国家公務員から民間企業へ転職するための道筋とポイントを徹底解説【2025年最新情報】

国家公務員の転職支援に長年の実績を持つエリートネットワークが、民間企業への転職を考える際に直面する疑問や不安を解消するための情報を提供します。

国家公務員の退職者は増加傾向

憲法により「全体の奉仕者」と規定され、公のための仕事に携わる国家公務員。
かつては定年退職まで勤め上げることが一般的でしたが、近年若手を中心に民間企業へ転職する方が増えてきています。
実際に、採用後10年未満で退職した職員は、令和5年度には200名を超え、203名となりました。

退職年度別・在職年数別の退職者数

国家公務員の主な転職理由

エリートネットワークの転職カウンセラーが国家公務員の方々との面談の中でお聞きする代表的な転職理由を紹介します。

ワークライフバランスを改善したい

国家公務員の多くが、長時間労働や不規則な勤務形態に悩まされています。
とりわけ国会開催中 (通常国会の会期は150日間、そして臨時国会、特別国会が加わる) は、担当部署への情報提供や国会答弁の作成などの膨大な業務があり、負担が大きくなります。
また、災害時や国際問題発生時などは、時差を含んだ昼夜問わずの突発的な業務対応が求められる為、健康面や家庭生活への影響を鑑み、 果たして今後長く働き続けられるのだろうか、という不安の解消のために転職されるケースは多くあります。

霞が関では、通常時は毎日終電、時期によっては、明朝6時までパソコン作業を続け、机の上で1時間仮眠して7時からまたパソコンをたたき始めるという生活をしていました。

体力には自信があったため、このような働き方をしても心身が壊れることはありませんでしたが、この働き方を年齢を重ねていった先も続けることができるのか、また、結婚・出産といったライフイベントがあったときに仕事と両立できるのか、強い不安を抱くようになりました。

『転職体験記』No.1527 国家公務員女性28歳、「1年限定」と決めて夢に再挑戦するも届かず。霞が関出身者に理解が深い老舗生命保険会社の総合職に

専門性を身に付けたい

国家公務員は定期的な人事異動があるため、自らが望む特定分野の業務に長期間従事する機会は多くありません。
特に総合職は、将来の幹部候補として多角的な視野と幅広い人脈を培うことが必要であるという意味合いも含まれているため、若手のうちからも比較的短期スパンでの異動機会が多く、 専門性を磨き深堀りする機会が制約されると感じる方も少なくありません。

働いていく中で、学生時代に培った法律の専門性が自分の中から確実に薄れていくのを実感する一方で、総合職の公務員では3~4年スパンの定期異動であらゆる部署を転々とするキャリア形成となり、仕事を通じて自分の中に蓄積していける専門性がないことに危機感を覚えました。法律の知識面では強いブランクを感じながらも、これから先のキャリアを考えたときに、恥を忍んでも勇気を出し、チャンスがいただけるなら、専門性を築いていけるキャリアに転換したいと思い、転職活動を始める決意をしました。

『転職体験記』No.1305 司法試験短答式合格の国家公務員、一度諦めた法律への道を目指し、一部上場企業の法務職へ

国家機関・政府機関であるが故の限界を感じた

「国を良くしたい」という理想を胸に入省・入庁したものの、現実には無数の障害や制約があることに直面した方も多いようです。

政策実現に奮闘しても政治的しがらみや省庁間の綱引きなどの他律的要因に阻まれる、たとえ目の前に困っている企業があっても公的な立場であるがゆえに直接的な支援が出来ないといった経験を重ね、 民間企業で当事者として事業に携わりたいという想いを抱く方もおられます。

悩むようになった1つの要因が、霞ヶ関での業務内容です。
霞ヶ関の業務は、法令の制定等、規則や枠組みを作るのが主で、現場からはややかけ離れた業務でした。
実際、法令の改正業務に従事する中で、世の中に対して具体的にどの程度の影響を与えることとなるのか実感することが極めて難しく、距離感が拭えずどこかもやもやした気持ちがありました。

『転職体験記』No.1485 国家公務員、霞が関よりも第一線の現場に近い仕事に就きたく、日本の信託銀行のコンサルタントに

頻繁な転勤を避け、落ち着いて働きたい

国家公務員は政策策定や行政サービスの提供を全国規模で行うため、複数地域での業務経験が求められることがあります。
総合職は、全国の様々な部署での経験を積み、国家公務員としての総合的な能力や見識を高めることが期待されているため、必然的に転居を伴う全国転勤も発生します。
また、国家機関は業務の効率性や公平性を維持するために、職員を様々な場所に配置して適切な人材を育成します。各地の実情を理解し、行政の一貫性を保つためにも、転勤を通じた人材の交流は重要と言えるでしょう。

しかし、転勤頻度は(人によって異なりますが)概ね2~5年毎です。
結婚や子育て、両親の介護などライフステージの変化を迎えた際に、 自らのキャリアプランは見通せても、ライフプランが見えない、よって生活拠点を安定させたいとエリートネットワークにご相談にお見えになる方も少なくありません。

最大の理由としては、頻繁に転居を伴う転勤があることでした。
私の入った部門は公務員の中でも特に長距離の転勤が多く、2、3年おきに転居が生じることがほとんどです。また、異動に関する自らの希望について通ることの方が少ないと聞いていました。

業務内容としては仕事自体は面白いと感じており、ライフワークとしても良いかなと感じておりました。
しかし、居住地が転々と変わり、そこに対し希望を通してもらえないというのは、私(と家族にとって)の今後の人生において大きなリスクであるのではないか、と思うようになりました。

『転職体験記』No.1502 毎年転居を伴う転勤をしていた国家公務員(技術系)。民間企業でも公益性を追求できると気づき、世界最大級のコンサルティングファームへ

国家公務員が企業から評価されるスキル

  • 論理的思考力

    国家公務員の業務では、複雑な課題や問題を分析し、最適な解決策を導き出す能力が求められます。
    例えば、政策課題や行政上の問題に対して、データや情報を整理し、因果関係を明確にして問題の本質を正確に把握し、メリット・デメリットを比較しながら解決策を探っていきます。
    この課題分析や長期的視点を持って判断する力は、営業活動や投資判断、新規事業の立ち上げなど民間企業の様々な職種・職位で幅広く応用できます。

  • 調整力=合意形成能力

    国家公務員は、多様なステークホルダー(他省庁、自治体、業界団体、民間企業、学識経験者など)と連携を図る場面が多い職業です。
    単に議論を重ね意見を述べるに留まらず、幅広い立場の人々との円滑な調整、情報共有や根回し、即ち、ひとつの完成した結論に導く合意形成能力は、民間企業に於いて頗る高く評価されています。

  • 高い事務処理能力=文章作成能力

    多くの国家公務員が、膨大な資料作成やタイトなスケジュール管理をこなしてきた経験を持っています。法令や規則に基づいた細かい手順を遵守する正確さ、仕事の優先順位をつけて迅速に業務遂行が出来るスキルは大きな強みです。
    このように「事務処理能力」とは、単なる作業能力ではなく、高い正確性、効率性、問題解決能力、法令遵守、文字によるコミュニケーション能力など、多面的なスキルを含んでおり、これらは民間企業での業務にも充分ポータブルであります。

  • 柔軟な対応力=同時進行でのタスク処理能力

    国家公務員の業務内容は多岐に亘り、人事異動に従って全く畑違いの業務を担当することも一般的です。同時に複数のタスクが進行し、業務の裁量も大きいため、異動後の早期立ち上がりが常に求められます。
    その他、突然のトラブルや方針変更への対処などで培った柔軟性や臨機応変さは、変化の多いビジネス環境に於いて大いに活かされる能力です。

国家公務員の転職活動のポイント

経験業務とスキルの棚卸しをきちんと行う

自己分析は、国家公務員の方に限らず転職活動を行う全ての方に必要です。
しかし、国家公務員の場合は法令改正や国会議員対応など中央省庁固有の業務も多く、 果たして民間企業でも通用するスキルを具備しているか分からない、どのように職務経歴書に記載し、企業へアピールしたらいいか分からないという方はとても多いです。

上述したように、国家公務員としてのあらゆる実務経験・スキルは民間企業でも評価されています。
エリートネットワークでは、創業以来多くの国家公務員の方々の転職支援を行ってきた実績が豊富なため、カウンセリング面談の中でお一人おひとりの職務経験や実務スキル、獲得して来られた強みを丁寧に紐解きます。
カウンセラーとの会話の中で、自分自身の考えがまとまることもありますので、緊張せずオープンマインドでお伝え下さいませ。

柔軟に転職先の業界・職種を考える

国家公務員からの転職は、 シンクタンク業界やコンサルティング業界を第一想起される方が多いのではないでしょうか。
国家公務員として身に付けたリサーチ力や資料作成能力は、コンサルタントに求められるスキルと親和性が高いとされ、企業の採用意欲も強いです。
実際にエリートネットワークを通じて、日本のシンクタンクやコンサルティングファームへ転職された方も大勢いらっしゃいます。但し、総労働時間を短縮したい、或いはご家族と一緒に過ごす時間を確保する点を第一義とされている方には、外資系コンサルティングファームをお勧めする事は控えている事も念の為、申し添えさせて頂きます。

他方で、
総合商社三菱商事株式会社三井物産株式会社住友商事株式会社伊藤忠商事株式会社丸紅株式会社双日株式会社豊田通商株式会社
金融機関株式会社日本政策投資銀行(DBJ)株式会社三菱UFJ銀行株式会社三井住友銀行株式会社みずほ銀行など)
海運会社日本郵船株式会社株式会社商船三井川崎汽船株式会社
不動産デベロッパー、インフラ業界、製造業などの幅広い業界と、経営企画、企業法務、法人営業職、エンジニアといった文理問わない職種で、経験を活かすことも充分に可能です。
ご自身が転職を通じて実現したいことを充分に整理した上で、転職活動を行うことが重要です。
エリートネットワークでは、ご自身の実務経験・スキルがどのような業界・職種で活かすことが出来るのか、丁寧なカウンセリングを基に適切に提案致します。気兼ねなく、ご相談下さい。

国家公務員の退職の際の注意点

退職時期の決定が難航する可能性もある

民間企業の場合、期間の定めのない契約はいつでも解約の申入れをすることができ、「雇用は、解約申込の後2週間を経過したるに因りて終了する」(民法627条1項)と民法によって定められています。
つまり、極端な話になりますが、退職を申入れてから2週間すれば、承諾が無くても会社を辞めることが出来ます。

しかし、国家公務員は国家公務員法に基づいて管理されており、上記に該当する規定は存在しません。
「任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。」(人事院規則8-12 第51条)と定められていますが、国家運営への影響を最小限に抑えるために各部署での人員配置の変更や、業務引継ぎスケジュールの調整が必要となります。
国家公務員という職務の特性上、個人の意向だけで退職時期を決定することが難しい場合がありますので、注意しましょう。

エリートネットワークでは、最長で約1年間の退職交渉期間を伴走させて頂いた方もいらっしゃいますので、ご入社されるまで丁寧にフォロー致します。ご安心下さいませ。

最後に反省点ですが、転職のタイミング及び後任人事において、転職前の職場・同僚に負担をかけてしまったことです。
民間企業からの転職と違い、特に国家公務員から転職する場合は、私が想像していた以上に退職時期の調整で難航しましたし、人事異動の時期が概ね固定されており、かつ国家公務員自体も人材を求めている中では、必ずしも即座に後任が配置される訳ではありませんでした。
もし、私のように国家公務員から民間企業への転職を考える方がいらっしゃれば、もちろん自分が挑戦する先を選ぶことが最優先ですが、そうした観点も頭の片隅に置いていただくのが良いと思います。

『転職体験記』No.1606 東大卒の国家公務員、民間企業の意思決定や投資判断の実態を知らぬまま政策立案するもどかしさを脱したく、財閥系総合商社へ転職

当社を通じて民間企業への転職を決めた方々の 『転職体験記』を多数掲載しておりますので、是非参考になさって下さい。

エリートネットワークは1997年の創業以来、正社員の人材紹介業一筋の転職エージェントです。

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