企業インタビュー

市光工業株式会社 企業インタビュー

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自動車用ランプ・ミラーの専門メーカーとして、110年を超える歴史を持つ市光工業株式会社。今回は人事部 部長の篠原 稔氏と人事部及び開発本部ナレッジマネジメント室の担当課長を兼務する山澤 季夫氏に、完成車メーカー各社に積極的に提案する開発スタイル、単体で機能が完結するランプという部品の面白さ、人の和を大切にしながら新しい手法を積極的に採り入れる 「和魂洋才」 の社風、求める人物像についてお話を伺いました。

自動車業界における貴社の立ち位置を、企業の沿革を踏まえつつご説明下さい。


人事総務本部 人事部 部長 篠原 稔氏

篠原 : 1903年に創業した白光舎工業と1916年に創業した市川製作所が合併し、1968年に誕生した市光工業株式会社は、当初より自動車用ランプ及びミラーの専門メーカーとして発展してきました。
その後、2000年にフランスの大手自動車部品メーカーであるヴァレオ社と資本提携、業務提携を結んだことが大きな転機となりました。

基本的には欧米における生産・販売を担うヴァレオ社に対し、市光工業はアジアを担当するというグローバル市場での役割分担を明確にしています。現在、市光工業は日本及び中国、タイ、マレーシア、インドネシアに生産拠点を有し、日本とタイには開発拠点を持っています。

プロダクトの変遷で言えば、かつての白熱電球からバルブ内にハロゲンガスを入れたハロゲンバルブへ、更には非常に明るいHID(高輝度放電灯)が誕生し、そして現在ではLEDへと光源が進化してきました。
LEDによって光源が小型化したことでランプユニットのデザインの自由度が増し、今まではあり得なかったような斬新なデザインが可能になっています。また、ヘッドランプの配光を電子的に制御するなど、安全で安心に運転するための新しい技術にも挑戦しています。

自動車用ランプは技術革新が非常に早く、それに伴って新しい要素技術が求められ、色々な意味でイノベーションが起きやすいプロダクトであると言えます。生産技術の側面からも、非常に複雑な形状のランプユニットは、樹脂成型一つとっても高度な技術・技能が必要になります。従って自動車用ランプは、簡単に参入できるプロダクトではなく、市光工業の110年を超える技術・ノウハウの蓄積は、業界において強い競争力となっています。

山澤 : 自動車部品メーカーというと、一般的に 「完成車メーカーのオーダー通りに作る」 というイメージがあるかもしれません。ところが実際はそうではなく、特に専門的な技術の蓄積が問われるランプについては、より主体的に設計・開発に関わっていく面白さがあります。
完成車メーカーからは、時に 「こんな感じに光らせたい」 「このクルマの全体のイメージは○○○だから・・・」 といった漠としたテーマが投げかけられることもあります。それをどうやって実現するのか、当社のエンジニアがオリジナルのソリューションを提案し、お客様とともに満足のゆく開発を行うことに、我々のものづくりの醍醐味があります。

また、これとは別に複数の完成車メーカーと一緒に仕事ができる楽しみが挙げられます。これはクルマ好きには大きな魅力です。ご存知のとおりメーカーやブランドによってクルマは個性が異なります。しかも我々の製品は、その個性を形作る上で大きな役割を果たしています。メーカーやブランドごとに異なる様々な個性に触れ合えることは、自動車部品メーカーならではの面白みかもしれませんね。

自動車部品の中でも、貴社が製造・開発しているランプやミラーならではのモノづくりの面白さについて、更に詳しくご教示下さい。


人事総務本部 人事部 兼 開発本部 ナレッジマネジメント室 担当課長 山澤 季夫氏

山澤 : ボディの内側で動いていて外から見えない部品ではなく、ランプやミラーはクルマの外観デザイン上、非常に目立つ位置にあります。特にランプは、それを隠してしまうとどのクルマか分からなくなる程です。そうした製品の開発に携わることが、我々市光のエンジニアの「誇り」ともいえますね。

篠原 : 運転者や歩行者から見えない部品については、技術オリエンテッドでありさえすれば良く、後はコストと耐久性を満たしていれば、「見映え」 は問われません。ですがランプは 「見映え」 という要素がとても重要で、完成車メーカーからもその点が評価されます。

山澤 : 更にそうした美観を追求するだけでなく、「コスト」や「品質の安定」、「製造のしやすさ」といった“モノづくりの必要条件“ともすり合わせていかなくてはなりません。例えば、一つの部品・技術を完成車メーカーの枠を超えて他の車種にも使えないか、つまり「共通化」にエンジニアは知恵を絞ります。革新的な技術に挑んだり、匠の技で困難な課題を乗り越えたりする世界と同時に、コスト効率を考えた要素技術・部品の組み合わせや応用にも配慮し、両者のバランスを取りながら仕事を進めていく必要があります。

プロダクトが持つ機能面の面白さについては如何でしょう。


「 “あのグローバルカーの 『顔』 を作ったのは父さんの会社なんだよ” と、子どもに話せます (笑)」

山澤 :他の自動車部品と比べて、際立つ特徴として、ランプやミラーには、それ単体で機能がほぼ完結するという特徴があります。
勿論、運転席から操作はしますが、エンジン周り、シャシー周り、電装部品、シート周りの内装など、その他の自動車部品に比べるとランプやミラーは、それ単体で「照らす」「映す」という基本機能の完結度が高い部品です。我々の製品自体で完結しているということは、メーカーとしての責任もその分重大になります。万一不具合が発生すれば、当然ながら大きな責任が当社にかかってきます。

篠原 : 責任は重大だけれども、プロダクトが多くの人に見えるところにあることは他に代え難い大きなやり甲斐に繋がります。街を走っているクルマ、駐車場に停まっているクルマのランプやミラーは、やはり目につきますから。

山澤 : 自動車の販売店に家族で出かけて、ショールームに並んでいる売れ筋のファミリーカー3台がどれも市光工業が手掛けたランプを搭載していた時など、やはり社員は誇りに思いますし、実際そういう声は多く耳にします。

篠原 : 今迄ランプを中心にお話ししてきましたが、ミラーについても、構造は単純そうに見えてもクルマの安全、安心に関わる部品であり、デザイン性と共に法規対応、緻密な設計と制御、そして耐久性が求められる製品です。

今後、「鏡」ではなく 「映像」 による後方確認システムも採用されていくでしょう。これから先、自動運転やより安全な運転を実現するために、市光工業の 「映す」 「照らす」 技術をどのように統合していくのか、専門メーカーとして更に真価が発揮できる時代になると考えています。

暗い道路や雨の日でもストレスなく運転できるランプを創ったり、自動運転の時代になったりすると、現在の役割以外の機能も求められるかもしれません。そういったより安全なクルマの未来を実現するには、ランプやミラーを始めとする異なる領域の技術の連携が不可欠であり、我々部品メーカーはこれまでに蓄積してきた技術資産を統合的に活用することで、開発プロジェクトにおいて主導的なポジションを取っていかなければならないと思います。

自動車部品業界の面白さ、製品作りのやり甲斐について、大変よく分かりました。次に市光工業という企業についてお聞かせ下さい。


「社内に “One Team, One Dream” というメッセージの啓蒙ポスターを掲示しています。」

山澤 : フランスの自動車部品大手・ヴァレオ社とアライアンスを組んでいることによって、程良く外資のメソッドが入っていると感じています。「和魂洋才」 という四字熟語がありますが、今の市光工業を端的に表すのに適した言葉だと思っています。
欧州の自動車業界は、土地柄もあってか、多文化であることがデフォルトであり、それゆえに多様性と刺激に富み、変化を受け入れるカルチャーの企業が多いように感じます。また、ヴァレオ社では開発や生産を始めとする様々なビジネスプロセスでフレームワーク化やメソッド化が進んでいます。その中から市光工業にマッチして良い結果に繋がる手法を見極め、最適な形で採り入れています。

篠原 :アライアンスとは提携企業同士がイコールパートナーという形で事業を行うことです。今では多くの会社が何らかの形でアライアンスを行っています。私たち市光工業グループも、互いの智を持ち寄り、シナジーを出すために努力しています。

山澤 : 110年以上に亘って、ここ日本で培って来た市光工業にも、やはり社風やカルチャーにはオリジナルの良さがありますし、ものづくりにも独自の強みやこだわりが蓄積されています。つまり “和魂” と例えることができるかもしれませんね。そこにヴァレオとの提携で 先にお話したようなメソッドやフレームワークなどの“洋才” を上手く採り入れていると感じます。まさに 「和魂洋才」 という訳です。
また、「和」 という言葉は、別の意味でも市光そのものを象徴しています。仕事柄、開発部門を見ていますが、自部署内はもちろん他部署との連携、そして若い世代や部下の育成などで、一人ひとりが 「人のつながり」 や 「チームの調和」 を尊重した仕事をしていると感じます。また、個人レベルで見ても、一人ひとりの社員は素直で正直、誠実な人柄の人物が多いと感じています。まさに 「和」を尊ぶカルチャーを感じることができます。当社が掲げる 「One team One Dream」 というフレーズも、この良さを表現し、これを強みとして活かしていこうという決意表明のようなものですね。

篠原 : 日々の仕事を通じて社員がそういう一体感を持てる丁度良い規模の会社だとも言えますね。所謂 「大企業」 になってしまうと、社員全員で理念を共有しようとしてもなかなか難しい。
また、企業規模ということでは、一人のエンジニアが担当できる範囲が広いため、担当業務が細分化される大企業よりも世の中へのインパクトが大きなテーマに挑戦できます。また、「自分たちがつくったランプ・ミラー」 といった感覚も得やすいと思います。

求める人物像についてお話し下さい。


「大事なのは、self-learner (自ら学ぶ人) であり、self-starter (自ら行動を起こす人) であるか、という点です。」

山澤 : 部門を問わず、「クルマが好き」 さらに言うと従来のクルマにとどまらない移動や交通の手段つまり「Mobility」に興味があるということは重要です。クルマが好きであれば、自動運転やEV (電気自動車) が象徴するように、従来の価値観からの転換が進み、変化のただ中にある自動車業界にあって、情熱を持って仕事に取り組んで頂けると思います。
これまでの職場における成功体験も大事ですが、仮に苦労をされてもそれを楽しめていたかどうか、苦労されたことをご自身のキャリアの糧にしている方であるか、といった点を意識して面接時にお話を聞いています。

篠原 : これから更に市光工業がグローバル市場で闘っていくためには、様々なダイバーシティ……多様性に富む人々の中で臆することなく仕事ができて、人材としての市場価値を向上させ、これまで以上に成長していける人とお会いしたいと望んでいます。
ですから中途採用者の出身業界も自動車や自動車部品に限っていません。むしろ全く異業界出身の皆さんにも期待を寄せています。

どのような技術的バックグラウンドの方が活躍できますか。

山澤 : ランプやミラーを作るというと、機械や電機といった出身学部を想像しがちですが、例えば自動車のランプに使う樹脂素材は耐久性や軽量性を厳しく問われますので、素材のイノベーションは常に必要です。となると化学系の知識・経験も活かせます。また、シミュレーションやCADにはその機能の高度化・効率化が常に求められますから、IT系も活かせるかもしれませんね。またアダプティブヘッドライトなどに代表される、より安全かつスムーズな交通環境を提供する仕組みには「システム」や「ソフトウェア」という見地も必要になるでしょう。また、空力性能の向上や軽量化、廃棄ロスの抑制などには「環境」というキーワードも隠されています。理系のあらゆる分野はもちろん、そして理系・文系にカテゴライズされない学際的なバックグラウンドが応用できる魅力があると思っています。

最後に、貴社を志望する方や、潜在的な候補者へメッセージをお願い致します。


歴代製品が並ぶ本社 (伊勢原市) のエントランス

篠原 : 中途採用において候補者に求める細かいスペックは部門によって異なりますが、互いに尊敬しコーポレートバリューを共有できる人ということが大事です。バリューは6つあり、まずカスタマー……お客様第一という姿勢。それからチャレンジ……変化に果敢にチャレンジすること。インテグリティ……誠実で正直であること。そしてイノベーション……革新は、技術系のみならず、すべての仕事に必要です。そして、先ほども触れたダイバーシティ……多様性の尊重です。そして最後が “One Team”……チームワークを大切にします。

山澤 : これから自動運転の時代に入ると、極論すればライトやミラーは不要になるかもしれません。今までのライトやミラーに代替する製品・技術・サービスができれば、従来は競合と想定していなかった企業が新たなコンペティターとして参入してくる可能性もあります。これまで自動車部品業界だと思っていた 「業界」 の柵が突然無くなって、無限の荒地に立たされて闘う日が来るかもしれません。ですから、そういった健全な危機感を持ち合わせている人、変化の中で自分から動き、年齢に関わらず自分から学習できる人、「Self-learner, Self-starter」が求める人物像です。

篠原 : そのような時代ですから、個人の「情熱」がとても大切です。クルマが好きだ。クルマの重要な部品に携われる。このプロダクトを必ずやり遂げるんだ、という強い思い、パッションですね。
人生一度ですから、私自身もそういう熱い思いを持った人たちと働きたいと思いますし、潜在的な応募者の皆さんの多くもそうではないでしょうか。私たちは単に給料のために仕事をする訳ではなく、やはり自分の豊かな人生のために、会社で自分の成長を実感できるかどうかが重要だと思います。市光工業という刺激的な 「場」 を使って、確かなアウトプットを残しながら自分を成長させていく。そんな就労観を持った方々と、面接でお話しできればと願っています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

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市光工業株式会社
創業
1903年 6月
設立
1939年 12月 20日
資本金
89億円
上場証券取引所
東証1部
従業員数
4036名
本社
神奈川県 伊勢原市 板戸 80
代表者
取締役社長  サワー ハイコー
主要な事業内容
自動車用電装品(ランプ類)、バックミラー、その他自動車用品・開発製品の製造
※この記事の内容は取材当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、役職名等は現在と異なる場合があります。
職業紹介優良事業者認定マーク
当社は、全国に約28,000事業所ある人材紹介会社の中で、厚生労働省が審査し、 わずか40社しか選ばれない「職業紹介優良事業者」に認定されています。
※平成26年(第一回認定):全国で27社のみ、平成30年:全国で43社のみ(第二回認定)、令和2年:全国で39社のみ(第三回認定)、令和5年:全国で40社のみ(第四回認定)
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