」とお褒めの言葉を頂くことがあります。この相反する部分を上手い具合に、経営に反映しているからではないかと思います。
取引先との守秘義務があるため詳しくは申し上げられませんが、例えば、世界トップレベルのスマートフォンメーカーに対してのNO.1納入商社であり、フィルムや塗料といった部材を供給したり、それらの部材の加工受託を受けたり、彼らが、新たな機能を追加したりする際に、当社の技術や提案が採用されるケースが多いです。また、自動車関連分野では、ハイブリッド、電気自動車などエコカー需要の高まりを受けて、リチウムイオン電池モジュール(バッテリー)を開発する新会社を立ち上げ、供給体制の構築を進めたりもしております。 後、エネルギー関連分野では、太陽電池用材料・部品から、太陽光発電システムの開発・販売までを手掛けています。最近の事例では、三重県菰野町にある農業用発電施設向けに太陽電池パネルを供給し、その施設が国内初の農地発電として、運転開始される運びとなりました。
これらの分野に限らず、当社は常に世の中の変化を先取りしながらビジネスを創出し、ナガセらしい付加価値の高い仕事を、お客様・市場に提案していくことを目指しています。
これまでは、石油化学製品や、添加剤などを取り扱う 「化成品」、プラスチックス製品などを取り扱う 「合成樹脂」、フィルムなどの部材や、薬液、エポキシ樹脂を取り扱う 「電子」、医薬品や食品の中間体、オリジナルブランドの化粧品を取り扱う 「ライフサイエンス」と、4つのセグメントに分けて事業を展開してきました。
「Change-S2014」 ではこのセグメントを、「機能素材」、「加工材料」、「電子」、「自動車・エネルギー」、「生活関連」と、5つに再編成しました。この再編成の背景には、従来よりも更にバリューチェーンを意識したセグメント構成にすることで、単に商品を右から左に流すだけでなく、川上から川下まで、一気通貫型のビジネスを展開していこうという当社の強い思いが込められています。
例えば、“川上”である 「機能素材」セグメント で取り扱うケミカル素材を、“川中”である 「加工材料」セグメント でシートやフィルムなどに加工したり、新たな機能を加える。そしてそれぞれの最終的な用途に合わせて、“川下”である 「電子」セグメント や、「自動車・エネルギー」セグメント、「生活関連」セグメント に引き渡す、といったような連係です。
これは前の中期経営計画 「“CHANGE”11」 時代からずっと意識して取り組み、最近ようやく成果や実績に結びつくようになってましたが、まだまだお客様の要望や世の中の流れにスピーディに対応仕切れているとは言えません。より変化のスピードを加速してビジネスに生かしたい、というのが今回のセグメント変更の趣旨です。「Change-S2014」 の 「S」 には、スピードの加速という意味も込められているのです。
「バイオ」、「環境・エネルギー」、「エレクトロニクス」 の3分野に重点を置いていますが、中でも目玉となるのが 「バイオ」 です。これまでナガセグループにはバイオ事業の核が多くありませんでしたが、(株)林原の買収によって、ようやく基盤を作ることができました。(株)林原の買収総額は700億円と、180年のナガセの歴史上最大の投資となりましたが、裏を返せば、それだけ強い意思を持って取り組んでいくという決断です。
(株)林原がナガセグループに加わったことにより、相乗効果が出て、ファインケミカル事業もより大きな形にしていきたいと思います。投資に関してはこれに限らず今後も積極的に行っていきます。今回の中期経営計画では、売上、営業利益の目標に加え、新たに 「ROE」 を定めましたが、それはそのような決意の表れでもあります。
欧米や中華圏、ASEANも含めて、ナガセらしいビジネス、つまり付加価値の高いビジネスが展開できる、という軸で海外展開を図ります。最近は中東の安い資源を使ってケミカル製品を作ろうと、各化学メーカーが進出していますが、当社もドバイに事務所を出して、材料を供給しています。
従来の商社機能に、研究開発、製造、加工技術などの機能を付加した独自のビジネスモデルを築いている点です。そのため、「日々市場から得た情報を、どうやってオカネに変えるか」 ということに対し、ものづくりをキーワードとしたアプローチをしています。
当社は商社の中では珍しく、1990年から神戸市に研究開発センター (ナガセR&Dセンター) を運営しています。ここでは、バイオ、ライフサイエンス、化粧品等に関わる研究開発に取り組んでいます。
また2007年には尼崎市にNAW (ナガセアプリケーションワークショップ) を開設。これは、合成樹脂、コーティング材料、繊維加工の3つの分野で原材料の機能、用途開発から、それらの原料を使った最終製品の処方開発までを行うことができる施設です。
製造機能に関しては、ナガセケムテックス(株)を筆頭とするグループ各社が担っています。
単に製品を仕入れて売るだけでなく、自社内で何らかのエッセンスを加えたり、優良取引メーカーや大学(※1)と共同で研究開発するなどして、商品を市場に送り出すケースもあります。この商社とメーカーが融合した独自のスタイルによって、グループが一体となって付加価値を創出しています。
※1・・・ 同社では大学との共同研究に取り組む他に、研究者に対する研究助成などの活動も行っています。
事業活動を通じて、生化学および有機化学分野の基礎研究が重要であるとの認識に立ち、これらの分野における研究開発や国際交流に対し助成等を行うことにより、科学技術の振興を図り、社会経済の発展に寄与することを目的として、1989年に(財)長瀬科学技術振興財団を設立。
2011年4月1日には公益財団法人として新たなスタートを切り、研究助成金と共に長瀬研究振興賞の授与を開始しました。
新卒・中途含めて、社員の半数以上は理系出身です。ケミカル、電気・電子、機械等、理系のバックグラウンドは、入社後にひとつの強みとなります。ただし、商社ですからやはり、元気のある人、バイタリティのある人、遊びが好きな人がいいですね。「化学が好きだけど、研究一辺倒の生活は自分には向かないと思っている元気な方」 「理系の知識を活かして、ビジネスをしたいという方」 が合うのではないかと思います。
もちろん文系出身者でも、入社後に一生懸命勉強して商品知識を身につけて活躍している社員も多くいます。理系じゃないと仕事が務まらないという訳ではなく、当社では理系と文系をバランスよくミックスして、営業組織を構成しています。文系出身者ならではの良さもいっぱいありますから、人脈づくり、語学力、視野の広さなどを活かしてグローバルに活躍して頂きたいですね。
どのポジションであれ、人と話すのが好きであることが大前提です。商社は人が相手の商売ですからね。
当社の行動指針である 『ナガセウェイ(※2)』 を体現できる人です。各項目は更に細分化されており、それらの項目に多く当てはまる人ほど、結果的に良い業績を残し、高評価を得ています。
『ナガセウェイ』 は現在では、社員の行動指針であり、評価軸にもなっていますが、もともとは、ハイパフォーマーの行動特性やキャラクターなどを分析し、項目として落とし込んだものです。ハイパフォーマーの共通点をまとめた結果として 『ナガセウェイ』 ができたのです。
当社では従来より研修プログラムなどを通じて、全社員向けに行動指針や理念浸透を図ってきました。ただし近年はM&Aや海外展開によって規模の拡大を推進する反面、そのような共通概念が薄れないよう、今後は更にナガセイズムを強くする施策を実行していきます。
※2・・・行動指針『ナガセウェイ』
1.常に顧客指向であれ
2.常に独創的な挑戦者であれ
3.常にグループ力の活用を考えよ
4.常にグローバルに考えローカルに行動せよ
5.常にシステマティックに考えスピーディーに行動せよ
とにかく、若手でも大きな仕事をどんどん任されるカルチャーです。入社1年目から海外出張に行ったり、大手顧客を担当したり、時には、ひとりで現場に放り出されて鍛えられることもあります(笑)。
実際、私も34歳の時にグループ会社(長瀬フィルター株式会社)の社長を任されましたし、私の他にも30代で、グループ会社や海外現地法人のCOOや役員を務める者もいます。
また 『ナガセウェイ』 の中にもある、「グローバルに考え、ローカルに行動せよ」 ということを、仕事を通じて体現できます。グローバルに考えることに関しては大手商社も得意とされていますが、それを自分たちの手で、現場感を感じながらローカルに実行するとなると、当社くらいの規模が程良いのではないかと思います。
ナガセは良い意味で自由な風土です。自分から 「これがやりたい!」 ということをどんどん発信し、実行することができます。ただしそれには責任も求められ、決して楽ではありませんが、自分を磨けて、成長も感じられますから、やり甲斐は大きいですね。
若手社員、中堅社員、リーダー層、課長クラスなど、それぞれの階層に合わせた研修があります。例えば若手であれば、ロジカル・シンキングや、貿易実務、財務・審査に関する知識などを、リーダー以上には、部下のモチベーションアップや、組織のつくり方などのリーダーシップ・マネジメントに関することを学んで頂きます。
また若手社員には、半年間の 「海外実務研修」 を設けており、早い段階でどんどん海外で経験を積む機会を提供していますが、今後はもっとその機会を増やしていきます。
マネジメントクラスを対象とした選抜型研修の 「NMP(ナガセマネジメントプログラム)」 もあります。内容は、海外のナショナルスタッフと合同で、座学研修を受けたり、自社の課題について考え、分析し、役員に提言するというものです。それより更にシニアクラスは、海外の大学でMBAプログラムを受講して頂く研修もあります。
連結経営の強化という観点でも社員教育を行っています。グループ会社の成長なくして、ナガセグループ全体の成長はありません。そのような意識は、(株)林原がグループに加入して、ますます強くなりました。人材交流という観点から、入社10年目くらいの社員には、グループ会社に出向し、製造業や、販社などの仕組みを身体で学んで頂くケースもあります。
ナガセは本当の意味で誠実な人間が集まった組織です。社内外に対して、嘘や、ごまかしがなく、本業のビジネスで正直に稼ごうという思いを持った会社です。社内の人間関係は良好ですから、仕事もやりやすいと思いますよ。そのような環境の中で、自ら考え、周りを巻き込みながら、結果に繋げていくことができる人材に育っていって欲しいですね。
現在ナガセは、将来に向けてまさにChangeしている段階です。明日のナガセを一緒に作っていく志を持った方に来て欲しいなと思います。